去る4月14日(土)、渋谷ヒカリエ8階にある8/COURT にて、「『耳で聴かない音楽会』ファンディング応援会」が開催されました。
「耳で聴かない音楽会」は、ピクシーダストテクノロジーズ・筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一さんと日本フィルハーモニー交響楽団が共同で取り組んでいるプロジェクトで、テクノロジーを活用し、振動や色を使って「身体で音楽を聴ける」装置を開発することで、耳が聞こえない人もそうでない人も、みんなで楽しめるオーケストラのコンサートを提供しよう、という試みです(4月22日開催)。博報堂は、これらの聴覚補助システムの開発で、本プロジェクトをサポートしています。現在、プロジェクトの実施に向けて、クラウドファンディングに挑戦しています。
4月14日に開催されたファンディング応援会は、デザイナーのナガオカケンメイさん率いるD&DEPARTMENTが「耳で聴かない音楽会」プロジェクトに感銘を受け、何としても後押ししたいと感じたことから、ファンディングの応援イベントとして開催されました。
イベントでは、ナガオカケンメイさん、落合陽一さん、日本フィルの山岸淳子さんを中心に「耳で聴かない音楽会」プロジェクトの経緯や音楽会で使用されるテクノロジーなどについてトークディスカッションが行われました。
イベントでは、「なぜこのプロジェクトが始まったのか?」をテーマにトークが始まりました。プロジェクトのきっかけとなった「オーケストラジャケット」と「SOUND HUG」の開発背景や仕組みについてTBWA HAKUHODOの宇佐美雅俊が登壇し、説明しました。
「SOUND HUG」の開発にあたって改めて気付いたことについて、日本フィルの山岸さんは、以下のように語りました。
「オーケストラは、普段は音のことしか考えません。もちろん体で音を感じているんだなとは思っていたのですが、視覚・触覚という視点で考えたことが無かったんです。今回の開発を通じて、私自身五感をより意識して音を聴くようになったと思います。みなさん、オーケストラでは、舞台の上の演奏家を見たり、指揮者を見たりして、当然見て楽しんでいる部分もあると思うのですが、どうやって感性を発揮して聴いているかということをあまり意識しないと思うんです。それを改めて教えてくれているような気がしています」。
イベントの中盤では、富士通でUIデザイナーをされている本多達也さんが登壇され、ヘアピンのように髪の毛に装着し、振動と光で音の特徴を伝えるデバイス「Ontenna(オンテナ)」の紹介をしていただきました。また、日本フィルの打楽器奏者として活躍される福島喜裕さんによる打楽器の実演に合わせて、実際に来場者全員で「Ontenna」を体験しました。「Ontenna」は、打楽器の響きをリアルタイムに振動で伝え、音の強弱まで繊細に再現されており、耳ではなく、体で音を感じる新しい感覚を体験することができました。
また、4月13日(金)に支援学校で開催した演奏会での様子が紹介されました。演奏会に参加されたナガオカケンメイさんは、「参加している生徒たちの表情に感動しました」と演奏会の印象について話されました。
最後に、「耳で聴かない音楽会」についてプロジェクトメンバーの皆さんがどのように考え、取り組まれているのかということについて触れられました。
落合陽一さんは、このプロジェクトについて、「今回の面白いところはメンバー、関係者の圧倒的なコミットメントの高さだと思っています。今の時代はコンピューターを使って簡単に視覚や聴覚情報を互いに変換できるわけです。いかようにもやりようがある。かたっぱしから全部試してみるぐらいのやる気がある人たちが集まってきて、最高のコンサートを作ろう!という姿勢になっているのがすごくいいなと思います。普通は、このようなことをやる時はテクノロジーを先に作って、その作ったテクノロジーを目立たせるためにやることがほとんどだと思うんです。今回は、そんなことは微塵も考えていなくて、最適解があればなんでもいい。一番いい形で音楽が体験できるのがベストで、そのためにテクノロジーは変えていく。良くないものは使わない。そのニュアンスが全員で共有できていることがすごく奇跡的なことだなと思っています」と語りました。
落合陽一さん、日本フィルをはじめ、「耳で聴かない音楽会」に関わる方々のプロジェクトにかける大きな「熱量」を感じることができたイベントでした。
イベントに登壇したTBWA\HAKUHODOの宇佐美は、「このイベントを通じ、プロジェクトメンバーだけでなく、応援してくださる皆さんと一緒に作っているプロジェクトであるということを再認識しました。クリエイティブとテクノロジーとカルチャーの掛け算で、社会に新しい価値を提供できるように4/22の本番に向けて全力を尽くします。」と語っています。