<プロジェクトメンバー>
(写真左から)
米満 良平
博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター 上席研究員
柿原 正郎氏
東京理科大学経営学部国際デザイン経営学科 教授
澁谷 覚氏
早稲田大学大学院経営管理研究科 教授
本プロジェクト共同代表
石淵 順也氏
関西学院大学商学部 教授
西村 啓太
博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター 室長補佐
本プロジェクト共同代表
西村
ここまでの議論(※第3回)では、今の生活者がコンテンツや商品を選ぶ際の拠り所として、「忖度のない口コミ」などの情報と並行して、動画だからこそわかる「その商品に満足している笑顔」のような他者の感情も重要な要素だということが浮かび上がりました。
他にも今の生活者が好む情報の特徴についても、いくつかのファインディングスがありました。
米満
前回の議論でもあったようにWEBで検索するよりも、まずSNSや動画サイトでチェックするという行動が当たり前になっています。他にもショート動画を見ているなど、編集された簡単に理解しやすい情報、いわゆる「処理流暢性が高い」情報を好んでいると感じる発言が複数ありましたね。
西村
そうですね。SNSや動画はわかりやすさだけでなく、例えば、SNSを流し見する中で、たまたま自分の「好き」に合致するものが目に入って「かわいい!」「ほしい!」と感情が動いて購入につながるといったような、自分の感情を強く刺激する装置にもなっていました。
柿原
そもそもSNSはアルゴリズムによって、自分が「好き」そうなものが学習されてフィードにあらわれて来ます。実際にフォローしている人の投稿ではなく、そのアルゴリズムが提案するフィードを中心に見ている人も多かったわけですが、それらに対して直感的に気持ちが跳ね上がることを起点に購買に至ることもあるわけですね。
これだけ口コミやレビューなどの評価情報がある中で、新しい商品やサービスなどだったら、既存プロダクトの情報を飛び越えて感情に響かないといけないのかなと、難しさもあるようにも感じました。一方で、感情には、それらを飛び越える瞬発力のようなものがあるのかもしれません。
西村
このような買物の仕方は、動画というフォーマットがSNSで急速に広まっており、それによってこれまではあまり見ることのなかった他人の感情を見ることができるようになっているからだと感じています。