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新規事業立ち上げやCRM専門領域の実績。メーカーでのキャリアがECコンサルの強みになる|Next Creativity Map Vol.12 島田典明

2024.07.25
企業のコミュニケーションやマーケティング課題に、さまざまな「得意技」でクリエイティビティを発揮する博報堂のクリエイターやマーケター。連載「Next Creativity Map」では、クライアントの課題に寄り添い、解決、変革へと導くランドマーク人材にスポットを当て、その「技」を解き明かします。第12回は、HAKUHODO EC+ コンサルタントの島田典明。食品メーカーでECビジネスの立ち上げやデータドリブンなマーケティング施策を推進してきた島田ならでは強みとは? ECビジネスの未来を示すヒントとともに紐解きます。

食品メーカーで新規事業の立ち上げを経験。ブランディングからEC構築までゼロイチでつくりあげた

-島田さんは博報堂の前に2社、食品メーカーでの経験を積まれているんですよね。これまでのキャリアについて教えてください。

島田:2014年に新卒で食品メーカーに入社しました。3年ほど営業職を経験した後、商品開発部に異動し、新商品の開発や既存商品のリニューアル等ものづくりに携わることになりました。マーケティング部門のリサーチ結果をもとに味を改良したり、工場の方や生産管理の方と一緒に商品をつくるという経験を2年くらい積んでいたところ、商品開発部起点で新規事業をやろうというプロジェクトが立ち上がったんです。
これまでの商品の概念をくつがえすような価値を生み出したいという思いから、顧客が実際に商品を手づくりできる体験型サービスをサブスクリプションで提供することに。ブランディングからサブスクリプションのサービス設計、ECの構築までをゼロイチでつくりあげました。

-商品の開発から事業開発へと仕事が拡大していったのですね。

島田:そうですね。まったくはじめての経験でしたし、正直ものすごく大変で。でもそれ以上に「新規事業っておもしろい!」という思いが勝っていたので、全然苦ではありませんでした。自分のキャリア観が大きく変わるきっかけでしたね。
3年ほどそのプロジェクトに携わりながらデジタルマーケティングについて自発的に学ぶなかで、データを起点にマーケティング活動を推進することに対して強い関心を抱きました。また、ECビジネスの運営を通じてお客さまとつながりながらビジネスができることにおもしろさを感じ、もっとECビジネスを突き詰めたいという思いで外資系食品メーカーに転職しました。

大規模な自社ECを持つ外資系メーカーで、CRM領域に特化した実践知を深める

-転職後はどんな仕事を?

島田:ECのマーケティング部署で、主にCRM領域を担当していました。すでに会員規模も大きい成熟したサービスだったので、自社ECの会員データや購買データからマーケティング施策を打ち出すということをひたすら突き詰めた期間でしたね。
ECビジネスを成長させる人材になるため、規模の大きい自社ECを持つ会社で仕組みを学びたいという思いで転職したので、この期間の経験はすごく力になりました。CRMに特化した経験を通じ、もっと幅広い知見を得たいという気持ちが生まれたタイミングでHAKUHODO EC+の存在を知って、2022年に転職しました。

-HAKUHODO EC+に興味をもった理由は?

島田:事業戦略の策定から戦術、実装までをワンストップで行えるケイパビリティを有しているということが魅力でしたね。あとは博報堂の「生活者発想」という基本姿勢が響きました。前職では自社ECデータを追っていたので、生活者ってどういうことを考えているんだろうという視点は自分の中にほしかったもの。データだけでは見えない部分を捉えたいという思いにもマッチしました。

新規事業の立ち上げやCRMの現場など、事業会社での経験を踏まえたコンサルが強み

-ECビジネスをフルファネルで捉えるHAKUHODO EC+のなかで、島田さんの強みは?

