こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中久保です。
4月に新卒入社し、社会人として働き始めて約4か月が経ちますが、最近ふと学生時代のことを思い出します。
オリジナル衣装を制作する部活動をしていたのですが、部員みんなでお菓子を食べながらミシンを動かし、他愛もない会話をしていた時間がとても楽しかったなぁと…。
久しぶりにアートやクラフトを楽しみたい気持ちが日々増しています。
実際Googleトレンドでも、「アート体験」の検索がここ3年ほどで増えていることがわかります。
「アート体験」の検索数推移
さらに最近では、カフェやバーで飲食をしながらアート体験も楽しむという遊び方が、若い世代を中心に新たな習慣となりつつあるようです。
そこで今回は「ながらアートな外食」と題し、具体例をまじえながらその実態をご紹介いたします。
一つ目は、プランターアートを体験できるカフェです。
選んだ植物に合わせてオリジナルの石膏鉢(プランター)をつくるクラフト体験、お店から提供されるドリンク、そして会話、すべてを同時に楽しめる遊び方です。自分で用意するものは何もなく、当日はお店に出向くだけなので、普段通り友人とカフェ巡りをする感覚でちょっと特別な体験ができてしまいます。
二つ目は、キャンバス・ケーキです。
キャンバスという名のとおり、真っ白なクリームが塗られた立方体のケーキ。そこに、パレットに載せて出されるカラフルなクリームや、標本箱に入った鮮やかなトッピングパーツを自由に盛り付けます。自分だけのオリジナル作品に仕上げて食べる体験型のケーキです。つくる過程や完成品の撮影など、体験する生活者のたのしそうな様子がSNSの投稿からも見受けられます。
三つ目は、ワインを飲みながら絵を描くアート体験です。
飲み放題のワインとおつまみを楽しみながらつくったアート作品は、一緒に行った仲間との良き思い出の品になるようです。実際この体験をした私の友人は、ただごはんを食べに行くときより自然な会話がうまれて、一緒に行った相手ととても仲良くなれたと喜んでいました。
ではなぜいま、飲食にアート体験を組み込んだ遊び方が、若い世代の新たな習慣になりつつあるのでしょうか。
ひとつは、若者が求める非日常が変化してきたことが考えられます。
デジタルコンテンツが充実していて、家にひとりでいても色々と楽しめる若者たち。だからこそ外出して友人と遊ぶ時には、普段なかなかできないクリエイティブなリアル体験を求めるようになってきたのではないでしょうか。おしゃれな飲食店という空間で、実際に手を動かして自分の創作欲を解放しながら、そこで生まれる会話も楽しむ体験こそ、いまの若者が友人との遊びに求める非日常なのだと思います。
もうひとつは、SNSへの投稿が動画ベースになってきていることが背景にあると思います。友人と遊ぶときには、その様子を互いに撮影し合ってSNSに記録するまでが、いまの若い世代の“遊び”なのです。ただお店に食べに行ったり既製品を買ったりするだけの遊び方より、アクティビティ要素を含む遊び方のほうが断然、動画コンテンツとして投稿するときの満足感が高いのではないでしょうか。
最後に、「ながらアートな外食」のビジネスチャンスを考えてみました。
なにかとバタバタしがちな日々のなかでも、好きなことを楽しむ時間を大切にして過ごしていきたいですね。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2023年に北海道博報堂に入社。統合プラナーとして成長すべく修行中。
古都への憧れから大学4年間は関西に住み、札幌にUターン就職。
休日は運動のために1日に4万歩歩くこともあるが、その目的は美味しい食べ物なので結局はカロリーオーバーしている。