こんにちは。ヒット習慣メーカーズの吉田です。
普段、何かしらの動画を垂れ流しながら生活している私ですが、最近とある動画を見た影響で、グミをよく食べるようになりました。中学生になったあたりから全く買うことがなかったのですが、久しぶりに食べてみると、グミ特有の食感や手軽さもあり、仕事や作業のお供として、今では常に手元に置いておきたい存在になっています。
Googleトレンドで「グミ」と検索してみると、2021年から爆発的に検索数が増加しています。昨年が検索数のピークでしたが、現在でもその検索数は高い状態が続いています。
このようにスイーツには、定番と言われるものであっても突発的に流行することがままあります。そこで、今のスイーツのトレンドについて色々と調べてみたところ、多種多様なスイーツにも、「視覚体験に比重を置いている」という特徴が共通していることがわかりました。
そこで、今回は、「ビジュアルがいい」のネット用語としてじわじわと広がっている「ビジュい」という言葉を借り、「ビジュいスイーツ」と題しまして、「目で食を楽しむ」ことをメインにした、ユニークな見た目のスイーツの事例をいくつか紹介したいと思います。
最初に紹介する事例は、冒頭でも触れた「グミ」です。
高校生がこれから流行しそうだと思うものにも「グミ」が挙げられるなど、スイーツ界隈では大いに注目されている「グミ」。
カラフルでポップな見た目は、まさに「目でも楽しめる」スイーツの代表格ですが、最近はより見た目に特化したグミが増えてきています。
カラフルな見た目のものや、自作のユニークなグミを食べる動画が動画投稿サイトを中心に広がっており、従来の粒上のグミだけでなく、ボトルから押し出して食べるという変わったグミまで登場しています。形状や色の自由さが、今の「視覚で楽しむ」という潮流と非常にマッチしているスイーツだと思います。
続いて紹介する事例は、「2Dケーキ」です。
2Dケーキとは、ケーキやフルーツの境目を着色したクリームやチョコレートなどで縁取りし、本来は立体的なケーキが、2D(平面)に見えるというスイーツのことで、まるで絵本や漫画から飛び出してきたように見えることから、「コミックケーキ」などとも呼ばれています。
もともとは、昨年、韓国で「2Dカフェ」という絵本をイメージしたカフェが流行した影響で、今年に入ってから日本国内でも2Dカフェがオープンしたことで、2Dケーキの認知が広まり、流行したと言われています。
見た目は完全に絵なのに、ナイフを入れると立体的なケーキが出てくるように見えるという、ユニークな視覚体験が特徴的で、食べられるトリックアートと言えるようなスイーツです。
最後に紹介するのが、「10円パン」です。
こちらも「2Dケーキ」と同様に、韓国発のスイーツで、韓国のウォン硬貨をデザインした菓子パンが、慶州に訪れた観光客を中心に大ヒットし、その流行が日本にも波及し、「10円パン」としてZ世代を中心にブームになっているようです。
10円硬貨を模したデザインが特徴的なパンですが、もう一つ大きな特徴があります。それは、パンを割ると中に入っているたっぷりのチーズが長く伸びる、というものです。
硬貨を模した特徴的なデザインもさることながら、この伸びるチーズというのが「10円パン」をより魅力的に見せており、パンを割ることにワクワク感がプラスされるだけでなく、SNS映えする見た目のインパクトもあることで、ブームにつながったのではないでしょうか。
ここまで事例をいくつか紹介してきましたが、どのスイーツも、「美味しい」という「味覚」の要素に加えて、ユニークかつインパクトのある見た目や、ワクワクするような体験がセットになっていることが多いことがうかがえます。
では、このような、「ビジュいスイーツ」が流行している背景にはどのようなことが考えられるでしょうか。
まずひとつは、スイーツへの「映え」の意識の変化です。SNSがコミュニケーションツールとして浸透して以降、「SNS映え」が重視されて久しいです。ただ、その「SNS映え」にも変化が起きており、少し前までは美味しそうなものをおしゃれに撮ることがSNSにおける映えでしたが、現在は、おしゃれさよりも面白さやワクワク感といったエンタメ要素の方が重視されるような傾向にあります。この傾向もあり、今回紹介したような、見た目がユニークかつエンタメ性のある「ビジュいスイーツ」が流行しているのではないでしょうか。
また、コロナ禍も一旦の落ち着きを見せたことで、リアルでの交流への欲求が高まっていることも背景として考えられます。友達と一緒に何かをしたいと考えた際に、ユニークでポップな「ビジュいスイーツ」は、友達を遊びに誘う口実としてぴったりだったこともあり、流行に火が付いたのではないでしょうか。
最後に、「ビジュいスイーツ」のビジネスチャンスについて、少し考えてみました。
今後もユニークな見た目のスイーツが流行していくと思いますが、見た目の楽しさにつられて、思わず食べ過ぎないように気を付けていきたいですね。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2020年北海道博報堂に入社し、マーケティング・ストラテジックプラナーとして業務に邁進している。インターネットに生息し、日夜インターネットカルチャーを浴び続けている。