PLAZAを展開する株式会社スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーが、新たな商品や情報との出会いを通じて生理に対する考え方やイメージを少しずつ変え、PLAZAらしく、Z世代の生理の本音にそっと寄り添っていきたいという思いから始動したプロジェクト「Nice to meet me!」の第一弾として2022年3月にローンチ。コスメやお菓子を手に取るように、生理用品をストレスなく楽しみながら購入してほしいという思いのもと、海外の雑貨のようなデザインを採用した生理用ナプキン。
-PLAZAオリジナルの生理用品というのは、どんなきっかけで生まれたのでしょうか?
渡部:はじめは、中心顧客であるZ世代に向けた企画を考えたいというお話があり、そのなかで生理用品のアイデアが生まれました。はじめはもっといろんなアイデアがあったんです。サステナブルな素材を使ったグッズや、コスメとかサービスとか。ドラマをつくってみようという案もありました。たくさんの切り口があるなかで、PLAZAのご担当者の方が女性のエンパワメントに関心の強い方だったこともあり、ナプキンのアイデアが形になっていきました。
-女性のエンパワメントという視点でもさまざまなアプローチがあったと思いますが、なぜ生理用品という商材にフォーカスしたのですか?
内田:その頃ちょうどフェムテックに注目が集まっていて、生理関係のアイテムがたくさん出てきていたんですよね。でも、今回目指すZ世代をターゲットに絞った商品はなかなかありませんでした。
中田:生理用品って買いにいくこと自体が憂鬱に思うこともあるじゃないですか。買い物カゴに入っているのをなるべく見られたくない、レジに持っていくのが恥ずかしいという感覚があって、わたしはいつもネットでまとめ買いしていたんです。
松田:そういうネガティブな対象ではなく、月に一回少しでも楽しみになるようなイベントにできないかと考えて、はじめはサブスクリプションの企画も考えていたんだよね。癒しグッズといっしょに届くみたいな。でも、サブスクで1ヶ月分を届けようとすると、生理って本当に人によって違うから、一定の量では足りない人も逆に余ってしまう人もいて。サービスとして中途半端なものになってしまう懸念があり、店頭で販売する商品へと方向転換しました。
渡部:少し前から、すごくシンプルで生活を邪魔しないとか、色々なデザインのものが出はじめてはいたんです。でもそうではない、もっとPLAZAらしいアプローチがある気がして。「また買いに行かなきゃいけない・・・」という消極的な気持ちではなく、もっと気分が上がるような、購入体験に変えたい気持ちがありました。買いに行きたくなるような能動的なアクションを生むにはどうすればいいか。それを考えて生まれたのが、このナプキンだったんです。
-デザインの方向性はどのように詰めていったのですか?
小暮:サブスクで考えていたときは、もっと癒しの方向性で考えていたときもあったんです。でも、PLAZAの店頭に並んだときのことを考えると、それではほかの商品に埋もれてしまうし、PLAZAらしさが出せない。PLAZAのご担当者の方からも、海外雑貨やお菓子を買う感覚で手に取れるものがいいというご要望もあり、この方向性に決まっていきました。実際の店頭でも、お菓子や雑貨といっしょに並べられているんですよ。
中田:パッと目を引くインパクトがあって、なおかつ女性たちが感じる恥ずかしさを取っ払って、「ほしい!」と思えるデザインとは何か、すごく悩みましたよね。
小暮:デザイナーとしてはピンクとハートというド直球なデザインに少し抵抗感もあったんです。多様性と言われる時代に、女の子っぽいデザインが女性らしさの押し付けにならないかという葛藤もありました。でも、いろいろなデザインや色を提案して調査した結果、ピンクやハートのモチーフが支持されたことがわかりました。みんなが直感的にいいと思ってくれるものを素直に受け入れ、エゴなしで表現することも大事だなって。
石川:ちょうどその頃、生理に対する考え方やイメージを変えていこうという動きが社会の中でもあったので、わたしはPRとして新しい見せ方をする必要があるなと考えていたんですが、初めてこのデザインを見たとき、「かわいい!」に振り切っているのがすごく印象的でした。これだったら、持ち運びたくないものをポジティブに手に取れるというのが一目で感じられたので、その価値をわかりやすい形で届けたいと思ったんですよね。
-オーガニックコットン素材のナプキンにするというのはどういう経緯で?
