こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。
飲んでますかー?気が付けば2023年もあと少し。今年は忘年会をやる人も増えているのではないでしょうか?今年最後のコラムは年末年始に増えるであろう飲み会にちなんだネタです。その名も「ネオつまみ飲み」。飲食店や飲み方の進化は著しくて、いろいろなトレンドが次々に生まれていますよね。その中でも、飲みに行くのが大好きな僕が注目した、いままでとは一風異なる、少しサブカル感のある、え?それをつまみにするの?というお酒の飲み方をいくつか紹介します。
ひとつ目は「パン飲み」。
文字通りパンをつまみにお酒を飲む新スタイル。パンに具材を乗せたブルスケッタみたいなもの(オープンサンドとも言う)にワインを合わせたり、バインミーやキューバサンドなど異国情緒漂うパンだったり、惣菜パンをビールで一気に流し込んだり。僕自身も、下町にある朝はパン屋、昼過ぎからパン居酒屋に様変わりするお店でパン飲みセットを頂いたのですが、なんだろう、控えめに言って最高でした。あのパン屋さんに漂ういい匂いも体験価値を高めている気がしますね。Googleトレンドでみると、「パン飲み」というキーワードの検索数がじわじわと伸びている様子がわかります。
▼「パン飲み」の検索数推移
次に紹介するのは「スパイス飲み」です。
こちらはスパイス料理をつまみに飲むスタイル。メインはインド料理ですが、中華料理やタイ料理、フレンチなど幅広くスパイス飲みの領域が広がっています。口に広がるスパイスでお酒もどんどん進みますね。やはり王道はワインやビールですが、スパイスサワーを出すお店もありますし、意外にも日本酒を合わせる店もあるのだとか。そして、お米にお酒は合わないんじゃないか?と思うなかれ、カレーをつまみに飲む人も少なくないとか。いわれてみれば、ビリヤニもいいつまみになりますよね。記事を書いているだけでよだれが出てきます。しかも、スパイスで血行が促され代謝もあがるので、なんだか体にいいことをしているような気分にもなれる。なんともお得な飲み方です。
そして最後は「麺飲み」。
以前から焼きそばをつまみにお酒を飲む人はいたと思いますが、最近ではうどんをつまみに飲む“う飲み”やラーメンで飲む“ラ飲み”、担担麺やそうめんまで様々な麺類がつまみ化しているのです。パンにカレーに麺まで、いわゆる炭水化物である主食勢がつまみの垣根を越えて攻め込んできているんですね。酒飲みの欲望は果てることがありません。
では、なぜ「ネオつまみ飲み」は広がりつつあるのでしょうか。
ひとつは、お酒とつまみのペアリング意識の向上が考えられます。ペアリングできるお店も増えて、お酒とつまみの意外な組み合わせへの探求心が芽生えているのではないでしょうか。実際に、パン飲みをしたときにぴったり合うオレンジワインを飲んだ時、飲み会の楽しみがまた一つ増えたと感動したのを覚えています。
もう一つは、自分の“個性”にマッチするお店を探したいという気持ちが高まっていることが考えられます。有名なお店に行くのもいいですが、あえてサブカル感のある隠れた名店に行くことで、その人の個性が発露されるような体験を求めているのです。いまやお店選びは自己表現のひとつと言えるのではないでしょうか。さまざまな飲食店の情報がネットであふれているからこそ、また、行ったお店をSNSで発信するからこそ、そういう傾向が高まっているのだと思われます。
このように広がりつつある「ネオつまみ飲み」ですが、これからも多くの人が実践していくことが予測され、そこには新たなビジネスチャンスが広がっています。
この記事を書いている僕自身が飲兵衛なもので、記事を書きながらお酒が飲みたくなってきちゃいました。今回紹介した以外にも、スイーツ飲みとかサラダ飲みとか、これからもいろいろな「ネオつまみ飲み」が出てきそうで、とても楽しみです。ただ、くれぐれも飲みすぎには注意したいですね。それでは、みなさま、本年もご愛読ありがとうございました。良いお年を!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
戦略CDとして、事業構想クリエイティブに勤しむ。最近、友達の影響で女子のプロバスケットボールリーグを観戦するようになりました。バスケの戦術って奥深くて面白いですね。