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次のメディアはメタバース! AI研究者・三宅陽一郎氏が予想するAI×メディアの未来

2025.04.15
メディア環境研究所では、AIが社会や産業、メディアにもたらす影響について研究・洞察するプロジェクト「AI×メディアの未来」を立ち上げました。その一環として、さまざまな分野で活躍している有識者にインタビューを重ねています。
AIの新しい技術を試す場として、ゲーム上の仮想空間が積極的に活用され、ゲームとAIはお互いに成長を支え合ってきたとも言えるでしょう。今回は、コンテンツ領域のAI開発の第一人者であり、東京大学生産技術研究所で特任教授を務める三宅陽一郎さんにAIの社会実装の可能性、新しいメディアの形などについて、メディア環境研究所 冨永直基がお話を伺いました。

AIが実際の空間を把握するために、メタバースやデジタルツインが必要

――三宅さんは、ゲームAI開発者として今までどういったことを研究されてきたのですか?

1994年以降、ゲームAIが急速に発展し、3Dゲームの登場がデジタルゲームにおけるAI技術の発展をもたらしていたのですが、私は2004年から20年ほどデジタルゲームのAIを開発してきました。

ゲームキャラクターは仮想空間、つまり3次元空間に存在していて、ロボットやドローンは実空間で動かなければいけないという違いはありますが、ゲームとロボットはAIという技術においてたいへん近い分野だと言えます。特にデジタルゲームはソフトウェアだけで完結するのでさまざまな実験がしやすいため、ロボティクスよりも早く人工知能の分野が進化してきたという背景があります。

そのため、現在はゲームAIで培われた技術をロボティクス分野に応用している段階です。

ゲームAIは、ゲーム全体を統括する「メタAI」、キャラクターの頭脳にあたる「キャラクターAI」、空間そのものを解析する「スパーシャルAI(空間AI)」の3つから構成されています。

特に最近は、「空間AI」が注目を集めつつあります。空間AIは一つの空間をAI化することです。空間AIはその空間を管理し、その空間の知識を保持し、その空間内に来たAIエージェントを助けます。たとえばある部屋に来たロボットやドローンに、その空間をうまく使うための空間情報や物の情報を与えます。またある場合には、強制的な制御を行います。例えば「ここは立ち入り禁止」「この物に対してはこの動きが可能」といったルールに沿って、AIエージェントを誘導する役割を担ってくれます。

実は人工知能は、ゲーム上でも実空間でも空間を認識するのが苦手なんです。そのため、人間が自然に行える空間認識を補うために「空間AI」が存在するわけです。

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