こんにちは。ヒット習慣メーカーズの佐藤諒平です。
先日、夜にふらっと立ち寄った本屋でつい何冊か衝動買いをしてしまいました。すぐに読みたかったため、近くで少し遅くまで営業しているカフェを調べ入店したのですが、21時頃にも関わらず、人が多く賑わっていました。
昨今はお酒を積極的には飲まない人も増え、居酒屋に代わり「夜カフェ」に行くというのが新習慣として注目されていますが、まさにそのことを実感したタイミングでした。
(下図のとおり、夜カフェという言葉の検索推移からも、近年注目されていることが分かります。)
中には、より深い時間 AM2時などまで営業し、人気を博しているカフェもあるようです。そんな遅くに行くの…?と、一度は思ったものの、思い返せば、夜遅めの時間にサウナに行ったり、遅めのレイトショーで長尺映画を見たりなど、自分や友人の間でも、あえて夜外に出て過ごすことが増えてきていることに気がつきました。
これまでにも、いわゆる「夜活」と呼ばれる夜に生活者が行動する習慣はありましたが、それらは勉強や習いごと、サークル活動、ジムトレーニングなどが主であり、ある程度 “計画的に何かに取り組むこと”でした。対して、昨今兆しとして見られる夜の活動は、より“カジュアルな、外出しての過ごし方”となっていることが特徴です。
このような夜に広がっている新たな習慣の兆しを『新夜活』と題して、今回はご紹介させていただきます。
一つ目は「夜のウィンドウショッピング」
以前の記事「Vol.298 気ままな無人店舗通い 」でも紹介されたように、無人の店舗が増加しており、またそれら店舗のなかには24時間営業というのも少なくありません。そうした24時間営業をしている服屋さん、書店などを対象として、あえて夜遅い時間に訪れる生活者が現れています。人も多くないことで、自分のペースでゆっくり気楽に見られることが好評のようです。
二つ目は「夜参り」
神社やお寺にあえて夜お参りすること=夜参り(よまいり)と称させていただきました。こうしたお参りをする生活者にとっては、夜の静かな時間に訪れることで、より神秘的に雰囲気が感じられることや、自身も心を落ち着かせてお参りできることが魅力になっているようです。
※ただし、夜間は参拝が制限されているところもあります。ルールはしっかり守りましょう。
三つ目は「夜ピク」
ピク=ピクニックのこと。最近はすっかり寒くなってしまいましたが、春~夏にかけて若者を中心に近年見られているのがこの行動で、夜景がきれいな公園などでピクニックをしているようです。猛暑化が続く中で、夜なら日焼けの心配もなく、涼しく外で過ごせるということが人気を博している大きなポイントです。
ここまでいくつかの事例をご紹介しましたが、なぜ昨今このような夜に外に出て活動する習慣が広がっているのでしょうか。
夜ピクの部分でも触れたように、外出や運動が伴う活動を日中の代わりとして夜するようになったのは、「猛暑化」も大きなきっかけの一つとして考えられますが、その他にまず考えられるのが「都市部人口の過密化」によるもの。日中は人が多くお店や公共施設でも落ち着いて過ごすことができない、そんなときに、空いている時間を求めた人々が夜に活動するようになったのではないでしょうか。また、このように人が多いのを避ける傾向は、新型コロナウイルス流行を契機に生活者間でより強まったものですが、ここにきて、夜というシーンで新たな楽しみ方を広げることになったというのは興味深いですね。
そして、現代生活者の「生活時間の緊密化」も大きな一因として考えられます。朝や日中は、家事育児・仕事などに忙しくなかなか時間が取れない中で、せめて夜に充実した自分の時間をつくろうとする人が多くなり、このような活動も顕在化しているのではないかと考えます。
新夜活に当たる行動をよくしている友人に“朝活ではダメなのか”聞いてみると「朝より、夜は時間に追われる感じがせず気楽に過ごせる」という話がありました。「新夜活」は必ずしも生産的とは限らないカジュアルな過ごし方であるため、心理的に朝や日中ではなく夜にしたくなる、という側面があるかもしれませんね。
今回も最後に、「新夜活」をめぐるビジネスチャンスについて考えてみました。
個人的にも夜気ままに外出するのは好きです。なんだか大人になってできる特権という感じがしませんか? とはいえ、大人といえど、もとい 大人だからこそ、夜に外出し活動する際はしっかりルール・モラルを守り、安全にも十分気をつけて過ごしたいですね。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2020年 新潟博報堂に入社。2023年より博報堂にて、一人前のマーケターを目指して修行中。年末年始の休みには、フェスやオールナイト上映に行きたいと思っています。20代も後半ですが、まだまだ夜遅くまで楽しみ尽くせる体力が欲しいです。