こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中久保です。
私の住んでいる北海道でも、ジメジメして蒸し暑い日々が続いています。冷たいスイーツがよりおいしい季節ということで、強引に夏を楽しむしかありませんね。毎日アイスを食べたくもなりますが、薄着の季節はまだまだ続くので、ダイエットのためにヘルシーさも諦めきれないという方も多いのではないでしょうか。
そんな中今回ご紹介したいのは、「ちょい手間ヘルシー」。
タイパが重視される昨今ですが、あえて時間や手間が少しかかるヘルシーなスイーツやご飯を手作りしながらヘルスケアを楽しむという習慣です。
美容目的でダイエットをする女性から筋肉の増強を目指す男性にまで広まりつつあります。
その際のレシピは、体づくりに関する情報を発信するSNSアカウントや動画サイトを参考にするという人も増えてきているようです。
実際にGoogleトレンドで見てみると、フード・ドリンクのカテゴリで「ヘルシー」「健康」というキーワードをYouTubeで検索する人はここ数年で増加傾向にあることがわかります。
「ちょい手間ヘルシー」と題した新習慣について、今回も事例を交えながらご紹介いたします。
事例の1つ目は、「自分で水切りヨーグルト」です。
その名のとおり市販のヨーグルトの水分を切って食べるというものです。キッチンペーパーを使って簡易的につくる方法や、専用のケースを用いる方法などがあります。いずれの場合も、数時間~1日冷蔵庫で放置するとしっかりと水分が抜け、完成します。水切りしたヨーグルトは少し固めのチーズケーキのような食感となり、はちみつやジャムなどを少量かけるだけで、成分的にはヘルシーなまま満足感のあるスイーツとして楽しめるという意見がSNS等でも散見されます。
2つ目は、「自家製アサイーボウル」です。
アサイーボウルとは、アサイーという果実と豆乳で作ったスムージーに、自分の好きなグラノーラやフルーツなどをトッピングして楽しむブラジル生まれのスイーツです。ハワイのカフェやレストランで提供されるようになり、海外セレブの間で広まったようです。見た目がブルーベリーに似ているアサイーは、ポリフェノールや鉄分などの栄養成分が豊富に含まれていることから「スーパーフード」とも呼ばれます。
日本でも10年ほど前からハワイアンカフェを中心に広まったアサイーボウルですが、いまはこれを自宅で手作りするという新習慣が広まりつつあります。さながらパフェのような満足感の高いスイーツなのに、基本的な材料がヘルシーかつ栄養豊富であるため、朝食や間食としてコスパよく日常的に楽しみたいという人に好まれているのではないでしょうか。
事例の3つ目は、「カロパごはん」です。
カロリーパフォーマンスの高いごはん、つまりカロリーをおさえながら豊富な栄養や満足感を得られるメニューになるようアレンジして調理するというものです。過度に食事を制限せず、バランスのよい食事でボディメイクができるため、男女問わず広がりつつあります。
メニュー例としては、お米を減らし肉や魚などタンパク質の比率を高めた炊き込みご飯や、麺と油を減らし野菜やシーフードなどの具を増やしたペペロンチーノなどがあるようです。
これまでの糖質や脂質を制限する方法よりも心身の負担が少なく、楽しみながら継続しやすいのも大きな魅力とされています。
他にも、「飲む点滴」と呼ばれるほどからだに良いとされる甘酒や甘麹を自分で手作りする習慣も、私の周囲やSNSを見ると、女性を中心にどうやらじわじわと増えているようです。
では、なぜいま「ちょい手間ヘルシー」が習慣となりつつあるのでしょうか?
ひとつは、ヘルスケアの趣味化が背景にあるのではないかと考えます。
少し前まで、ダイエットは何らかの厳しい食事制限やツラい運動ありきのものという風潮があったように思います。しかしいまは、ウェルビーイングというキーワードも浸透するくらい、心身を健やかにするためのヘルスケアが一般化しました。
またSNSには情報があふれ、さまざまな商品やサービスなども生まれたことで、取り組み方もバラエティ豊かになりました。こうしてヘルスケアは身近な日常習慣になり、自らを律してやるものから、趣味として楽しむものになってきたのではないでしょうか。
前述した事例は、美味しくてヘルシーなものを食べることだけでなく、ストレスにならないほどのちょっとした手間をかけるという行為自体も楽しまれているのだと考えます。
さらに、“手作り”の価値上昇も背景にあると考えます。
手作りするということは、見通しを持って食材を購入したり、調理に手間をかけられるくらい時間に余裕をもって行動したりできているということです。タイパが重視される忙しい毎日のなかでも、自分自身や生活をしっかりとマネジメントできているという意味で、いまの世の中では手作りするという習慣がより高く評価されるようになってきたのではないでしょうか。そのため、ボディメイクの成果だけでなく、「ちょい手間ヘルシー」のようなケアの習慣的な継続も含めて自己肯定感の上がる習慣として広がっているのだと思います。
最後に、そんな「ちょい手間ヘルシー」についての新たなビジネスチャンスを考えてみました。
たまには背徳感のある食べ物や飲み物を楽しむのが楽しむのが結局一番健康かもしれないという持論はそのままに、ちょっと手間をかけたヘルスケアもできる余裕のある大人になりたい今日この頃です。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2年目プランナーとして日々修行中。最近はSNSであたるプロモーション施策すべてを覗きにいくのが日課。日傘を持っていただけで腕が筋肉痛になり、運動不足を実感。