※「働き直し」についての詳しい内容は、博報堂生活総合研究所の「みらい博2025」特設サイトからもご覧いただけます。
URL:https://seikatsusoken.jp/miraihaku2025/
毎回、様々なテーマで日本の未来像を描き出す「みらい博」。
今回のテーマは、働くことのこれからを、“労働者”ではなく“生活者”の視点から考えた「働き直し」です。
講演の冒頭では、石寺所長よりご挨拶と、今回のテーマ「働き直し」について導入となる話がありました。
□コロナ禍以前から長期的に続いている、生活者の「働き方」の意識変化に着目
□“休み重視派”が、1992年の調査開始以来優位だった“給料重視派”を逆転
□「働く」にまつわる不自由が増えた一方、「働く」にまつわる自由も増えた
□働くは、「たかが」と「されど」の狭間に揺れている
長期時系列データをもとに、生活者にとっての働く意義やモチベーションの大きな変化について、内濱主席研究員より説明いたしました。
□仕事が好きな人は減少して少数派に
□「働く」における生活者変化
・変化[1] 働いても対価に期待できなくなった
・変化[2] 働いて味わえる充実感が薄くなった
・変化[3] 会社は尽くしたいものではなくなった
□働くことの「低温化」が進行
・人生のなかで働くことを重要視し過ぎず、無理しないスタンスで働く人が増えている
□生活者の変化の兆し
・低温化の時代だからこそ、自ら働くことの意味や価値を見つける転機を迎えつつある
Part.1の最後で提示された、生活者が前向きに変わっていく兆しについて、「環境の変化」と「生活者の変化」という2つの視点で松井上席研究員より説明いたしました。
□働く生活者を取り巻く「環境の変化」
・日本の「働く」40年史で概況を振り返り
・環境の変化① ルールにしばられない
・環境の変化② キャリアにとらわれない
・環境の変化③ スキルにこだわらない
→働くことの制約から思考が解放され、 自分の想いに気づく
□働く当事者が起こしている「生活者の変化」
・「現在楽しく働いている」と「どうせ働くなら楽しく働きたい」の間に存在するギャップ
・生活者の変化① 働くことをゲームに見立てて、達成感を得る
・生活者の変化② 働くことをネタに見立てて、自己満足感を高める
・生活者の変化③ 働くことをハッシュタグに見立てて、新しい関係を広げる
→メタ的な視点から、仕事の意味を変える
□2つの変化を活かして、現在生まれつつある働く生活者の胎動=「働き直し」
・働くことをメタ的な視点で捉え直し、新たな手ごたえを生み出す
すでに働き直しはじめている生活者の姿を見ながら、その先の未来にどんなことが起こるのかについて、高橋上席研究員より説明いたしました。
□働き直しがもたらす関係変化
・これまで:生活者は会社を通して世の中と接していた
・これから:会社は暮らしの一部分となり、生活者は世の中と直接つながる
□働き直しはじめた6名の生活者”のインタビューをご紹介
□働き直しがはじまる3つの入り口
□働き直しが広がった社会像
最後に、再び石寺所長が登壇し、ここまでの発表を受けて「働き直し」についてのまとめと提言を行いました。
なお、今回の講演はリアルタイム・アンケートにより参加者に「働く」に対する意見をうかがうなど、インタラクティブなやりとりも交えて行われました。
講演終了後、来場者からは、
・「ここ最近、自身で感じていた、考えていたことがまさに働き直しだったことがわかり、スッキリしました」
・「AIやテクノロジー、リモートワーク等の働き方の変化とは異なる切り口での「働き直し」というテーマは、とても新鮮で、面白いと思いました」
・「会社を通じて社会をみることと、社会から会社をみることは違いますね」
・「どことなく暗いムードが社会に流れているように感じる中で、人々は自己実現の場を求めて模索している。新たな視点を学びました」
・「働き方の転換点にいることを、まざまざと実感。特に採用、若手社員との関わり方の参考になりそう」
などの声をお寄せいただきました。
博報堂生活総合研究所は今後も「働き直し」のさらなる探求をはじめ、生活者のきめ細やかな調査研究を通じて、よりよい未来を提言する活動を続けてまいります。どうぞご期待ください。
※博報堂生活総合研究所の「みらい博2025」特設サイトにて、詳しい内容をぜひご覧ください。
URL:https://seikatsusoken.jp/miraihaku2025/
1989年博報堂入社。マーケティングプラナーとして得意先企業の市場調査や商品開発、コミュニケーションに関わる業務に従事。以後、ブランディングや新領域を開拓する異職種混成部門や、専門職の人事・人材開発を担当する本社系部門を経て、2015年より現職。著書:『生活者の平成30年史~データでよむ価値観の変化~』(共著:日本経済新聞出版社・2019年)法政大学 非常勤講師。
2002年博報堂入社。マーケティングプラナーとして、多様な市場カテゴリーでのブランディング、商品開発、コミュニケーション設計に従事。2015年より現職。研究所のリサーチ全般のプロデュース、生活変化の研究業務などを担当。著書:『生活者の平成30年史~データでよむ価値観の変化~』(共著:日本経済新聞出版社・2019年)
2008年博報堂入社。マーケティングプラナーとして、多様な市場カテゴリーでのパーパス設定、ブランディング、商品開発、コミュニケーション設計に従事。「働く女性」を研究対象とした「キャリジョ研」の立ち上げ、買物研究所でのショッパー・リテール研究や潜在意識調査の開発、行動デザイン研究所でのデジタル時代の新情報行動モデルの開発などにも携わり、2023年から現職。
1997年博報堂入社。コピーライター/クリエイティブディレクターとしてCannes Lions Silver、TCC審査委員長賞、ACC審査員特別賞など国内外の広告賞を受賞。2014年、社内ベンチャー制度を活用して(株)NEWSYを創業。代表取締役・編集長としてネットニュース「しらべぇ」を月間1億ページビューの人気サイトに育てる。2024年から現職。