こんにちは。そして明けましておめでとうございます!ヒット習慣メーカーズの鈴木です。
昨年7月に次男が誕生しまして育休を取っていた関係でコラムを一回お休みさせていただいていました。久しぶりのコラムになりますがよろしくお願いします!
さて、育休中は子育てに全集中だったのでとにかく自分の時間がありませんでした。私は服が好きなのですがもっぱらオンラインで探すのが中心になってしまいました。というのも一度服屋に赤ちゃんを抱っこして入ってみたところ、やはり慣れない環境で大泣きしてしまいお店の方に気を遣わせてしまうのも申し訳ないのですぐに出てきてしまったことがあったためです。
しばらく服屋はお預けかなと諦めムードだった中、とある雑誌の古着屋特集で新しい潮流として「無人古着屋」が紹介されていました。しかもお店は自宅のすぐ近く。これは!と思いすぐに行ってみました。
駅からほど近い場所にあるお店の看板には大きく「無人」と書いてありました。中に入ると当時は真夏だったので暑さから解放されるようなエアコンの涼しさ。店内にはいい感じのBGMもかかっていて通常の古着屋と何一つ変わらない雰囲気で居心地が良いです。
店内にはたくさんの古着が置いてあり、ハンガーの色で価格がわかるようになっています。料金はポストに入れる仕組みで両替機も完備してあるためストレスなく買い物ができました。しかもカウンターには訪れた人が自由に書き込めるノートがあり、無人なのにここを訪れた人と繋がれた感じがしてほっこりしました(思わず自分も一言書き込みをしてみました)。
子供を抱っこ紐で抱えながらではあるものの、久しぶりに誰にも気を遣わずたくさんの服を見ることができて大満足。その後育休が終わるまでこのお店が心のオアシスとなりすっかり通うことが習慣になりました。
ヒット習慣メーカーズでは過去にVol.227『あれこれ自動販売機』でコロナ禍で人と対面する時間を極力減らすべく、さまざまなものが自動販売機化しているというコラムをお届けしました。自動販売機や無人店というと非接触や労働力不足の解消として注目をされる場合が多く、どうしても効率を追い求めた少し味気ないものの印象がありました。しかし、今回自分で体験してみて無人店舗は普段自分がやりたいけれど我慢していることを許容してくれる、力の抜けた気ままさが1番の価値なのではないかという発見がありました。このような人の目を気にせずに自分のやりたいことをマイペースに叶えられる無人店舗の活用を「気ままな無人店舗通い」と名付けて見ていきたいと思います。
実際に「無人店」のキーワードをGoogleトレンドで見てみると年々伸長しており、注目を集めていることがわかります。
「無人店」検索推移
それでは他に「気ままな無人店舗通い」にはどのようなものがあるのでしょうか?
ひとつは「化粧品の無人店舗」。美容部員やビューティーアドバイザーの方から接客を受けることが苦手な人や、化粧品に興味があるけれどお店に入るのを躊躇してしまう男性でも気軽に入れるため人気を集めているようです。ビューティーアドバイザーさんのアドバイスが欲しければ仕切りが付いた、人から見えにくい場所でオンラインカウンセリングを受けることもできます。
他にも「無人居酒屋」や「無人ジム」等もありました。無人居酒屋は飲みたくなった時にひとりでも他人の目を気にせずにサクッと飲めますし、セルフサービスなのであまりお酒を飲まない人でも店員さんに申し訳なく思うことなく気ままにお酒を楽しめます。ジムも、一生懸命トレーニングをしているところを見られる(あるいは見られている気がする)のは恥ずかしいと感じる人にとって安心してマイペースに通い続けられるシステムになっているようです。
それではなぜ最近「気ままな無人店舗通い」が増えてきているのでしょうか。いくつかの理由があり、Vol.227『あれこれ自動販売機』でも記載したコロナの影響で人と対面する時間を極力減らしたいという気持ちが高まったこと。慢性的な問題になっている労働力不足の解消につながること。さらには無人でもスムーズに決済ができる電子決済が浸透してきたこと等が挙げられそうです。これらは効率化に関する理由ですが、これに加えて「子供連れでも服屋に行きたい!」「男性でも化粧品が欲しい!」「1人でもお酒を楽しみたい!」等、自分がやりたいことを自由にやっても良いのだという多様性を認める世の中の雰囲気が「気ままな無人店舗通い」を後押ししているのではないでしょうか。
以上「気ままな無人店舗通い」を見てきました。人の「本当はこれを人の目を気にせず気ままに楽しみたい!」という欲望が存在する限り、「気ままな無人店舗通い」には多くのビジネスチャンスがありそうです。
最初にご紹介した古着屋はたまに24時間営業もしています。人件費が高騰する中で無人店舗ならではの強みを活かした取り組みですが、育休から復帰した今ひそかに遅くなった仕事帰りに行ってみたいなと考えています。時間の融通が効くのも気ままに通うための重要な要素ですね。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2007年 博報堂に入社。
ヒット商品やヒット習慣には飛びつかずにはいられない、ドミーハー。好きが高じて、ヒット商品やヒット習慣を生みだせると良いなと思い日々奮闘中。休日は家でアイドルのDVDを見るのが好き。