島田:大きく2つあると思います。1つ目は前職2社でいずれもサブスクリプションビジネスを経験し、サブスクモデルの事業を熟知しているということ。例えば「売り上げが落ちている」という課題があった時に、新規が取れていないのか、離反が多いのかによってそのアプローチは異なります。さまざまな事業課題に対して因数分解しながらボトルネックを突き詰めていく。事業会社での経験を活かしながらコンサルできるのが自分の強みのひとつだと思います。
2つ目は新規事業の立ち上げを経験しているということ。ECの構築にもいちから携わってきた経験を踏まえ、お客さまが目指しているサービス体験を実現するために本当に必要な仕組みは何か?という視点で提案できるというのが強みです。新規でECを立ち上げるクライアントさまにも、適正なコストで適正なシステムをご提供することが可能です。

-ECビジネスを俯瞰で捉えたいという思いで転職したということですが、現在島田さんが携わっている領域は?

島田:サービスの仕組みづくりから戦略策定、UI/UXといった体験設計まで並走しています。サービスの体験設計から実装までフルファネルで携われることがHAKUHODO EC+の強みなので。すでに立ち上がっているサービスに対して課題を解決していくフェーズ、まったく新しいサービスを立ち上げようとするフェーズ、その両方に経験のある自分のスキルが活かせていると思います。さまざまな業種のさまざまな課題に向き合うことができるこのチームは、自分自身としてもすごく成長できる場ですね。

人と人とがつながり合う場としての自社EC。オンラインコミュニティの活用に未来がある

-ECビジネスの専門家として、いま注目しているトピックや今後の展望はありますか?

島田:自社ECの顧客データを活用したマーケティング施策はもちろん重要ですが、それだけでは「どんなきっかけでこの商品を買ってくれたのか?」といった購買行動の裏にある心理的なトリガーまで把握できません。本当の意味で顧客を理解するために、注目しているのがオンラインコミュニティです。コミュニティにおける心理データとECの購買データを掛け合わせて分析することで、より深くお客さまを知ることができる。
前職でサブスクリプション事業を行っていたときにも、もっと深くお客さまとつながれていたらと、反省したことがありました。その経験からサービスをよくするためには、使ってくださっている方の意見を取り入れて磨き続けることが最も重要だと考えるようになりました。コミュニティが発展すればお客さま同士のつながりやお客さまと企業とのコミュニケーションも豊かになります。ECにおけるコミュニティの活用にはすごく未来があると思いますし、それに向けた取り組みも行っているところです。

-今後どんなクライアントと取り組みをしていきたいですか?

島田:いま数々のECモールが発展するなかで、自社ECの役割に悩まれているクライアントさまは非常に多い印象です。そういった企業さまの力になりたい。ECモールのお客さまと自社ECのお客さまとでは、企業との関係性がまったく違うわけですよね。ブランドのファンになってもらい、自社ECならではの体験を届けていくことがこれからのあるべき姿。ただ買い物をする場ではなく、人と人とがつながり合う場としての自社ECに、ECの未来があると考えています。

-さいごに、島田さんがチャレンジしたい領域などあれば教えてください。

島田:今後強化していきたい自社ECとオンラインコミュニティの連携においては、コミュニティをどうデザインし、それをどう売り上げにつなげていくか、お客さまの体験設計も含めたクリエイティビティが重要になってきます。私はどちらかというと左脳人間で、データから戦略を打ち出すのが得意ですが、博報堂のPRやクリエイティブチームなど右脳的なアイデアが強いメンバーと仕事をするとすごく刺激を受けます。自分も社内のコピーライター研修を受けるなど積極的に知見を広げているところなので、クリエイティビティという意味でも磨きをかけていきたいですね。
あとはやはり、自分のキャリアのなかでもっとも刺激的で、かつ今の仕事のモチベーションとなっている原体験が、1社目で新規事業に携わったこと。自分が介在することで世の中に何らかのインパクトを与えたい、新しい価値を生み出したいというのはずっと思ってきたことなので、将来的にはマーケティング領域だけでなく、事業開発にも携わっていきたいです。

島田 典明
HAKUHODO EC+ コンサルタント
コマースコンサルティング局 コマースDX推進グループ マーケティングプラニングディレクター

新卒で食品メーカーに入社し、D2Cビジネスの立ち上げを経験。その後、外資系食品メーカーにて、自社ECのマーケターとしてブランド横断のCRMに従事。2022年に博報堂入社。これまでの事業会社でのECビジネス経験を元に、D2Cビジネスの立ち上げ支援や自社ECのコンサルティング業務を推進。

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