こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中林です。
最近、猛烈にウキウキしています。なぜなら、、、ようやく冬が終わったからです!!!
朝一番、起きがけにまず部屋の窓を開け、春の空気を吸い込み、今日も頑張るぞと体をしゃっきりさせます。そして、大体その数分後にくしゃみ連発、鼻が詰まりだすので、いそいで朝ごはんを食べて花粉症の薬を飲みます。毎日その繰り返しです。
花粉にはほとほとうんざりですが、春気温のぽかぽかパワーに誘われて、やっぱり懲りずに外に出てしまいます。
気温が数度上がるだけでこんなにも満ち足りた気持ちになれるなんて、我ながら単純だなあと思いつつ、冬のあいだ閑散としていた緑道に、コーヒー片手に人々がたむろしているのを見ると、うーん、春って最高、、、!と改めて思うのです。
そんな行動意欲がふつふつと湧き上がってくる春にちなんで、今回のテーマは「お気軽クリエイト」としました。
今までものづくりといえば、職人さんのもの、あるいは、趣味でやるとしても材料や機材あつめなど入念に準備をして、初めてできるものでした。ですが、最近、ふらっと行ってさくっと作れる環境が色々なところに誕生しはじめ、ものづくりが気軽に楽しめる存在になってきているのです。今日はそのうちのいくつかをご紹介したいと思います。
まずご紹介するのが「絵画ワークショップ」。
油絵から水彩画まで様々なプログラムが用意されており、先生に習いながら絵を描くことができます。絵を描くのに必要なものは全てアトリエで用意してくれているため、手ぶらで行けるのが人気の理由です。また、いわゆる絵画教室のようなかっちりした雰囲気ではなく、おしゃべりしたり食べたり飲んだり、朗らかな空気のなか絵をかけるところも好評です。
描いた絵は数日間アトリエで乾かされて、仕上げをされた状態で家に届きます。完成した絵を見るまでのわくわく感と実際に飾った時の充足感がたまらない!といった声はSNS上で多くみられ、ワークショップ終了後も幸せが持続するということも人気ポイントうちの一つだと推察できます。
私が実際に行ったワークショップはワインを飲みながらできたのでとてもリラックスして絵を描くことができましたし、何より高校生ぶりに絵の具を使うという体験をして、手を動かすことの楽しさを思い出すきっかけとなる素敵な時間を過ごせました。
次にご紹介するのが
「タフティングラグ作り」です。
タフティングとは、専用のガンを使って布の上に数本の糸をまとめて縫い込む技法で、通称「糸で描く絵画」と呼ばれています。
このアトリエではオリジナルラグを制作できるのですが、デザインだけでなく色も形も全て自由に考えることができるのが人気の理由のようです。こちらも絵画ワークショップ同様手ぶらで参加可能なのが特徴で、当日はアトリエにて自分のデザインイメージに合った毛糸を選ぶところから始まります。80種類を超える色とりどりの毛糸がずらりと並んでおり、見ているだけでわくわくが止まらない、とSNS上でも話題を集めています。
最後にもう一つ。春とはいえ、外のイベントに出向くのはまだハードルが高い、、、と考える人にぴったりの、お家でできるお気軽クリエイト「YouTubeキッズクラフト」をご紹介します。
もともとリアルで子供向けワークショップを開催していたアーティストの方々が、お家でたのしめるよう材料などを簡易化したバージョンの動画をYouTubeで配信しているのですが、親子で一緒に、気軽に楽しめるという理由で人気です。
空き瓶に飾りをつけ花瓶としてリメイクしたり、拾ってきた石に絵付けをしたり、使わない洋服をばらしてネームタグにしたり、バラエティーに富んだコンテンツがそろっているため、事前に準備しなくても、家にある材料ですぐ出来そうなものを選んでできるのも特徴です。
では、なぜこういった気軽に挑戦できるものづくり体験がいま人気を集めているのでしょうか?まず「手作り」と「簡単」を一緒に調べている人がここ一年で上昇傾向にあることから、できるだけさくっと楽しみたいというニーズがあることが分かります。
気軽さを前提として、ものづくり意欲が高まっている理由は大きく二つあると考えました。
まず一つ目に「世界に一つしかない自分だけのものが欲しい!」と考える生活者が増えたこと。
コロナ禍でおうち時間が長くなったため、部屋の模様替えをしたり家具を新調したり、人々は以前より生活スペースの居心地にこだわるようになりました。自分の手で作ることこそ、最大級のこだわりだ、と捉える人は多そうです。また、そのこだわりの生活スペースをSNSで投稿する人も多く、投稿の映え度や注目度を高めたいという意味で、新しい家具を購入するのではなく誰とも被らない唯一無二のものを作りたい!と考える人も多いのではないでしょうか。
二つ目に「色々なことをやってみたい!」と思う好奇心旺盛な生活者が増えたこと。
YouTubeやTikTokなどのメディアでは、チェーン店の再現レシピやハンドメイド雑貨の作り方など ”やってみよう作ってみよう系のコンテンツ”が人気です。その理由としては、購入できるものをあえて自分で作り、その過程を楽しみたいと考える人が増えているからだと思います。
ご紹介したワークショップも、SNSで体験投稿が拡散され始めてから、やってみたいと思う人が続出し、現在数ヶ月予約が取れないような状態のアトリエもちらほらあるようです。
どんな方法で、生活者の好奇心をくすぐり、やってみたい!と思わせるか、というのも、ヒットの鍵なのかもしれませんね。
最後に、期待値が高まる「お気軽クリエイト」の今後の可能性について、考えてみました。
この記事を書いていて、あるセリフを思い出したので最後にご紹介します。
「人が持つ想いや願い、そういうものを込めてつくられたものには、いつしか心が宿る。」(猫の恩返しより)
人間は進化し、技術は発達し、そのおかげでこの世界にはたくさんの素敵なものが日々生み出されています。素晴らしいことです。でも、ほとんどの素敵なものは、込められた想いや願いを伝えきれないまま、ただの素敵なものとして存在しているように思います。
どんなに素敵でも、生み出された過程を知らないままでは魔法で作られたようなものです。
心の宿った、意思のあるモノに囲まれて過ごしたい、そう考える人が一人でも増えることこそ、今しきりに叫ばれているサステナブルへの近道なのかもしれないな、と思ったりしました。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2021年博報堂に入社。一人前のマーケティングプラナーをめざして毎日修行中。趣味はヨガと編み物。つい先週編み終えた犬のセーターが、春到来により早くも出番を失っていて、悲しい。