※「消齢化社会」についての詳しい内容は、こちらの博報堂生活総合研究所の「みらい博」特設サイトからもご覧いただけます。
https://seikatsusoken.jp/miraihaku2023/
毎回、様々なテーマで10〜15年先の日本の未来像を描き出す「みらい博」。
今回のテーマは、生活総研が独自に発見した、生活者の長期的な変化潮流「消齢化」です。
講演の冒頭では、石寺所長よりご挨拶と、今回のテーマ「消齢化」について導入となる話がありました。
□「消齢化社会」とは、年齢による生活者の価値観や嗜好などの違いが小さくなる社会
□これまでビジネスを展開する上で大きな拠りどころとしていた生活者のデモグラフィック特性の常識が大きく揺らぐ
□今回の講演は、「消齢化」をめぐる思考と探索の“旅”という仕立て
□自分の感覚値と大きく異なった時の“驚き”や“疑問”こそ、人間理解を深めるきっかけ。ぜひ一緒に「消齢化」についての探求を
そもそも「消齢化」とはどんな潮流か?何がきっかけでその潮流を発見したのか?これらについて、研究初期段階の“問い”と“探索”を追体験する形式で、近藤上席研究員より説明いたしました。
□「消齢化」発見のきっかけは、「生活定点」の長期時系列データ(1992-2022年)
□複数の項目で「年代による違いが小さくなっているもの」と「大きくなっているもの」2つの特徴的なグラフの動きがあった
□どちらが数としては多いのか?⇒「違いが小さくなっている」項目の方が多かった
□どんな分野で起きているのか?⇒年代による違いの縮小は、衣食住はじめ生活の様々な分野で起きていた
□「生活定点」だけの傾向なのか?⇒NHK放送文化研究所の長期時系列データ「日本人の意識」調査(1973-2018年)でも「違いが小さくなっている」項目の方が多かった
□「年齢による違いが小さくなっている」ことは、生活者の大きな変化潮流である。この潮流を「消齢化」と命名
Part.1の最後で提示された問い「消齢化はなぜ起こっているのか?」を受け継ぐ形で、消齢化の背景をめぐる生活総研の探求の模様と導き出した結論について、三矢上席研究員より説明いたしました。
□背景探索の手がかりは、「生活定点」グラフの“動き”
□年代による違いが縮小しているグラフの変化パターンに着目した
Part.2の最後で示された「消齢化はこの先も続くのか?」という問いを受けて、佐香上席研究員と加藤研究員が登壇。ふたりの対話も交えながら、上記の問いや、消齢化がさらに進んだ先の未来の展望について説明いたしました。
最後に、再び石寺所長が登壇し、ここまでの発表を受けての総括と、「消齢化」を受けて、今後企業に求められる考え方などについて提言を行いました。
□「少子高齢社会」である日本。量的には「高齢化」だが、質的には「消齢化」
□各年代の生活者が「近づく」というより、年齢が「消えていく」社会と捉えてみる
□「年齢」で人を排除している市場はないか?
□デモグラの説明力が弱まるならば、有効性を増すのは「社会統計的な属性(Sociographics)」や「心理的な属性(Psychographics)」
□「とりあえず年代別にみると……」からの脱却を。マーケティングの“初動”が変わる
□「ターゲットの年代の特徴は……」の盲点に留意を。そのインサイトは他の年代にも共通しているかも?
□「違い」作りから、「同じ」探しへ。生活者データを“再集計”してみませんか?
なお、今回の講演はリアルタイム・アンケートにより参加者に「消齢化」に対する意見をうかがうなど、インタラクティブなやりとりも交えて行われました。
講演終了後、来場者からは、
・長期にわたる定点調査に基づいた考察で、説得力がありとても参考になった
・普段なんとなく感じていたことが、“消齢化”と言語化されていると感じた
・スモールマスでヒット商品が生まれない時代だと認識していたが、“大きな同じ”にヒット商品の可能性を見出しました
・久しぶりのリアル開催は、聞く方も緊張感があってよかったです
などの声をお寄せいただきました。
博報堂生活総合研究所は今後も「消齢化」のさらなる探求をはじめ、生活者のきめ細やかな調査研究を通じて、よりよい未来を提言する活動を続けてまいります。どうぞご期待ください。