垂水 友紀
博報堂買物研究所 所長
博報堂買物研究所の垂水です。タイトルに2021が3つも入っていて恐縮ですが、今回は「年号」にまつわる発見をお届けします。
ヤフー株式会社が提供するデータ分析ツール「DS.INSIGHT」を使っていると、2021年に「〇〇 2021」という検索が多い事に気づきました。私も広告の仕事の中で、トレンドや新商品の情報などを把握するのは重要で、たびたび年号を入れて検索することがあります。
そこで、2018年の「2018」、2019年の「2019」、2020年の「2020」、2021年の「2021」が、どんな言葉と組み合わせて調べられているのか?を探っていこうと思います。
※「DS.INSIGHT」では統計化されたデータのみを扱っており、個人を識別可能な情報は含まれません。
以下がトップ10になっています。ベーシックにカレンダーは検索されており、毎年ランクインしています。
時系列の変化として面白かったのは、コロナ前とコロナ後の違いです。コロナ前の2018年、2019年は、「花火大会」や「桜の開花予想」など、季節のイベントキーワードが多いです。一方で、2020年、2021年にはランク外に。代わりに「父の日」と「母の日」がランクインしています。しかも3位や1位といったかなり上位に位置しています。
想像できる生活者の行動としては、コロナ感染者が大幅に増えた当時はなかなか里帰りが出来なかったり、近くにいても高齢の両親に容易には会えない日々が続いていたことが考えられます。そんな中で父の日や母の日にあわせて、プレゼントを贈ったり、何かメッセージを送ろうとしている人が、かなりの割合で増えている、という事の表れではないでしょうか。そう思うと、私はけっこうこの結果にほっこりしてしまいました。
検索が増えているということは、「父の日」や「母の日」の販促需要が伸びているのではないかという仮説も立てられます。プレゼントニーズは多様ですし、今までその時期にキャンペーンをしていなかった商品も「父の日」や「母の日」販促を検討してもよいかもしれません。また、1度プレゼントすると“来年も”というのは起こりやすく、この需要はしばらく続きそうです。
毎年必ずランクインしているのがスポーツにまつわるキーワードです。「ラグビーワールドカップ2019」は2019年の1位です。私も試合会場に応援に行きまして、かなりラグビーにはまってしまったので納得の結果です。選手や試合結果を調べようと、何度かこのキーワードで検索した記憶があります。
また、野球関連のワードは毎年ランクインしています。2018年~2020年までは「ドラフト会議」や「ドラフト」が入っていましたが、2021年は「甲子園」がランクイン。前年に中止され、再開された甲子園に特に注目が集まった結果だと言えます。
最後に、2021年に検索されている「れいわ何年 2021」に注目です。2019年に令和が始まり、記憶も新しく検索する必要はなかった。そして、2020年も去年令和1年だったから、今年は2年か、と記憶にあった。そして3年目を迎える2021年は、だんだんと記憶があいまいになり、「れいわ何年」を調べてしまう気持ちもわかります。
2022年は外出制限がなくなり、イベントがだんだんと開催されるようになってきて、生活が戻りつつある面も増えました。今年はどんな言葉がランクインしているのでしょうか。個人的には、「母の日」が継続して1位であるといいなと思っています。
生活者の買物体験をより良くしていくために、ショッパー・インサイトを起点に、ソリューション開発や対外的に研究発表を行っています。