こんにちは。ヒット習慣メーカーズの上利です。
いよいよ年末ですね。「師走」らしく慌ただしい12月をお過ごしの方も、年末休暇まであと一歩。今年は「奇跡の9連休」とのことで、楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
そんな年末休暇に向けて、今回はセルフケアにまつわるトピックを取り上げます。
コロナ禍での健康意識の高まりを経て、盛り上がりを続けているセルフケア市場ですが、その中でも気になるトピックが、おしゃれをしながら心身の不調もケアできる「魅せセルフケア」です。
まず一つ目にご紹介するのは、「耳つぼジュエリー」です。
裏にチタンボールが付いたシールを耳つぼに貼るというものなのですが、表にはクリスタルやデザインパーツが付いており、ピアスのような見た目になります。チタンボールが耳つぼを刺激してくれて、押すつぼ次第で様々な効果が期待できるようです。
先日私自身も耳つぼジュエリーのオーダーを体験してきたのですが、その場で刺激したいツボを選び(私は「冷え・むくみ」「ストレス」「ダイエット」のツボを選びました)、好きな色やパーツを選んで、とっても素敵な仕上がりにしていただきました。
効果には個人差があるかと思いますが、私は着けた直後に胸から上がぽかぽかと温まる感じがし、翌日運動をしているときにも血行がいつもよりも良いように感じました。たくさんピアスを開けたような見た目もとっても気に入り、身体への効果だけでなく気分も上がる体験でした。
二つ目にご紹介するのは、「コンフォートネックレス」です。
不安や所在なさを感じた時に、ネックレスを触る癖がある方は多いのではないでしょうか。不安を和らげ心を落ち着かせてくれるアイテムとしてネックレスを着けることが、海外のZ世代の間でセルフケアとして注目され、「コンフォートネックレス(慰めのネックレス)」と呼ばれています。ネックレスに触れることによる感覚刺激が脳の関心を逸らし不安症状を和らげるという、認知行動療法の原理にも適っているそうです。コンフォートネックレスとして自分のお気に入りのネックレスを紹介する動画はTikTokで多くの再生回数が付いており、不安といったメンタルヘルスの問題にファッショナブルに対処する姿が共感と支持を集めているようです。
最後にご紹介するのは、「編み物」です。編み物はご年配の方の趣味のようなイメージも少し前まではありましたが、今、国内外でZ世代を中心に、自分時間の趣味として編み物に取り組む人が増えています。
<「編み物」の検索数推移(地域:日本)>
もともと冬に検索数が増える季節性があるワードですが、直近一年は夏も含めて検索数が底上げされています。
帽子やカバンなどの小物からセーターといった大物まで、自分の好きな色の毛糸を選んで作れるというおしゃれの面も勿論魅力的ですが、編み物は実はメンタルヘルスにも良い効果があるそうです。繰り返しの手作業に集中することで、マインドフルネスや瞑想に似た効果が現れるといい、欧米では「ニットセラピー」としても実践されています。デジタルデバイスに四六時中囲まれているZ世代にとって、編み物はセルフケアとしても重要な意味を持ちそうです。
では、なぜこうした「魅せセルフケア」が広まりつつあるのでしょうか?
一つには、心身の不調というトピックが、他人に隠すものではなく、オープンに話題に上るものになってきたことがあります。「不安でネックレスを触る」という行為も、以前なら「ついやってしまう癖」とネガティブに捉え、隠したいと思う人も多かったかもしれませんが、コンフォートネックレスは「自分を安心させてくれるアイテム」としてポジティブに発話されています。Z世代は不調や弱さが「ない」人ではなく、それらを否定せずありのまま受け入れられて、自分の弱さを他人に見せられる人に憧れる傾向があるように思います。
また、コロナ禍での過度なセルフケアへのバックラッシュの意味合いもありそうです。完璧な食事・運動・睡眠スケジュールを守ろうとしたり、デジタルデバイスの使用時間を減らすためにスマートフォンを箱に入れて鍵をかけるなど、まるで自分への罰のようなデジタルデトックスを試みたりと、セルフケア自体に疲弊する経験をコロナ禍で多くの人が味わったのではないでしょうか。その経験を踏まえ、ファッションとして楽しみながら自然とセルフケアにもなる「魅せセルフケア」がちょうどよい選択肢になってきているのかもしれません。
最後に、「魅せセルフケア」のビジネスチャンスとして、下記のようなことを考えてみました。
私は新年の目標をそろそろ考え始めたところなのですが、「魅せセルフケア」で楽しくおしゃれにセルフケアをするのは、2025年の目標の一つになりそうです。
皆様にとっても、心身健やかな一年となることをお祈りしています。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2022年 博報堂に入社。
エンタメと語学のオタク。先日KPOPのコンサートを観に渡韓し、韓国語学習意欲にさらなる火が付きました。