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ヒット習慣予報 vol.323『トロピカライズサマー』

2024.07.16
#トレンド

毎日毎日嫌になるくらい暑いですね。こんにちは、ヒット習慣メーカーズの吉田です。

北国育ちのインターネットオタクくんという、暑さへの耐性が皆無な僕にとって、夏は最も苦手な季節なのですが、どうせ暑いならこの暑さを逆に楽しむことはできないかと最近考えています。

そこで、夏の暑さを楽しめるムーブメントについていろいろと調べてみると、様々なシーンや物事に「トロピカル」を取り入れることで、バカンス気分で日本の暑い夏を乗り切っている人たちがいることがわかりました。

ということで、今回は、トロピカルなものを生活に積極的に取り入れるこの兆しを、「トロピカライズサマー」と題しまして、実際にどのようなシーンでトロピカルなものを取り入れているのか、新しい事例をいくつか紹介したいと思います。

最初に紹介する事例は、「カフェやバーでトロピカライズ」です。

最近、Z世代女子を中心に、10年前に流行したハワイアンスイーツの「アサイーボウル」の人気が再燃しているのが話題ですが、実際にトレンドを見てみると、最初ブームが起きた2014年前後で一度盛り上がった後は下火でしたが、ここ最近になってブームが再燃しているのがよくわかります。

出典:Googleトレンド(「アサイーボウル」で検索)

「アサイーボウル」は本来、ブラジル原産のフルーツ「アサイー」を使ったスイーツですが、ブームの始まりがハワイであることから、日本ではハワイアンスイーツの印象が強く、このトロピカルな雰囲気や見た目に加えて、栄養豊富で健康的なスイーツという点が今の生活者ニーズにハマって再流行したのではないかと思います。
また、「アサイーボウル」以外にもトロピカルなものとして流行の兆しを見せているのが、パイナップルを使ったカクテルやモクテル。パイナップルといえば南国フルーツの代名詞ですが、そのパイナップルをカクテルにして、ちょっとしたバカンス気分を味わう人たちも増え始めています。

続いて紹介する事例は、「インテリアでトロピカライズ」です。

インテリアというと、北欧系のものが日本では人気が高いイメージがありますが、最近はアジアンテイストなものやトロピカルさのある色合いの南国風のインテリアも注目されているようです。
お家でリゾートホテル気分を味わえるというのはもちろん、インテリアの多くが自然素材由来のものであることから癒しを感じやすく、明るいカラーリングが気分を上げるのにも役に立つなど、様々な理由で人気を集めているのではないでしょうか。

最後に紹介するのが、「ミュージックでトロピカライズ」です。
音楽のジャンルの中には「トロピカルハウスミュージック」と言われるジャンルがあります。比較的ゆったりとしたペースでありつつノリが良く踊りやすい音楽である「ハウスミュージック」の派生形で、曲調としては明るめで、南国やビーチを感じられるような、「THE 夏」といった感じの音楽ジャンルのようです(明確な定義はないようで、人によって他ジャンルとの区別の仕方は異なるらしい)。
「トロピカルハウス」というとあまり馴染みがないもののように感じてしまいますが、実はKPOP楽曲にも取り入れられていたりするなど、今の音楽シーンでもその影響を受けている作品は多数存在し、そういった楽曲を夏に聴くことで、耳からバカンス気分を味わう人たちも現れ始めています。

ここまで「トロピカライズサマー」な事例をいくつか紹介してきましたが、このような新たな兆しを見せている背景にはどのようなことが考えられるでしょうか。

まずひとつ考えられるのは、近年稀にみる円安ドル高によって、実際にバカンスに行くことが難しくなっていることが挙げられます。今年のGWにハワイ旅行の旅費が非常に話題になったように、今や大型連休に南国でバカンス…というのは、一般生活者目線では夢のような話になりつつあり、せめて気分だけでもバカンスを味わいたい、という欲求が高まりつつあるのではないでしょうか。
もう一つの背景は、日本の気候そのものが「トロピカル」な空気感とマッチし始めたからではないかと考えられます。日本の夏は年々高温多湿化しているのに加え、時期の長さも伸びつつあり、「避暑」だけでは耐えられなくなってきている中で、暑さをポジティブにとらえて満喫してしまうような「トロピカル」な南国文化も違和感なく受け入れられるようになってきているのではないでしょうか。

最後に、「トロピカライズサマー」のビジネスチャンスについて、少し考えてみました。

「トロピカライズサマー」のビジネスチャンスの例
■暑さを楽しむサウナでトロピカルドリンクも楽しめる、暑さ満喫型トロピカライズサウナ
■夏の間だけトロピカル気分を味わいたい人向けの南国風インテリアレンタルサービス
■トロピカルハウスを聞きながらトロピカルドリンクを飲める、バカンス気分で仕事ができるトロピカライズコワーキングスペースを開設

同僚たちには、いまだに夏生まれであることを「嘘」と思われているような僕ですが、今年の夏はトロピカルを取り入れた、バカンス気分な夏を過ごしたいなと思います。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

吉田裕(よしだ・ゆう)
北海道博報堂/博報堂プラニングハウス
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2020年北海道博報堂に入社し、マーケティング・ストラテジックプラナーとして業務に邁進している。2024年博報堂プラニングハウスに参画。インターネットに生息し、日夜インターネットカルチャーを浴び続けている。

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