60代男女の82%が「肉料理好き」、91%が「食べることが楽しみ」。
“高齢者=粗食”はもはや昔の話に
・60代、特に男性は86.0%が「肉料理好き」。野菜料理よりも上、魚料理と同程度の好意度。
・40~60代ともに90%前後が「食べることに楽しみ」。60代になっても食の楽しみは変わらない。
・料理や食材にこだわった充実の食生活。食卓の品数は年代が上がるほど増える。
・朝食の主食はこの10年でパンがご飯を逆転。
いま40~60代生活者が「日本の高齢社会を大きく転換」しようとしています。会社は退職しても社会はリタイアしない人たちが増えています。「博報堂 新しい大人文化研究所」は、これらの世代を総称して“新しい大人世代”と名付け、調査研究を行っています。昨年(2012年度)は『絶滅!?する中高年-“新しい大人世代の登場”』と題して連続レポートを発表してきました。このたび新たに全国40~60代男女に対する調査を実施し、分析を行った結果、高齢社会が“新しい大人社会”へと転換する「兆し」が見えてきました。新しい大人世代、とりわけ、リタイアした60代の団塊世代が、今ようやく動き出し、日本の高齢社会そのものが、生活者の力で大きく転換しようとしています。調査結果から読み取れる変化の兆しを、生活のさまざまな角度からご報告します。
レポートその②は、「食」です。
従来、高齢者といえば「粗食」というのが、一般的なイメージであり、「長生きのススメ」でした。しかし、今回の当研究所の調査結果からは、団塊世代を含む今の60代は「肉好きの新しい大人/肉好きエルダー」へと変化しており、食べることを楽しみ、栄養バランスや健康を考えた食事を志向するという“現役生活続行スタイル”へと、大きく食生活が変化していることが分かりました。流石に肉食の量は減る人もいるようですが、肉好きで栄養バランスを重要と捉えています。ここから新たな「長生き健康ライフ」がはじまりそうです。
料理に対する考え方としては、「手づくり」と「旬」などのグルメ性に続いて簡便性( 「電子レンジ」「冷凍食品」「インスタント・レトルト食品」の利用など)が挙げられています。団塊の世代は最初のグルメブームを1980年代につくったと同時に、長年、インスタント食品・冷凍食品・電子レンジなどの使い手でもありました。したがって、今後もグルメ性と簡便性を掛け合わせ、より合理的においしいものを生涯にわたって食べて行くことになりそうです。これまでは、高齢になればなる程、加工食品や家電メーカーへの関与度が低くなりましたが、今後は現在と同等かそれ以上の役割が期待されそうです。
また、この傾向は団塊世代を含む60代のみならず、40~60代に共通していることなので、一過性のものでなく、今後10-20年続き、高齢社会を新しい大人社会へと大きく変えて行くことになると思われます。