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コロナで変化!2021年に1番検索された2021は「母の日 2021」(連載:デジノグラフィで読み解く〇〇vol.14)

2023.02.02
#デジノグラフィ#トレンド#生活総研
ネット上には多様な生活者の声があふれています。中でも、ブラウザ検索のキーワードとして打ち込まれた文字列には、生活者自身の思考が素直に投影されています。あの細長い検索窓には、生活者が疑問に思っていること、分からないこと、悩んでいることが、時として検索ワードというより心情を吐露する文章になって打ち込まれているのです。
本連載では、そんな検索ビッグデータに現れた生活者の移ろいゆく心を様々な博報堂社員の視点でご紹介していきます。ベースになっているのは、博報堂生活総合研究所が提唱する、デジタル上のビッグデータをエスノグラフィ(行動観察)の視点で分析する手法「デジノグラフィ(https://seikatsusoken.jp/diginography/)」の考え方です。
ビッグデータ分析、というとなんだか肩に力が入ってしまっていけません。リラックスした気分で、データの向こう側にある現代社会を生きる生活者の日々に思いを馳せられる半分エッセイのようなコラムを連載でお届けします。
※本コラムは、Webメディア「NewsPicks」の「トピックス」に掲載された記事の転載です。

垂水 友紀
博報堂買物研究所 所長

博報堂買物研究所の垂水です。タイトルに2021が3つも入っていて恐縮ですが、今回は「年号」にまつわる発見をお届けします。

ヤフー株式会社が提供するデータ分析ツール「DS.INSIGHT」を使っていると、2021年に「〇〇 2021」という検索が多い事に気づきました。私も広告の仕事の中で、トレンドや新商品の情報などを把握するのは重要で、たびたび年号を入れて検索することがあります。

そこで、2018年の「2018」、2019年の「2019」、2020年の「2020」、2021年の「2021」が、どんな言葉と組み合わせて調べられているのか?を探っていこうと思います。
※「DS.INSIGHT」では統計化されたデータのみを扱っており、個人を識別可能な情報は含まれません。

以下がトップ10になっています。ベーシックにカレンダーは検索されており、毎年ランクインしています。

コロナで「父の日」と「母の日」は絶好の販促機会に!?

時系列の変化として面白かったのは、コロナ前とコロナ後の違いです。コロナ前の2018年、2019年は、「花火大会」や「桜の開花予想」など、季節のイベントキーワードが多いです。一方で、2020年、2021年にはランク外に。代わりに「父の日」と「母の日」がランクインしています。しかも3位や1位といったかなり上位に位置しています。

想像できる生活者の行動としては、コロナ感染者が大幅に増えた当時はなかなか里帰りが出来なかったり、近くにいても高齢の両親に容易には会えない日々が続いていたことが考えられます。そんな中で父の日や母の日にあわせて、プレゼントを贈ったり、何かメッセージを送ろうとしている人が、かなりの割合で増えている、という事の表れではないでしょうか。そう思うと、私はけっこうこの結果にほっこりしてしまいました。

検索が増えているということは、「父の日」や「母の日」の販促需要が伸びているのではないかという仮説も立てられます。プレゼントニーズは多様ですし、今までその時期にキャンペーンをしていなかった商品も「父の日」や「母の日」販促を検討してもよいかもしれません。また、1度プレゼントすると“来年も”というのは起こりやすく、この需要はしばらく続きそうです。

強い!国民的スポーツイベント。ドラフトvs甲子園

毎年必ずランクインしているのがスポーツにまつわるキーワードです。「ラグビーワールドカップ2019」は2019年の1位です。私も試合会場に応援に行きまして、かなりラグビーにはまってしまったので納得の結果です。選手や試合結果を調べようと、何度かこのキーワードで検索した記憶があります。

また、野球関連のワードは毎年ランクインしています。2018年~2020年までは「ドラフト会議」や「ドラフト」が入っていましたが、2021年は「甲子園」がランクイン。前年に中止され、再開された甲子園に特に注目が集まった結果だと言えます。

人の記憶が続くのは2年まで。3年目からあいまいに。

最後に、2021年に検索されている「れいわ何年 2021」に注目です。2019年に令和が始まり、記憶も新しく検索する必要はなかった。そして、2020年も去年令和1年だったから、今年は2年か、と記憶にあった。そして3年目を迎える2021年は、だんだんと記憶があいまいになり、「れいわ何年」を調べてしまう気持ちもわかります。

2022年は外出制限がなくなり、イベントがだんだんと開催されるようになってきて、生活が戻りつつある面も増えました。今年はどんな言葉がランクインしているのでしょうか。個人的には、「母の日」が継続して1位であるといいなと思っています。

垂水 友紀
博報堂買物研究所 所長

生活者の買物体験をより良くしていくために、ショッパー・インサイトを起点に、ソリューション開発や対外的に研究発表を行っています。

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