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ヒット習慣予報 vol.249『ハッピー飼い主ライフ』

2022.12.20
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの平石です。
いよいよ年の瀬ですね。みなさまお忙しい日々をお過ごしかと思います。
かくいう私は、早く帰省して親戚の家の犬と戯れたいな…などと思いながら、SNSで犬アカウントの投稿を見るのに没頭して現実逃避しております。

さて、今回取り上げるのはその「犬」についてです。
コロナ禍からペットを飼う人が増加していますよね。中でも犬はやはり人気なようで、ペットショップやブリーダーから買う人だけでなく、保護犬を引き取って飼うという選択をする人も増えているようです。
実際にGoogleトレンドで「保護犬」と調べてみると、コロナ禍でさらに検索数が増加していることが分かります。

「保護犬」の検索数推移

出展:Googleトレンド

実際に去年私の友人も、新たに保護犬を飼い始めました。愛犬との飼い主ライフを満喫する一方で、保護犬を初めて飼うため躾が難しく、よく吠えるのでリモート会議が邪魔されることを嘆いていました(大事な会議のある日は出社せざるを得ないそうです)

このように新規の飼い主が増えている中で、“犬がいるとできなかったことを我慢しなくて良くなる=飼い主のストレスが軽減され、愛犬も飼い主もハッピーになれる”モノやサービスが注目を集めてきており、そのサービスを利用する飼い主の習慣が変わってきているようです。
ここでは「ハッピー飼い主ライフ」と名付けて習慣を紹介していきます。

最初に紹介するのは「愛犬とリモートワークサービス」です。
これは愛犬がそばにいても、飼い主がストレスなくリモートワークできるサービスです。
例えば、愛犬と過ごせるようなコワーキングスペースが登場しています。愛犬が隣の室内ドッグランで遊んでいる間に打ち合わせができたり、Wi-Fi環境が整ったカフェスペースで愛犬と同じ席で仕事をすることができたりします。
また、家でも愛犬用の防音犬小屋が密かに売れているようです。普段は家で愛犬と戯れながら仕事しつつ、リモート会議の時だけは防音犬小屋に入ってもらうことで、愛犬と過ごす時間と愛犬に邪魔されない時間を両立させることができ、主に部屋数の少ない単身世帯から人気なようです。
こうしたサービスが仕事の邪魔をされるストレスや、逆に仕事で飼い犬を家においてこなければいけないストレスを軽減してくれると言えます。

続いて紹介するのは「愛犬用オムツ」です。
元々犬用のオムツは、自分でトイレに行けなくなったような高齢犬が付けるものという認識が一般的でした。しかし最近では商品改良が進んだ影響もあり、元気に走り回るような若い犬や子犬にも外出・遠出時にオムツを付けさせる飼い主が増えています。マーキングや粗相の心配がなくなることで、長時間のドライブを伴う旅行や電車での移動などがしやすくなり、飼い主の旅行できないストレスが緩和されているようです。
vol.221『ペットのセレブ化』で紹介されているペット同伴可の宿泊施設も最近はさらに人気なようなので、犬用オムツを付けさせて宿泊施設まで移動し、愛犬と飼い主がどちらもストレスなく楽しむことが定着しつつあるのかもしれません。

最後に紹介するのは「愛犬お預けサービス」です。
かねてからペットホテルやプロのペットシッターに預けることで、飼い主が旅行や出張に行けるサービスはありましたが、どうしてもコストが高いという懸念点がありました。
しかし今では、お預けサービスも多様化が進んでいるようです。
例えば、犬を飼っている人同士が参加しているメジャーな愛犬家交流掲示板が登場して、お互いが助け合うことが珍しくなくなっています。さらには、犬を預けたい人と預かっても良い人のマッチングサービスまでもが登場しています。
ただ見知らぬ人に預けるのではなく、事前にきちんとメッセージのやり取りをしたり、預ける人の飼い主ライフをSNSで確認したうえで預けたりができるので、高いコストのサービスを利用しなくても、飼い主が安心して預けられる選択肢が増えてきているのです。
愛犬お預けサービスの多様化により、飼い主の出張や旅行に伴うコスト面でのストレスが緩和されてきていると言えます。
先ほど紹介した犬を飼っている友人も、掲示板経由で気が合う愛犬家仲間を見つけてお互いが助け合っています。躾の仕方なども教えてもらえるようで、愛犬同士が仲良くなっている写真を見せてくれました。

ではなぜ今このような「ハッピー飼い主ライフ」が広まってきているのでしょうか。
背景には、2つの理由あると思います。
1つは、新規飼い主の増加です。
冒頭で触れた通り、コロナ禍から新規の飼い主が増えたことで、癒しを貰えているが“思っていたのと違った、我慢しなくてはならない部分もある”と仕事・旅行・コストなどの面でギャップ・ストレスを感じている方も増えたことです。
結果、飼っている犬の幸せだけでなく、犬を飼っている人の心地よさにも注目が集まるようになり、ペットも飼い主も家族のいちメンバーとして互いが心地よくハッピーに過ごせるためのモノやサービスが進化し、犬を飼っている人の習慣が変化してきているのではないでしょうか。

2つ目は、コロナの落ち着きによる反動です。
1つ目の話ともつながっていますが、外出制限が厳しかった頃は家で愛犬と時間をかけて接することができました。しかし今は仕事での出社・出張に行く機会が戻ってきたり、旅行にいくことができるようになってきたりして、コロナ禍のピークには感じていなかったストレスを飼い主が感じるようになったのだと考えます。コロナが落ち着きつつある中で、在宅ワーク対策だけでなく、外出機会増加に伴う新たな対策の双方が求められているのです。
だからこそ今、「ハッピー飼い主ライフ」習慣が広まってきているのではないのでしょうか。

最後に「ハッピー飼い主ライフ」習慣を活かしたビジネスチャンスを考えてみました。

「ハッピー飼い主ライフ」のビジネスチャンスの例
■服に毛がつくストレスをなくす、ペットの毛がつかないオシャレなパンツやニット
■急な外出時にも安心して犬を見守ってくれる、見守りカメラ付きロボットシッター
■犬の声に邪魔されるストレスをなくす、人間の声とペットの声を判別して、人間の声だけを拾ってくれるリモート会議向け特殊マイク

ハッピーでヘルシーな飼い主ライフを送っていきたいものですね。
僕も将来は犬を飼って長野にでも別荘が欲しいな…なんて現実逃避を重ねています。
みなさま、よいお年をお迎えください。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

平石大貴(ひらいし・だいき)
関西支社第二ビジネスデザイン局第二プラニングチーム
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2020年博報堂中途入社。前職から継続してストラテジックプラナーとして働く自称「関西支社の元気印」。4つ下の弟・9つ下の妹がおり、家族揃ってカープファン。コロナ禍で始めたゴルフのベストスコアは100でアイアンがダフりがち。

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