こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中林です。
気がつけばもう3月ですね。急激に暖かくなって、お散歩日和の日も増えてきました。花粉さえなければなお良いのですが、、、
年度末の3月は、お仕事もプライベートも、なにかと忙しくなりがちですよね。新年度を思ってちょっとソワソワしながら、一年を振り返りつつ過ごしている方もいるでしょう。一方で、心機一転新しいことを始めたくなる季節でもあります!私の周りでも、新しい習い事や趣味を持ち始めている人が多いのですが、その中で見つけた共通点を、今日はご紹介したいと思います。
その共通点とは、若者を中心に、日本の伝統文化を趣味として楽しむ人が増えているということです。
まずひとつ目にご紹介するのは、「金継ぎ」。
下のグラフからもわかるように、日本の伝統工芸である金継ぎが再注目されているのですが、若者にも広がってきているようです。
「金継ぎを知っていますか?」年代別の認知度推移
金継ぎは、割れたり欠けてしまった陶器を、漆を使って修復し金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法です。古くから伝わる日本の伝統文化ですが、いま、国内だけでなく海外からもひろく注目を集めているのです。
注目の理由のひとつは、サーキュラーエコノミーの流行に関係しているかもしれません。
サーキュラーエコノミーとは、資源を循環させて長く大切に使おうという考え方で、その考え方が、金継ぎの「壊れてしまった陶器を美しく生まれ変わらせて長く大切に使う」という精神と合致しているのだと考えられます。
未来のために資源を大切にする、という意識が根付いている若者世代にとってはより共感できる文化なのかもしれませんね。
金継ぎは、陶器ごみの量を削減する一つの手段としても、国全体としてますます注目を集めている伝統文化となっています。
次にご紹介するのは、「陶芸」です。
陶芸も、同じく古くから親しまれる日本の伝統工芸ですが、現代においては職人さんのものから一般人でも楽しめるものとして変化を遂げている文化であるといえます。
中でも若者から注目を集めている理由のひとつは、その気軽さ。
工房で用意されている材料やろくろなどの機材で制作し、後日作品が手元に届くという形式の体験工房が増えています。その手軽さが現代人の感覚と合って、趣味として受け入れられているのかもしれません。実際にわたしの周りでも、陶芸教室に通っている人が増えており、流行の兆しを感じています。
また、コロナ禍を経て自宅で食事することが増えたことから、食器にこだわりを持つようになった若者が増えたことも、関係しているのではないでしょうか。
最後にご紹介するのは、「短歌・和歌」です。
こちらは言うまでもなく、みなさんご存知の和文化ですが、いま若者を中心に現代短歌という新しい文化として定着しつつあります。
若者に支持されている理由として考えられるのは、親しみと共感にあると思います。
親しみという点では、短歌の31字で完結する潔さがポイントで、SNSで自己表現することに慣れている若者世代にとって身近に感じられるのだと考えられます。また、共感という点では、言葉にすると気恥ずかしいような内容でも、歌にすると自然に語れて、それが若者同士の共感を生み出しているのではないでしょうか。
最後に、なぜいま伝統文化が若者から注目されているのかについて少し考えてみました。
まず考えられるのは、現代人は日常から開放される時間を求めている、というインサイトと、和の文化にふれることで得られる開放感がピタリとはまったのではないか、ということです。常にデジタルと隣り合わせで誰かとつながっている若者世代にとって、没頭してものづくりをする時間や、自分を見つめ直す時間は、邪念を払うという意味でも必要な時間なのもしれません。
デジタルデトックスやプチ断食など、なにかを断つことで開放感を得るという習慣は現代社会において定着しつつありますが、日本ならではの伝統文化に触れることで、日本人らしい感性や知性、技術を身につけ、日常の中で自分を見つめ直す時間を作れるというのが支持されている大きな理由なのかもしれません。
最後に、日本の伝統文化の今後の広がりについて、考えてみました 。
目まぐるしく変化し、走り続けていないと知らないうちに置いていかれてしまうような現代社会ですが、立ち止まって、古くから伝わる伝統や先人の知恵を学び直すという時間も人生においてはきっと欠かせないことですよね。
温故知新の精神を忘れずに、いまいちど自分を振り返る年度末にしよう、、、と、この記事を書いていて思ったのでした。
2021年博報堂に入社。一人前のマーケティングプラナーをめざして毎日修行中。趣味はヨガと編み物、好物はさば寿司と卵焼きです。まいにち散歩をします。