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ヒット習慣予報 vol.262『カラダ整え男子』

2023.04.04
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの平石です。
新年度を迎え、何かと新しいことをはじめたくなる時期ですね。
かくいう私もやる気に溢れておりまして、オンライン英会話を始めてみることにしました。あとは何度か挫折したダイエット目的のジム通いにも再チャレンジして、自分のカラダを整えていきたいと思います。

さて、今回取り上げるのはその「カラダを整える男子」についてです。
といってもここでの「整える」とは、部屋の整理整頓やサウナでのトランス状態を指すのではなく、自己投資によって自分自身をブラッシュアップしていくことを指しています。
Googleトレンドで「自己投資」と調べてみると、2012年以降緩やかながら右肩上がりで増加している通り、自己投資への注目度は高まってきています。

「自己投資」の検索数推移

vol.78『メイクアップ紳士』で紹介されているように、近年男子の美意識が向上し、メンズコスメを利用したメイクをすることが流行しています。百貨店やバラエティーショップでもメンズコスメコーナーを目にする機会が目に見えて増えました。
さらにコロナ禍を経て、メイクにとどまらず様々な手段で自分を整えることに投資を惜しまない男子が増加しているようです。
こうした自己投資による男子の整え事情=新たな習慣を「カラダ整え男子」と名付けてご紹介していきます。

最初に紹介するのは「体毛整え男子」です。
近年、一昔前だとなかなか考えられなかったほど、サロンやクリニックなどで脱毛に取り組む男子が、急激に増加しています。
男性の脱毛というとヒゲ脱毛がメジャーでしたが、今はVIOや脚などの一見目に見えない体毛も脱毛することが習慣としている人もいるようです。
また、プロによる脱毛だけでなくおうち脱毛も注目を集めており、光脱毛器が男性にもよく売れているようです。

全身脱毛をしている友人は「脚や腕がスベスベの自分を見ると気分が上がる。あと清潔感があってモテそうな気がする」と言っていました。わかる気もします。

続いて紹介するのは「眉毛整え男子」です。
先ほどの体全体を脱毛するのとは異なり、眉毛に特化して整え投資を行う男子を指します。元々男性も自分で眉コームやピンセットを使って眉毛をきれいにすること自体は一般的でしたが、ここ数年で眉毛を整える専用の「眉サロン」に定期的に通う男子が増加しました。大体月1回、5000円ほど支払って通う人が多いそうです。
これはコロナ禍でマスクをつける機会が増えたこともあり、顔の見える部分が鼻より上になった結果、眉毛の重要性が高まったことが影響していると考えられます。
女性のネイルサロンのように今後さらに定着していくかもしれません。

最後に紹介するのは「矯正で整え男子」です。
歯列や骨格・骨盤などの“矯正”を行うことで自分を整える習慣です。
歯列でいうと、兼ねてから技術的に存在はしていましたが、大人になってから思い切って自分の歯列を整える歯科矯正に取り組む人が増加しているようです。
背景には先述したマスク社会によって口元が隠れることでチャレンジしやすくなったことだけでなく、技術的な進歩も影響しているのではないでしょうか。
たとえば、以前と比べて圧倒的に矯正していることがわかりにくい透明なマウスピースを用いた矯正が浸透し、技術的にも精度が上がってきたなどです。マウスピース矯正を取り入れる歯科が増加した結果、競争原理が働き価格も安価になってきています。
実は私自身1年ほど前からマウスピース矯正を行っていますが、人に気づかれないことが多いですし、周囲の友人から詳しく感想などを教えてほしいと言われたことも一度や二度ではありません。

骨格・骨盤矯正についても、元々女性の方がやるものというイメージが強かったかと思われますが、昨今では矯正男子が増えているそうです。

体全体の歪みを整える矯正だけでなく、小顔効果のある矯正も人気になってきています。
骨格矯正のサブスクリプションサービスも登場しており、私の周りでも通っている男子がちらほら見られます。
自分の骨格タイプ診断が当たり前に話題に上がるようになったように骨盤・骨格への注目度が高まったことが、“体の土台である自分の骨まで整えたい”というニーズを持つ男子の増加につながっているのかもしれません。

ではなぜ今このような「カラダ整え男子」が広まってきているのでしょうか。
背景には、2つの変化があると思います。
1つは、憧れる像の変化です。
以前は男らしい男性こそがかっこいいとされ、肌や体毛などあまり気にしないことが一般的だったかと思います。しかし近年では、韓国の男子アイドルなどどちらかというと中性的な男性像に憧れる人が増えています。そうした中性的な男性像に近づく手段として、体毛・眉毛ケア、歯の矯正やスキンケアにまで新しい技術を駆使することができるようになりました。今の憧れの男性像に近づくための手段が「カラダの整え」なのではないでしょうか。

2つ目は、自己投資・努力に対する価値観の変化です。
以前は、有名人が何か自分磨きの努力をしているかを聞かれると「特に何もしていません」と回答することがスタンダードだったように“努力は隠すもの・表に出さないもの”という価値観が根付いていたように思います。しかしInstagramやTikTokなどの画像・動画型のSNSが浸透して以降、徐々に自分の努力の過程や手段を具体的に発信する人が増え、そうしたインフルエンサーの等身大な様子や役立つ面が評価されるように変化していきました。自己投資をして自分を整える努力をする人=かっこいいというように世の中の認識が変化していったのではないでしょうか。結果として、男子でも自分のスキンケアや脱毛・歯列矯正の様子などを発信する人が増え、整えに興味を持つ人が増えたのだと思います。友人間で当たり前のように話題にしやすくなったのも大きいはずです。

上記のような変化から「カラダ整え男子」の習慣がメジャーになってきているのではないのでしょうか。

最後に「カラダ整え男子」習慣を活かしたビジネスチャンスを考えてみました。

「カラダ整え男子」のビジネスチャンスの例
■髪の毛・眉毛など体中の毛を理想のイメージに近づけてくれる、パーソナライズ毛サロン
■自分の歯並びが変わるとどう印象が変わるかがスマホに映る自分でわかる、きれいな歯並びフィルター
■家族など周囲の人にカラダ整えを理解し後押ししてもらえる材料になる「20代カラダ整え白書」

見ていただいている男性のみなさま、新年度ですし何か新しい「カラダ整え」を始めてみてはいかがでしょうか。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

平石大貴(ひらいし・だいき)
関西支社第一ビジネスデザイン局第一プラニングチーム
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2020年博報堂中途入社。前職から継続してストラテジックプラナーとして働く自称「関西支社の元気印」。4つ下の弟・9つ下の妹がおり、家族揃ってカープファン。コロナ禍で始めたゴルフのベストスコアは100でパターの調子にムラがありがち。

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