こんにちは。ヒット習慣メーカーズの武藤です。
今年は暖冬ということで、桜の開花時期も早くなる見込みだそうです。そろそろ満開でしょうか。薄手のコートで散歩ができる気持ちのいい季節になってきましたね。
さて今回のテーマは「DNAレコメン」です。今までは医学的な専門分野の世界にある、普段では関係の持ちにくい、近寄りがたいイメージのDNAが、興味さえあれば簡単に誰でも検査ができるようになり、よりカジュアルなものになりつつあります。そんな、DNA情報を活用しながら、自分に最適な「レコメン(おすすめ)」を得て日々の生活を豊かにしていく兆しが見えはじめています。
先日ある番組で、顔を隠した状態で事前に行ったDNA検査を元に年齢や職業・年収などを一切明かさず、DNAの相性だけを頼りに交流するという「DNA婚活」が放送され話題になっていました。DNA情報をもとに、魅力・関心・惹かれ合う度合い等のさまざまな相性がわかるようで、出身地なども考慮して相性が良い異性の傾向がわかり、その相性度で異性をレコメンをしてくれるとのことです。実際に参加した方の動機を調べてみると「やみくもに出会った人と相性が合うかを、やりとりしていく時間がもったいなかったから」との意見で、かなりDNAによるレコメンを頼りにしているようでした。
DNAというと、DNAの情報をもとにアート、ファッションや音楽を作る等、最近では研究室や医療のイメージから飛び出し、少し身近になってきているイメージでしたが、結婚という自分の人生の大きな決断にDNA を使うという点が新鮮でした。
もう少し最近のDNAの兆しについて調べてみると、メキシコの航空会社が「DNA割引」を開始していました。アメリカ人を対象にDNA鑑定を受けてもらい、メキシコ人(祖先)の血の割合が多ければ多いほど渡航チケットが割引されるという内容。全くメキシコに興味がないと言っていた人が、実はDNAレベルでメキシコと繋がりが強いことを告げられ、チケットを割引提示されると、思わず行きたくなったという人も。婚活のような人生の一大事だけでなく、旅行のような日常的な行動に対してもDNAが影響を与えているという点が興味深いです。
さらに、ある食品メーカーはDNA情報に基づいてひとりひとりの体質や不足しがちな栄養素などを把握し、それをもとに食生活を総合的にサポートするサービスを開始し話題になっています。全国初のこのサービスは、DNA情報をもとにカロリーや栄養の偏りを分析し、自分に合ったサプリメントをレコメンし購入できるようにするものです。DNAが毎日の生活習慣にまで入り込みはじめているのです。
さてこれらの事例を見てみると、もともとはメディカル・サイエンスのイメージだったDNAがアートや音楽等と結びつき少し身近になり、最近では「婚活」「旅行」「食生活」などDNA情報が我々の日々の判断に影響を与える程に生活に入り込みつつあります。
ではなぜ、「DNAレコメン」が習慣になりつつあるのでしょうか?
ひとつは、一昔前までは時間と費用がかかっていたDNA鑑定がよりスピーディーで安価になっているからだと考えられます。今までは、一人のDNAを解析するのに数週間~数か月、数十万円かかっていたところ、最近のサービスでは私的で基本的なことであれば数日で、1万円前後になっていて、個人でもぐっと手の届きやすいものになっています。
「DNA鑑定」で検索をしてみるとやはり上昇傾向にあり、DNA鑑定が個人レベルでも受けられ、一般的なものになりつつあることがうかがえます。
<「DNA鑑定」の検索数>
ひとつの理由は、「DNAの絶対性」にあるのではないかなと思います。私たちの周りには日々の健康やおすすめの旅行先をはじめ、どんなことに関してもおびただしい数のレコメン情報に溢れ、何を選ぶのが正しいのか、何が自分に合っているのかを判断しにくい時代になっています。そこに、「DNAによるとこれが正しい」とレコメンをしてもらえると、安心して物事の判断ができるし、何よりもさまざまなレコメンを全て吟味する手間が省けるというメリットがあります。
最後に、自分のDNAを知ることは、自分では気づいていなかった自分自身の強みや特徴を発見することができ、新しい自分に出会えるチャンスでもあります。このような点からも「DNAレコメン」がさらに一般化し、人々に好まれるポテンシャルを秘めている習慣だと考えられます。
誰もが自分のDNA情報を保持し、それをもとに自分に合った「DNAレコメン」を日常的に受けられるような習慣が進んだ際のビジネスチャンスを考えてみました。
学生が就職活動をするときに「DNAレコメン就職診断」があったら、職種のターゲットが絞れて、自分にあった仕事が見つかりやすくなるのかなと思いました。
旅、映画、音楽が大好き。
月に一回、温泉に入ることを実施中!
今年の目標は「やってみたい!と思ったら即行動」です。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。