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毎回約30名の小学生が集まった会場で、1テーブル6人のチームに。まずは桃太郎のストーリーをおさらいします。
みんなで朗読したり童謡を歌ったりしながら和やかな雰囲気でおさらいを進め、最後の「めでたし、めでたし」で問題提起。
「本当にめでたしだったのかな?」と問いかけながら、鬼の子どもの絵を見せると、「桃太郎がわるい人みたい」「鬼の子どもが桃太郎に復讐するかもしれない!」という意見が口々に。ではみんなにとってめでたしになる話にするにはどうすれいいか、グループごとに考えます。
物語のターニングポイントとなるシーンを抜き出し、このとき桃太郎はどうすればよかったか、別の選択肢を考えるワークショップ。
A:「桃太郎がおじいさんおばあさんから鬼の悪さを聞いたシーン」…物語のなかでは鬼退治に行くことを決意しますが、他の選択肢は?
B:「桃太郎が鬼ヶ島で鬼と出会ったシーン」…物語のなかでは戦いましたが、他の選択肢は?
という2つのシーンについてそれぞれ意見を出し合います。
10分間のグループワークで意見を交わしながら、たくさんのユニークなアイデアが生まれました。
【子どもたちから生まれたアイデア】
・そもそも首をつっこまない。桃太郎が入るからややこしくなる。
・一度鬼に会いに行って話をきく
・村のみんなと話し合う。
・鬼と友達になる
・何もしなくていい
【子どもたちから生まれたアイデア】
・外交官を呼んで話をする
・裁判をする
・犬や猿と同じように、鬼にきびだんごをあげて仲間にする。
・いっしょに遊ぶ。たとえば、鬼ごっことか。
・犬やきじを触らせて、癒し効果を鬼に与える
外交官を呼んで第三者視点を入れるという大人顔負けの意見から、動物を触って癒されてもらうというかわいいアイデアまでさまざまな選択肢を考えてくれた子どもたち。さいごに、桃太郎の話の続きを考えようという宿題を出して、ワークショップは終了しました。
実際子どもたちを前に桃太郎プロジェクトのワークショップを行ったのは今回がはじめてという山﨑・小畑に、イベントの感想と展望についてききました。
-今日ワークショップを行ってみて感想は?
山﨑:とてもおもしろかったです。僕らでは想像しなかったような柔軟な発想がありましたね。
-アンコンシャスバイアスについて子どもの頃から学ぶ意味は?
山﨑:うちには二人男の子がいますが、保育園のとき急に「ピンクは女の子のものだよね」と言い出したんです。そんなことは教えてないのに、テレビを見たり、周りの空気から「青は男の子、ピンクは女の子」と感じ取ったんでしょうね。でも本当はそんなこと関係ない。
小畑:男の子でも女の子でも、好きなことを好きなように選べれば、もっと感性が伸びていくはず。それは子どもだけでなく、大人も同じことですよね。小さいときから「おや?そんなことないんじゃないかな?」と思う機会が増えたら、もっと素敵な世の中になっていくと思います。
-今後の桃太郎プロジェクトの展望は?
山﨑:いまは中学生向けの学校教材と授業がメインで、今日はそれを小学生向けにアレンジしましたが、子どもだけじゃなく、大人こそやったほうがいいのでは?と考えているところ。会社の研修用など、大人向けのアレンジもできると思います。
小畑:大人の方が常識や思い込みにとらわれていますもんね。考え方の幅を広げてバイアスを取り払うことが、子どもたちの未来にもつながっていくはず。仕事でも、アイデア発想が求められるとき常識が邪魔をする場面が多々あります。日常生活のバイアスを取り払うだけでなく、ビジネス面でも自由な発想を生み出すためのコンテンツに育てていきたいです。
「言葉の力で、社会を動かす」をモットーに、コピーを軸にした統合キャンペーンや社会課題解決業務を手掛ける。受賞歴に、2021クリエイター・オブ・ザ・イヤー、TCC賞、TCC最高新人賞、ACCグランプリなど。
ポスター・パッケージ・WEB・ブランディング・CM 等に広く従事し、アートディレクターとして活動。マス広告に加え、教育や女性の目線にたった社会への問題提起をするクリエイティブを行う。多様化する社会の中で生まれる問題を、アートとデザインの力を使って解決することに挑戦している。