「今年のときめきキーワード」:「体験の品質」
2014年11月26日
博報堂生活総合研究所は、今年生活者が関心を示したと思われるモノやサービス、コンテンツ事例(ヒット商品)について、【今年のときめき】※と題した調査を実施し、今年の生活者の消費心理や志向の変化についての分析を行いました。
(調査対象:15~69歳の男女 1,008人)
(※)今年のときめき:欲しくなったり、体験したくなって、ワクワクしたこと。または、実際に購入や体験をして感動したこと。
商品・サービス・コンテンツ支持の1位は、【特別列車旅行】
17年ぶりの消費増税と異次元金融緩和を経験した2014年。消費を取り巻く環境は、価格競争のデフレ経済から価値競争のインフレ経済へと転換期を迎えています。本調査でも、生活者の価値観が「安さ」から「質」へ動いていることがうかがえます。ランキングの1位となった【特別列車旅行】は、高級ホテルのような「おもてなし」を味わえる観光列車や足湯が設置された新幹線等、移動手段である列車で「質」の高い体験を楽しめる旅行のことです。ランキングには他に、USJ「ハリー・ポッター」や高音質音楽プレーヤー等、今までにない「質」の体験を提供するモノやサービス、コンテンツが多数ランクインしました。
博報堂生活総合研究所は、上記のような調査結果を分析し、2014年のキーワードを「体験の品質」と掲げました。情報化が加速度的に浸透する一方で、リアルの価値が復興。生活者の欲望は、全身で感じる体験へと向かっています。その中で、生活者は体験にも質があることを感じ始めました。品質というとモノをイメージしがちですが、体験も質差を競う時代へ。その幕開けを感じさせる年となりました。
生活者のときめきを読み解く、3つのキーワード
感動を拡げる体験品質
ランキングには、現実を忘れるほどの完成度で異世界に飛び込んだような感動を味わえる体験にときめく志向が表れています。ヒット事例では、移動空間をまるごと感動空間に変えた特別列車旅行(1位)、まるで映画の世界に迷い込んだ感覚を楽しめるUSJ「ハリー・ポッター」(3位)、高音質音楽プレーヤー(4位)、一緒に歌い参加もできる映画「アナと雪の女王」(28位)などに支持が集まりました。
未来を感じる体験品質
生活者は、未来の生活を先取りした気分を体験できるモノやサービスにも惹かれているようです。ヒット事例では、自宅でもオリジナルの立体物を造形できる3Dプリンター(2位)、家庭内野菜工場(14位)、将来の棲家を探す人のためのお試しプチ移住体験(22位)などに支持が集まりました。
普通を高める体験品質
生活者は、日常生活の中でも体験品質の見直しを始めています。ヒット事例では、買物体験のスケールを格段に拡げた超大型ショッピングモール(6位)、友達や家族との移動も快適な車内が広い軽自動車(7位)、椅子の上に置いて座ると身体をほぐしてくれる3Dマッサージシート(11位)、新型ロボット掃除機(13位)、グルメガイド本「ランチパスポート」(19位)などに支持が集まりました。
体験の質差を競う時代へ突入した日本社会。生活者は無自覚のうちに「体験の品質」を感じ取り、その質差に心が動いているようです。