こんにちは、ヒット習慣メーカーズの中村です。
夏も終盤に差し掛かり、運動の秋がやってきますね。私は最近、筋トレブームの流れにのって筋トレを始めました。厳しい食事管理もセットで行っているので、好きなものを食べられない辛さがある一方で、「自分の身体のこんなところに、筋肉があったのか」と自分の身体に新しい発見をしたときの喜びもあります。
身体の内側の構造についての理解は、今までは医療関係者以外では、アスリートやイラストレーターの間でのみ進んでいましたが、最近はより多くの人にまで普及しようとしています。
その代表的なものが骨格診断です。昔は、自分の骨格を意識している人は少なかったですが、ファッション文脈における骨格診断のブームもあり、「自分自身がどのような骨格をしているのか?」を意識する人が増えました。Google Trendsで「骨格」の検索量をみると、2020年くらいから急激に上昇してきているのがわかります。
ファッション文脈における骨格への意識自体は2022年の後半にピークを迎えているようですが、感度の高いユーザーのソーシャルアカウントを眺めていると、現在はファッション文脈に止まらず様々な生活の文脈において、身体のあらゆる内部構造への興味関心が高まってきているように感じます。
今回は、身体の内側の構造をより解像度高く理解しようとする意識習慣を、「インナーコンシャス」と名付けてご紹介いたします。
1つ目は、筋肉のインナーコンシャス・トレーニングです。
身体の筋肉の構造を理解し、どの部分を鍛えているかを意識しながら、筋トレを行うという習慣です。人間には、大胸筋、三角筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋、などなど、様々な筋肉がありますが、筋トレにおいて、身体の筋肉の構造を理解し、どの部分を鍛えているかを意識できる方が、筋肉がつきやすいという見立てもあるようです。実際に筋トレをする人のなかには、筋トレと向き合っていく過程で、筋肉の部位や名前について詳しくなった人も多いのではないでしょうか。
2つ目は、骨のインナーコンシャス・姿勢改善です。
漠然とした見た目だけでなく、人体の骨の構造を理解し意識した上で、姿勢改善を行うという習慣です。私も姿勢を改善しようと思い、背骨や仙骨・尾骨など人体の骨の構造を知っていく過程で、「胸を張る」と「腰を反る」の動きの違いがやっとわかってきました。ちなみに、一流のアスリートのなかには、人に背中を触られたとき、何個目の背骨かを当てられる人もいるようです。
3つ目は、皮膚のインナーコンシャス・美容ケアです。
皮膚の状態を美しく保つために、皮膚の構造を理解・意識した上で美容ケアを行うという習慣です。皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されており、それぞれの働きやアプローチの仕方を意識することで、効果的な肌のケアができるようです。皮膚の内側を意識している方の中には、洗顔・化粧水といった表面的な肌ケアだけでなく、ビタミンなどの摂取や十分な睡眠などにより皮膚のターンオーバーを管理している方もいるのではないでしょうか。
このように、様々な文脈で、「インナーコンシャス」な習慣の兆しが見て取れます。では、この意識が広がりつつあることにはどんな背景や理由があるのでしょうか?考察してみました。
ひとつは、生活者の検索行動の変化です。
今まではGoogleやYahoo!などの検索サービスで検索するのが主流でしたが、最近はSNSや動画配信サービス上で検索する人も増加してきています。SNSや動画配信サービス上では、筋トレ・姿勢改善・肌ケアといったトレンドにのって、身体の構造に詳しい専門家も情報発信を積極的に行っています。それにより、多くの人が専門家の人体の構造に関する情報発信を目にする機会が増えたことで、身体の内側により多くの人が興味を示すようになったのではないでしょうか。
もうひとつの背景は、何事にもエビデンスを求める傾向が強まったことです。
ただ漠然とトレーニングや美容ケアを行うのではなく、「そのトレーニングにはどの部分にどのような効果があるのか?」「そのケアはどんな作用をもたらすのか?」 と、根拠や理屈を把握しておきたいという気持ちが強まっているのではないでしょうか。このような、エビデンスを求める意識が、インナーコンシャスを高めているのではないかと思います。
最後に、「インナーコンシャス」に関するビジネスチャンスについて、考えてみました。
今回このコラムを書く過程で、小学校や中学校の理科室や保健室に人体の模型が置かれていたことを思い出しました。当時は見向きもしなかったですが、今だったらその模型に興味が湧いてくるかもしれません。
もしこの記事を読んで、少しでも身体の内部構造に興味を持たれた方は、ぜひ日常のちょっとした行動に、インナーコンシャスを取り入れてみてはいかがでしょうか。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2022年博報堂に入社。ゲームや漫画が好き。
圧倒的インドア派だが、筋トレをはじめてみました。