こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中久保です。
早くも社会人2年目になってしまいました。
中高生を見ると、自分自身はだいぶ大人になったという気分になりますが、周囲の先輩方から見るとまだまだ未熟者なのだと実感する日々です。
何気ない会話のなかで、年上の方々から「いまの若い人たちはこのアニメ知らないでしょ~」などと言われることがあります。知っている方同士で楽しそうに話が進む様子を見て、私自身も観ていたらよかったなあと思う瞬間です。
会話のきっかけになるほど、時代を問わず人気のあるアニメですが、グッズも含めて楽しむ生活者はじわじわと増えています。実際にGoogle Trendsで見てみると、ショッピングカテゴリでの「アニメグッズ」の検索数が伸びています。
▼ショッピングカテゴリでの「アニメグッズ」検索量推移
そんななか、ファッショントレンドに敏感なZ世代女子を中心に、幼少期に熱中していた女児向けアニメのキャラクターをファッションに取り入れる習慣が広がりつつあるのをご存知でしょうか。
大人になった現在、アニメ自体を観るわけではなくてもあえてキャラグッズを持ち歩いたり、キャラの衣装のファンシーなデザインを模倣したりなどして自己表現を楽しんでいるようです。
今回はこの習慣を「懐アニおしゃれ」と名付け、具体的な事例とともにご紹介いたします。
1つ目は、懐かしキャラのガチャ詰めポーチです。
カプセルトイを集める習慣はガチャ活と呼ばれ、数年前から多くの大人に楽しまれてきました。様々な種類のカプセルトイがあるなか、Z世代女子を中心ににわかに習慣となりつつあるのが、自身が幼少期に熱中していたアニメキャラクターのカプセルトイを収集し、クリアポーチに詰める「ガチャ詰めポーチ」の作成です。これをキーホルダーとしてバッグに付けて持ち歩く様子が、リアルでもSNSでも散見されます。
2つ目は、平成アニメのネイルアートです。
平成時代に流行したアニメをモチーフにしたデザインのネイルを施す習慣です。キャラクターの顔は描かれていなくても、知っているひとが見れば「あのキャラの衣装だ!」とわかるような配色やデザインとなっていることが特徴です。さらにこのネイルを載せたSNS投稿のキャプションやコメント欄では、「私は〇〇推しだった」というように過去の推しキャラでコミュニケーションを取っているユーザーの様子もうかがえます。
3つ目は、キャラカードでスマホ裏装飾です。
背面が透明なスマホケースに好みのステッカーを挟んで自己表現をする習慣は以前からありますが、ここ最近では、そこにアニメキャラクターのカードを入れて楽しむZ世代女子が増えているようです。昔はゲームに使っていたキャラカードを、大人になった今は自己表現アイテムの一つとして持ち歩くことがおしゃれという感覚や、同年代の友人に見せたくなるという声もあります。
では、なぜいまこのような習慣が広がりつつあるのでしょうか。
ひとつは、「好きの多様化」が背景にあるのではないかと考えられます。
現代はスマホひとつで自分の好きなコンテンツを楽しむことができますが、それにより各々の趣味や好きなものが細分化され、同じ性年代であっても、一緒に共有して盛り上がれるものが相対的に見つけにくくなりました。特にその傾向が顕著なZ世代にとっては、同年代がある程度共通して楽しんでいた幼少期時代のコンテンツは、みんながアツく盛り上がれる数少ないテーマになり、今になって再注目されているのではと考えられます。
もうひとつ、古い文化の現代風アレンジ=おしゃれ という意識の派生も背景にありそうです。ここ数年、昭和・平成と過去に流行した文化が、若者を中心に、現代文化とうまく融合されながらも親しまれています。この風潮が定着した最近ではさらに、年齢が上がるにつれて一度興味を失ったはずのコンテンツに大人になったいま再注目し、違和感なくファッションに取り入れる自己表現スキルが、主に同年代から評価されるという風潮も生まれてきたのではないでしょうか。
最後に、「懐アニおしゃれ」のビジネスチャンスを考えてみました。
皆さんも、懐かしいアニメグッズに出会った際にはぜひ手に取ってみてください。当時のヒーロー・ヒロインが、今も私たちを楽しませてくれるかもしれません。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2023年 北海道博報堂に入社。
プラナーとして成長すべく日々修行中。スイーツよりもエスニック料理や激辛料理が好きなのだが、周囲からはほとんど信じてもらえない。