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日本マーケティング学会「マーケティングカンファレンス2024」
博報堂生活者発想技術研究所がランチョンセッション講演

2024.11.18
2024年10月13日、法政大学にて開催された日本マーケティング学会「マーケティングカンファレンス2024」において、博報堂が主催するランチョンセッション「『生活者発想』の可能性と前線―メタバース生活者研究を中心に―」が開催されました。

VUCAの時代と言われるなか、企業を取り巻く環境は不透明さ・不安定さを増しており、また企業に求められる社会課題への対応もより高度化しつつあります。同時に、生活のデジタルシフトが進み、データを介して企業と生活者が常時接続する状況も生まれている昨今。「企業が社会や生活者にどう向き合い、どのように価値を提供していくのか?」が、経営領域からマーケティング領域まで、さまざまなレイヤで改めて問われています。

これらの状況を踏まえ、セッション前半ではこの9月に発足した生活者発想技術研究所・所長の竹内慶から、企業の課題解決を後押しする「生活者発想」の解説や、それを推進する生活者発想技術研究所の紹介を行いました。
またセッション後半では同研究所・上席研究員の瀧﨑絵里香から、生活がデジタル化する時代における新たな生活者発想の一側面として「分人」に着目し、メタバース上で見られる新たな生活者の行動や自己認識等について報告を行いました。

竹内所長 講演のポイント
これからのマーケティングと「生活者発想」の可能性

✓ 「生活者発想」は博報堂のフィロソフィーであり、発想の原点。「消費者志向」とは一見同じように見えるが、対象の捉え方や現在に対するアプローチの面で、対義語・対局的ともいえる。

✓ VUCAの時代における社会課題の高度化、DXの進展に伴う生活のデジタル化などを受けて、企業が直面する課題は多岐にわたる状況。たとえば企業の存在意義に関わるパーパス領域では「社会価値=未来の生活者価値」を軸に、経営を捉え直す必要性が増しているなど、企業活動のあらゆる領域において「生活者発想」がいっそう重要に。

✓ 生活者発想技術研究所は、クライアント企業の生活者発想を推進するための研究開発を行う、新たに設立されたシンクタンク。上記課題を含めた、クライアント企業の多様な課題に応える「“技術”としての生活者発想」を、鋭意、研究/開発/推進していきたい。

生活者発想技術研究所 所長 竹内慶

瀧﨑上席研究員 講演のポイント
デジタル時代における生活者発想〜多面化する「私」を生きる生活者の本質を掴むために〜

✓ 生活のデジタル化が加速し、デジタルとフィジカルの融合と往還が普通となる今、生活者の人格に関する意識・捉え方が変化しつつある。ポイントになるのは「分人」という考え方。

✓ デジタル上の「分人」は、個人情報や外見の情報から切り離されるからこそ、フィジカルな現実世界では表出されないような生活者にとっての核となる価値観が顕在化。性格や気分、関心のある話題やニーズなどはデジタル上と現実世界では違いが生じている。

✓ 新たな時代の生活者を的確に捉えるためには、現実世界とは異なる姿やライフスタイル、価値観を持ちながら生活する“デジタル人格(分人)”の存在を認めつつ、デジタル社会の中で主体性を持って生きる「デジタル生活者」を全方位的に捉え、深く洞察する「デジタル生活者発想」が不可欠に。

生活者発想技術研究所 上席研究員 瀧﨑絵里香

講演後、聴講者に行ったアンケートからは、

「生活者発想という考え方を深く知ることができた。また、デジタル生活者のインサイトについての解説も豊富だった」
「人に主体を置いた深い洞察と、等身大の研究スタイルに共感した」
「アバターでのコミュニティやコミュニケーションについて、これまでなじみがなかったが、新たな気づきがあった」

など、生活者発想の考え方やさらなるアップデートに期待するさまざまな声が寄せられました。

博報堂生活者発想技術研究所では今後も、社内外のさまざまな機関と連携しながら各種研究活動を進め、生活者発想を「発想の原点」として、企業、社会に新しい価値を提案してまいります。

竹内慶
生活者発想技術研究所 所長/研究主幹

2001年博報堂入社。マーケティング部門を経て、2004年よりブランドデザイン専門組織の立ち上げに参画。約20年にわたり多様なクライアント企業のブランドづくりとイノベーション支援の業務に従事し、2024年9月から現職。「リベラルアーツ×ビジネス」「アートシンキング×デザインシンキング」など、領域横断型のアプローチを推進する。オーストリアを拠点とする文化芸術機関アルスエレクトロニカとの協働プロジェクトでは、博報堂側のリーダーを務める。
主な著書に『ブランドらしさのつくり方』(共著、2006年、ダイヤモンド社)。
東京大学文学部行動文化学科(社会学専修課程)卒業。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 客員准教授。

瀧﨑絵里香
生活者発想技術研究所 上席研究員
兼 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 上席研究員

2015年入社。 メタバースを中心とする自らのデジタル生活体験・交流経験を生かした「当事者研究」の視点を大切にしながら、「デジタル生活者発想」をキーワードに、SNSやメタバース等のデジタル空間ならではの生活者の意識・行動を研究中。メタバースやSNS等のデジタル接点を活用したサービス開発やコミュニケーション戦略立案にも従事。

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