松田:オーガニックコットン素材のナプキンをずっと愛用しているメンバーがいて、ミーティングで、ぜったいその方が使い心地がいいと熱弁していて(笑)。それを聞いて使ってみたら、たしかにかぶれにくくてとってもよかったんですよね。
内田:わたし自身生理痛が重かったのでいろいろ調べることが多く、オーガニックコットンの使い心地が気に入っていたんです。
渡部:ティーン向けにつくっているので、これが初めて使うナプキンになる可能性もある。エントリー商品として、なるべくやさしいものがよいないう気持ちもありました。
小暮:製品を実際に作ってくださる企業への提案資料なども何度も試行錯誤しながら作りました。このような取り組みも勉強になりました。
渡部:このプロジェクトが立ち上がってからローンチまで長い時間をかけてつくりあげていくプロジェクトで、最後までモチベーション高く走り切れたのがよかったです。PLAZAチームの皆さんは、ものづくりのプロフェッショナルだったので、教えていただきながらチーム一丸となって取り組めました。
石川:メンバーが大好きなパッケージデザインを見ながら、みんなで「これを完成させるために頑張ろう」というモチベーションがあったのがよかったですよね。すごくワクワクしていた記憶があります。
内田:いつもみんなでワイワイキャッキャやってたよね(笑)。
-「The Week」というネーミングに込めた思いは?
渡部:まずは「生理にまつわるあたらしい出会いを」というテーマでプロジェクト名を考え、「Nice to meet me!」というタグラインをつくりました。そのまま商品名にすることも考えたんですが、アンケートをとってみたところ、「そこまでポジティブな気分じゃない」という意見があったり。逆にもう少しネガティブなネーミングにすると、「そこまでネガティブな気分じゃない」という意見があったり。捉え方が千差万別なんですよね。だから、みんなそれぞれ「あなたの1週間を大切にしてね」という意味合いを込めて「The Week」という商品名になりました。
内田:いろんな生理の価値観があったよね。人によってまったく捉え方が違うから、少しニュートラルな言葉に落ち着いたんだと思います。
石川:PLAZAのアンケートも参考にさせていただきましたが、本当にさまざまな意見があったのが印象的でした。
松田:ステートメントをつくるとき、最初は「生理なんてきらいだよね?そんなあなたに…」という流れで 書いていたんです。でも生理を悪者にするのも違うという意見をもらったんですよね。みんな生理なんて煩わしいものだと思っていると考えていたから、「生理は大切」という捉え方もあるなんて目から鱗でした。
―今回の企画を通じて気付いたこと、今後の展望などあれば教えてください
内田:今回のプロジェクトについては、社会課題というより、月に一回自分にやってくるもの。だからやりやすかったですし、何事も自分ごと化して考えることが大事なんだなと思いました。社会課題って、どこかでぜったいに自分も関わっていることだから。
石川:こういう商材なので、情報発信をしていくうえでポジティブな意見もネガティブな意見も出るだろうなと思っていました。でも結果的にネガティブな意見はほとんど出なかったんですね。それはなぜかと考えると、やっぱりPLAZAというブランドでないとできないことができていたから。背伸びをして社会課題を解決しよう!というのではなく、ちゃんとPLAZAらしく、PLAZAしかできないことを背伸びせず表現できたからだと思っています。それは、PLAZAがこれまでつくってきた歴史や活動のうえで成り立っているんですよね。
渡部:これまでPLAZAでは生理用品を扱っていなかったので、PLAZAとしてもチャレンジだったと思うんです。でもナプキンを通して自分の生理のことをちゃんと知ろうと思うきっかけがつくれるかもしれない。若い世代が集まる場所だからこそできることがあると感じました。他にも、TikTokで産婦人科医の宋美玄先生との座談会を配信したり、フライヤーに学びのコンテンツを入れてみたり。「かわいい!」という入り口から、若い世代が自分自身のからだについて考えるきっかけになってくれればうれしいなと思います。「The Week」で「Nice to meet me!」プロジェクトとしての方向性はしっかりつくれたと思うので、引き続き取り組んでいきたいです。
2012年入社。デザインの領域拡大・理解促進を目指し、従来の広告領域に捉われない活動を行う。
2017年入社。TVCM、グラフィックはもちろん、プロモーションやサービス開発など、広い領域で言葉を書きます。「いいコピーでいい仕事」をこころがけています。
変化の多い時代。人の心に寄り添う、優しくて、つよいコピーを書きたいです。
2015年入社。社会の風を読むPR視点を軸に、世の中から応援される事業やブランドづくりに取り組む。
嘘っぽくなくチャーミングな方法で、半径5Omから世の中をよくしたいです。
企画と演出とを行き来しながら、クラフトクオリティにこだわり、ひとの心を動かすものづくりを目指す。