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ヒット習慣予報 vol.300『ゆるめスタート』

2024.01.23
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの楠田です。

新年が始まり、気づけばもう1月も後半に差し掛かっておりますが、いかがお過ごしでしょうか。2024年はこういう一年にしよう、とか、◯◯を成し遂げよう、とか、一年の目標をたてられてそこに向かって動き始めている方もいらっしゃるかと思います。
そんなあなたに少し質問です。その目標に向かってなにかすでに始められているでしょうか。もちろん始めているよ!という方もいらっしゃるとは思いますが、実はなかなか取り組めていない、まだ始まったばかりだから、などという方が多いのではないかと思っております。
かくいう私も、昨年5月より直近まで、育休という形で長期休暇を頂戴し、その期間に、3キロやせよう、簡単な料理くらいできるようになろう、長年煩わしている股関節の硬さをどうにかほぐすようにしよう、なんていくつか目標を立てていたのですが、結果として、何も実現することができていない自分に愕然としています。そして、もっと“ゆるめ”に考えればよかったな、と思っています。

そこで、今回は私のような人間でも、目標を成し遂げられそうな方法として、世の中で注目を集めているスタートの仕方を、“ゆるめスタート”と名付けて紹介していきたいと思います。Googleトレンドで「ゆるめ」を調べてみても、ゆるく注目を集めつつあることがわかるかと思います。

「ゆるめ」の検索推移

出典:Google トレンド

まずは、「アプリ管理で、ゆるめスタート」です。
こちらは、コロナ禍で広がりを見せたかと思いますが、代表的な例として、自宅での筋トレアプリがあります。いつも筋トレをしているなどの経験者ならまだしも、急に家で筋トレを始めようとしても、いきなりハードなことはしんどいし、何から始めればいいかわからない、という人も多いと思います。そこで、自分が目標を設定すれば、まずはストレッチから、とか、腹筋10回から、などのように、手軽にできるものから始まり、今日は休み、などの日も設けられているなど、スタートから続けやすい仕組みづくりがされているようです。私の場合、なかなか自宅トレーニングを習慣化できないのですが、取り入れてみても良かったかも、と今更ながら思っています。

続いて、「リスト化で、ゆるめスタート」です。
これは、ある漫画を起点として注目を集めつつある取り組みの一つですが、達成したいことを100個書き出す、という方法です。死ぬまでの100ではなく、この1年に達成したい100のことを書き出すそうです。そうすると、いつもは大きな目標が1つや2つなのですが、100個あることで、まずはこれから、というように、少しずつ達成することができることで、あえて100個掲げる人が増えてきているようです。ここは、個人的には盲点でしたが、24年の目標は100個掲げるようにしようかな、と思っている今日このごろです。

そして最後は、「全おまかせ、ゆるめスタート」です。
これまで、投資やファッションなどを専門家におまかせするというプランがあったかと思いますが、最近は、アートのおまかせレンタルプランというものも出てきているようです。おしゃれなお家って、素敵なアートが飾られている印象ありませんか?自分の家にも取り入れてみたい、と思いつつも、高価なものも多いし、どんなテイストのものが家に合うのかもわからないからハードルが高い。そこで、アートをおまかせレンタルです。購入ではなくレンタルだから、お試し的にできるし、様々なテイストの中から、結果として自分の家に合うものや、自分の好きなものを見つけることができるようです。私の家には、とくに何も飾っていないので、このようなサービスから、家に合うものをさがしていく楽しみがあってもいいかな、と思いました。

では、なぜこのような「ゆるめスタート」が注目をあつめるようになってきているのでしょうか。その理由は大きく2つあると思います。1つ目は、「低いハードル」にあると思います。何かを始めるときって、いつでも大きなストレスがかかったり、大きな目標だとだいぶ先のことでなかなか進められなかったりで、どうしても躊躇してしまうことがあると思います。そこに存在するのは、高い心理的ハードルであるので、それをできる限り低いハードルにすることで、小さなことから少しずつでも始められるようにしているのではないでしょうか。そして2つ目は、「具体的なアクション」にあると思います。ハードルが下がるとはいえ、わたしたちがなにかをしないといけないことに変わりはありません。そこで、自身が何をするといいのかが具体的で、明確になっているので、「ゆるめスタート」が広がりつつあるのではないでしょうか。

最後に、「ゆるめスタート」にどのような可能性があるか、新たなビジネスチャンスを少し考えてみました。

「ゆるめスタート」によるビジネスチャンスの例
■パン作りに挑戦したい人に、ホームベーカリーのレンタルと作り方レッスンを一括でするサービス
■今年仕事で実現したい100のことを踏まえた、人事評価制度の導入
■ルールや戦況に加え、観戦の仕方も教えてくれる「スポーツ観戦」サービス
など

「ゆるめスタート」について考えていると、今年の目標はまだたてなくてもいいのかな、なんて思うようになったので、考えるのは明日からにしようかな、と思っています。(たぶん、これはだめな例ですね。)

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

楠田勇輝(くすだ・ゆうき)
関西支社 第一ビジネスデザイン局第一プラニングチーム
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2011年 博報堂に入社。
入社以来、マーケティング職に従事し、お得意先や世の中の課題と向き合う。基本、テレビっ子。ドラマと、阪神タイガースをこよなく愛し、阪神の勝ち負け次第で翌日の気分がちょっと違う虎吉。

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