博報堂生活綜研(上海)は、中国伝媒大学広告学院と共同研究を行い、近年、起業や副業を始めた中国の生活者が消費行動を大きく変える動きをしていることに注目、そのエネルギーを「銜能(ゲンノウ)」と命名、「銜(ゲン)能(ノウ)」がもたらす企業マーケティングの視点についての提言を発表いたしました。
中国では、インターネットやスマートフォンを活用して、自分の趣味や特技を起点に気軽に起業や副業を始める生活者が急激に増加しています。このような生活者の一部は、企業が見過ごしていた社会的なニーズに気づき、それらを満たすビジネスを行うことで結果、人々の生活環境が改善されはじめています。そのような動きは一人ひとりの単発で起きているのではなく、同時多発的に起きており、大きなうねりとなって消費行動を大きく変えようとしています。
彼ら彼女らが持つエネルギーを「銜能(ゲンノウ)*」と名づけました。
「銜(ゲン)能(ノウ)」は、生活者の消費行動に変化を起こし、企業に以下の新しいマーケティングの視点をもたらします。
① 「2つの目線」を持つ生活者の出現 → 「自分+」消費ニーズが顕在化される
「自分目線」と「社会目線」という「2つの目線」を持つ生活者が増えていきます。「2つの目線」によって、自分のニーズに加えて周りの人たち、ひいては社会のニーズが掘り起こされていきます。いわば「自分+」という消費ニーズが顕在化していくと言えるでしょう。
② 生活者と企業の関係が変化 → 生活者と企業の「創発」がすすむ
「銜(ゲン)能(ノウ)」を担う生活者たちが「目利き」として、企業に対して新しい商品やビジネスの視点を提供するようになっていくと考えられます。さらに、「開発」「流通」「販売」といった専門領域において、企業と生活者の「創発」も想定されます。
③ 生活者による消費社会の「ネットワーク化」 → 今までにない消費対象の「系」が生まれる
生活者である「売り手」と「買い手」、さらに「売り手」同士が新しいニーズで繋がっていくと考えられます。彼ら彼女らが新しいニーズでモノやサービスを括り直すことで、今までにない消費対象の「系」が次々に生まれていくと思われます。
社会的なニーズに気付いた生活者たちは、人々の生活を改善していく役割を表す肩書、「タイトル」を担う存在になっていきます。そうした「タイトル」を得た生活者が同時多発的に社会に出現し、さまざまな領域で社会的ニーズを満たしていく。そのような大きなうねりを起こしているのが「銜(ゲン)能(ノウ)」のエネルギーです。
今後も博報堂生活綜研(上海)は、このプロジェクトを継続して進め、独自の視点で中国の生活者を見つめ、新しい角度からの洞察を提言していきます。
*「銜(ゲン)能(ノウ)」は、「タイトル」を意味する中国語の「头衔」と「エネルギー」を意味する「能量」からなる造語です。
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