十河 瑠璃
株式会社博報堂 第二BXマーケティング局 ストラテジックプラナー
初めまして、博報堂のストラテジックプラナーの十河です。
今回のフックワードは「方法」です。
何かのやり方がわからない時、とりあえず「〇〇 方法」と検索してみる人は多いのではないかと思います。今回は、ヤフー株式会社が提供するデータ分析ツール「DS.INSIGHT」を使って、「方法」を含む検索結果の上位ランキングを年代別に比較してみたいと思います。人々の知りたい「方法」は、どんなことが年代をまたいで共通していて、どんなことが異なっているのでしょうか?
※「DS.INSIGHT」では統計化されたデータのみを扱っており、個人を識別可能な情報は含まれません。
「メルカリ 発送方法」は10~40代までで1位、50代以上でも4位以内と、いずれの年代でも高順位に入っています。メルカリは高齢層でもユーザーが増えており(注1)、旗艦店を立ち上げメルカリの使い方や発送方法を学ぶ中高齢層を見かけることも増えています。イエナカ時間の増加で断捨離を行う人が増えたこともあり、買う場としてだけでなく売る場としても、幅広い年代にフリマアプリの利用が広がっていることがうかがえます。
また「paypay チャージ方法」についても、すべての年代で2-3位にランクイン。コロナ禍の影響やポイント還元キャンペーンにより、キャッシュレス決済の利用は高齢層にも広がっているようです。
こちらはSNSでブロックされているかどうかをどうやって確認するかを検索した「line ブロック 確認方法」です。「連絡をしたけれど、いつまで経っても既読がつかない。もしかしてブロックされてる?」という不安な気持ちで検索しているのでしょうか。2021年時点で10-50代の80%以上がLINEを利用している(注2)ことを受け、10-50代のすべてで10位以内に入るという興味深い結果となりましたが、コミュニケーションツールの広がりにより人間関係の悩みも年代を超えるようになってきているのかもしれません。
「眠れない/寝れない時に寝る方法」は10-50代で上位となっており、寝付けない夜にベッドで横たわりながらスマホで検索するさまが目に浮かぶようです(それによりかえって目が冴えてしまい、さらに眠れなくなるということも起きていそうですが……)。20-60代でランクインした「自律神経を整える方法」と併せて考えても、不眠や寝つきの悪さ、それによる疲れやすさは現代人の大きな悩みとなっているようです。
加えて10-20代の若年層では「眠気を覚ます方法」も上位となっており、質の高い眠りの需要は非常に高そうです。
また、40代以上では「血圧を下げる方法」が「眠れない」を逆転しており、中高齢層のリアルな悩みがうかがえます。
ダイエット関連の項目も10-60代まで幅広く上位となっています。写真や動画を撮る機会が多いと思われる10代では、目に見えやすい「太もも」や「顔」を痩せようとしている一方で、30-50代では「お腹周り」を気にしているというのは「昔着ていたジーンズが入らない」体験をつい先日したばかりの30代の筆者からしても非常にリアルだと感じます。なお40-60代では「16時間ダイエット」(16時間断食するファスティングダイエット)が上位となっており、単に食べる量を減らすだけでなく、健康を維持しながら痩せたいという意欲もうかがえます。
いかがでしたでしょうか。他にも10代では「身長を伸ばす方法」「垢抜ける 方法 女」などの年相応の悩みや、50代以上では「空豆 塩ゆで 方法」などの料理関係の検索が多くなっていたりという年代差はありましたが、スマホの普及に伴うツールの広がりもあり、意外とどの年代でも同じようなことを悩んでいるのだなという印象を受けました。
技術進化も世の中の変化もどんどん速くなるなかで、「若年層はこういうもの」「高齢層はこういうもの」という常識もめまぐるしく変化しています。今の生活者のありようをリアルに捉えるためには、これまで以上にビッグデータを活用していく必要があるのではないでしょうか。
注1)https://www.j-cast.com/kaisha/2021/08/23418695.html?p=all
注2)LINE Business Guide_202101-06_summary_v1.pdf (linebiz.com)
博報堂生活総合研究所にて消費周りを中心とした生活者研究に従事後、2020年より現職。耐久消費財などのブランディング・マーケティング戦略提案に従事。