いくつになっても「できない」ことが「できる」に変わっていくのは嬉しいものですよね。ただ、社会人も年月が長くなると、なかなか「できない」に直面しても、教えてもらう機会も少なくなって、ちょっとしたことは自分でこっそり調べて、どうにか乗り越えるって場面、みなさんも“あるある”ではないでしょうか。
今回のフックワード(データを引き出すフックになる言葉)は「できない」です。みんながどんなことに困って、こっそりヤフーに聞いているのかのぞいてみるために、ヤフー株式会社が提供するデータ分析ツール「DS.INSIGHT」を使って、2021年1年間の検索データの中から、「できない」を含む検索の上位100位の主なものをグルーピングしてみました。※「DS.INSIGHT」では統計化されたデータのみを扱っており、個人を識別可能な情報は含まれません。
「できない」ことが目の前に現れると、どうしたらいいかよくわからなくて、「○○ 方法」のように落ち着いて調べるよりも、思わず「○○できない」って、子供が駄々をこねるみたいな言葉づかいで検索窓に打ちこんじゃうことって、ありませんか。そんな慌てた様子もすこし想像しながら読んでもらえればうれしいです。
全体の22%をもしめる断トツトップは「メールが受信できない」ことでした。もはや誰にとっても欠かせないビジネスツールのメール。とにかくメールが受信できない。来るはずなのに来ない、先方は送ったと言っている、おかしい…、そんな焦りや、首をかしげながら眉間にしわ寄せた表情が浮かびます。
続いて「充電ができない」。スマホはもちろん、ゲーム機や電子タバコ、ロボット掃除機まで、同時に検索されていました。充電していたはずが充電できていなくて、なんで?!となるシーンってありますよね。充電が必要なデバイスに、いかに囲まれているか、そう考えると日々私たちがどれだけ無意識にコンセントにプラグを差し込んで充電しているのか気づかされて面白いです。
その他、印刷もできないし、再生もできない、接続も、ログインもできない。この上位6項目で全体の55%、過半数を占めています。“6大デジタルの壁”に困ったり、焦ったり、イライラしたりした経験って誰しもあるのではないでしょうか。
「できない」と打ちこんでいるときは、“解決策を冷静に探している”というよりは「できるはずなのに」できなくて、“慌てて「なんで?!」”と検索窓をのぞいているときだということが伺えます。
この2つは若い世代に特徴的に出てきたキーワードです。若者が「できない」ことが、そもそも何かわかりますか?「エアドロ」に「センシティブの解除」。何が「できない」のかさえわからない、ジェネレーションギャップを感じる方もいるかもしれません。
エアドロはairdropのことで、iPhoneで写真などのデータを共有できる機能ですね。センシティブはTwitterの設定。若い世代ならではの、友人とのコミュニケーションの様子やSNSとの接し方が反映された「できない」ですね。「できない」と困っていることから、若い世代の日々の行動が垣間見えるような気がします。
最後に、数は多くありませんが、興味深かった「感情のコントロールができない」。これはなかなかに様々な背景を想像させる検索ワードです。アンガーマネジメント、アンガーコントロールというキーワードも昨今話題ですが、怒りだけでなく、あらゆる感情にふりまわされているのが、現代人の特徴なのかもしれません。
誰しも、大なり小なり「できない」ことに出くわすことは日々あると思いますが、簡単に解決しないことでも、周囲の人やインターネットの情報からヒントを得ていくことで、焦りやイライラを落ち着けて、ネガティブな気持ちにふりまわされないことが、大切ですね。
博報堂にて、マーケティング・ブランディング・コミュニケーションとあらゆる企業活動の戦略立案のお手伝いをさせていただいています。