こんにちは。ヒット習慣メーカーズの鈴木です。
最近ヒット習慣メーカーズにも新メンバーが加わりさらににぎやかになってまいりました。特に女性メンバーからは、今まで男性メンバーだけではなかった新しい発見もあり新鮮です(コラムが回ってくる期間もやや伸びたので、ネタ探しの時間が少し増えて助かってもいます)。
さて、ここからが本題です。皆さん、春になり何かお買い物はしましたか?
私自身は春用の服、4月から保育園デビューした子供の保育園グッズ、奥さんの仕事復帰に伴い効率を求めてより高性能な家電への新調等、振り返ってみると出費がかさんでいました。このままではまずいと思い、遅ればせながら最近フリマアプリデビュー。そうすると不思議と新しい物を買う罪悪感や、ハードルが自分の中で下がってきたことを実感しています。そこで今回は、気軽に商品を買って場合によっては売ってしまう新しい消費行動である「売るかも購買」について書きたいと思います。
まず「売るかも購買」が活性化している背景ですが、何よりも個人間の売買が容易になったオークションサイトやフリマアプリの出現が大きいと思います。特に、「フリマアプリ」の検索はここ数年で大きく増加しています。
「フリマアプリ」検索推移
そんなフリマアプリですが、主にどのような商品が売買されているのでしょうか?フリマアプリ大手の「メルカリ」の発表によると、レディースファッションとメンズファッションが4割以上を占めていました。やはり中心になるのは、服やアクセサリー等のファッション商品なようです。
カテゴリー別販売額シェア
ファッションの売買は自体はもはや珍しいことではありませんが、最近ではSNSに投稿するために一度だけ着用し、すぐに洋服を手放す「ワンショットファッション」なる使い方をしている人もいるようです。これは極端な例ですが、人気ブランドの注目コラボ商品等を購入後、タグがついた状態で半日写真を撮りまくりSNSにアップ。「ほぼ新品・タグ付き」ということで定価より高い値段で売るようなこともあるようです。
このような「所有よりも使用重視」の価値観に対応し、某大手ファッションサイトも「買い替え割」というサービスを導入。当該サイトで新品購入した商品を下取りに出すと、その金額分を割引いて新しい商品を購入できるサービスです。筆者の同僚にもこのサービスでシーズンごとに服をお得に買い替えている人がいました。お得なだけでなく、どうせ後で売れるのだから、少し新しい物に挑戦してみようという気持ちにもなれるようです。
「所有よりも使用」「売れるからこそ、挑戦できる」という考え方は、ファッション以外のカテゴリーでも進んでいるようです。周りに聞いてみても、「一度使用した化粧品・メイク用品・香水」「スポーツ用品」「1年使ったベビー用品」等を売買している人がいました。個人的には一度使用した化粧品やメイク用品が普通に売買されているのは驚きでした!
具体的に話を聞いてみると、
・「挑戦してみたい口紅の色があったから買ったけど、いざ使ってみると似合わないから売った。一度使った化粧品ならブランド物でもかなり安くなるので、逆に買うこともある」
・「新しい趣味としてスポーツをはじめたいが、長続きはしないかもしれないのでとりあえず中古のものを格安で購入した」
・「赤ちゃん用のバウンサーは1歳くらいまでしか使えないからもったいなくて躊躇していたが、フリマアプリ売ればいいやと思って買った」等。
「最悪失敗しても、すぐに手放せば良い」という気持ちが後押しになり、気軽に「売るかも購買」をしていることが分かりました。また上級者になると、迷っている新品の商品を購入する前に一度フリマアプリで値段を確認。中古でもある程度高い値段で売れていれば安心して新品を購入するし、値段が落ちているようであればフリマアプリで買うか、様子を見るという話もありました(家を買う時と似たような考え方ですね)。
一見すると細かい節約術に見えるこの「売るかも購買」。「失敗しても、すぐに手放せる」という安心感が下支えになることで新しい挑戦や体験の機会を増やしてくれる、生活をより豊かにしてくれる新しい消費スタイルなのではないでしょうか?
これまでのヒット習慣予報でもビジネスチャンスの例をいくつかご紹介しましたが、
「売るかも購買」にも色々なビジネスチャンスがあると考えます。
気軽にいろいろなものに挑戦できるからこそ、新しい自分や、生活スタイルを発見できる可能性がある「売るかも購買」。ぜひ皆さん実践してみてください。
2007年 博報堂に入社。
ヒット商品やヒット習慣には飛びつかずにはいられない、ドミーハー。好きが高じて、ヒット商品やヒット習慣を生みだせると良いなと思い日々奮闘中。休日は家でアイドルのDVDを見るのが好き(主にジャニーズ)。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。