<プロジェクトメンバー>
(写真左から)
柿原 正郎氏
東京理科大学経営学部国際デザイン経営学科 教授
澁谷 覚氏
早稲田大学大学院経営管理研究科 教授
本プロジェクト共同代表
石淵 順也氏
関西学院大学商学部 教授
西村 啓太
博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター 室長補佐
本プロジェクト共同代表
米満 良平
博報堂DYホールディングス
マーケティング・テクノロジー・センター 上席研究員
米満
前々回、前回に続き、生活者のデータからデジタル時代の情報選択・購買・消費行動について議論していきたいと思います。今回からは定量調査の結果を使いながら、分析・考察していきます。
これまでも買物行動において「感情」の役割について議論してきましたが、今回の調査でも主眼としたのは、「感情が盛り上がることが、買物にどのくらいつながるのか?」、また「感情が盛り上がると情報発信されるのか?」を探ることでした。先生方とともに質問の文言も含めて、ご意見をいただきながら調整し、実施しました。
西村
はじめに、連載第3・4回で議論したデプスインタビューからの示唆が、定量調査ではどのように出ているかをいくつか確認していきたいと思います。たとえば、デプスインタビューでは「生活者は情報を選べず困っている」という仮説に対して、「選べるのはいいことだ」というポジティブな反応や、「SNSはそもそも好みの情報しか流れてこないので、情報の多さに気付かない」という声がありました。
今回の調査では「情報が多く選ぶのが大変だ」という問いに、あてはまると答えた人が34%という結果で、一定数いるようでした。
また、「商品やサービスに対するこだわりがなくなっている」という仮説に対し、デプスインタビューでは「自分で選んでいる感覚は重要」という意見がありましたが、定量調査だと「商品やサービスに、機能や価格に差はないと思う」と答える人は思っていたほど多くはありませんでした。「差はあるだろうとは思うが、選べない」という状況がありそうです。
更に、「買物で失敗することが増えていることから、失敗したくない意識が高まっている」という仮説については、デプスインタビューでも「失敗したくない」という声が多く聞かれていましたが、定量調査でも40%超と高い数値で表れていました。
米満
いずれの結果も、SNSの利用頻度が多い人ほど、この傾向がより強くでていましたね。