THE CENTRAL DOT

【第7回】触覚技術をウェルビーイング経営に活用する道筋とは~東大・稲見研究室×博報堂ミライの事業室(前編)

2023.09.29
2023年1月に設立された「commissure (コミシュア)」 は、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授の研究室から生まれたスタートアップです。触覚提示技術ソリューション「Skin Stretch Distribution」をベースに事業拡大を目指すcommissureの創設者の2人と、博報堂ミライの事業室で企業のウェルビーイング経営を支援するメンバー、そして身体技術やメタバースの研究に取り組む稲見教授が、研究における「越境」の重要性や、アカデミアと企業の連携のあり方などについて語り合いました。前後編の2回にわたってお届けします。

稲見 昌彦氏
東京大学 先端科学技術研究センター 教授

溝橋 正輝氏
commissure Co-Founder 代表取締役 CEO

堀江 新氏
commissure Co-Founder 代表取締役 CTO

久保 雅史
博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ ミライの事業室
ビジネスデザインディレクター

諸岡 孟
博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ ミライの事業室
ビジネスデザインディレクター

■東大稲見研発スタートアップcommissure

諸岡
博報堂ミライの事業室のメンバーが、東京大学の研究室や東大発スタートアップの関係者の皆さんをお招きして語り合う連載も今回で第7回となります。今回は、触覚技術を中心にさまざまなテクノロジーを駆使してXR、メタバース、人間拡張などの分野で最先端をいく東大先端科学技術研究センター稲見昌彦先生と、稲見研究室から発足したスタートアップ「commissure(コミシュア)」の創業者のお二人に話を伺っていきます。
この前編では、高いポテンシャルをもつ稲見研のテクノロジーとの掛け算を通じて見えてくる、僕らのウェルビーイング経営事業構想について、お伝えしていきます。それでは稲見先生、まずは研究分野について概略をおしえてください。

稲見
いまや幅広いシーンで普及がすすむXRやメタバースですが、その実現に欠かせないテーマが「身体」です。稲見研では、身体にまつわる各種データのセンシング、身体の原理や仕組みの解明、身体関連の新しいサービスやソリューションの開発など、身体に関して多岐にわたる活動を展開しています。身体拡張や人間拡張といったキーワードで語られることも多い分野ですね。人間の身体能力や知覚などを技術のちからで増強・拡張させることを目指しています。

稲見研の詳細はこちら → https://star.rcast.u-tokyo.ac.jp/

身体分野において重要な要素の一つが触覚です。稲見研では研究室立上げの初期から、触覚に関する研究や開発に力をいれて進めてきました。そうした活動の中で事業可能性を見出して創業したのが、commissureという稲見研発スタートアップです。

諸岡
稲見研は、研究領域が広大でかつそれぞれの深さも相当ですが、そのなかでも重要な触覚分野の社会実装を担うのがcommissureというわけですね。そのcommissureの創業者である溝橋さんは、もともと稲見研メンバーではなく外部から加わったんですよね?

溝橋
そうなんです。以前スタートアップを経営していた頃、あるベンチャーキャピタルの方に「テクノロジーベンチャーの経営に興味はないか」と聞かれたことがありました。私は「無理です」と即答しました。文系人材のネットワークはありましたが、理系人材の知り合いは一人もいなかったからです。

しかしその方が言うには、「テクノロジーベンチャーには経営人材が不足していて、CTOがやむなくCEOをやっているケースが多い。経営ができる人材をみんなが探している」とのことでした。なるほど、それならこれまでの経験や知見をいかすことができるかもしれない。そう考えなおして進んでみたところ稲見研に出合い、触覚技術を社会実装するための会社としてcommissureを設立したわけです。

commissureの詳細はこちら → https://commissure.co.jp/

FACEBOOK
でシェア

X
でシェア

関連するニュース・記事