THE CENTRAL DOT

働く女子のホンネ vol.2 / 世代論

2017.05.15
#キャリジョ研#生活者調査
博報堂および博報堂DYメディアパートナーズの女性メンバーによる活動「博報堂 キャリジョ研」。20〜30代の働く女性(キャリジョ)に関する調査研究を行っています。本連載「働く女子のホンネ。」は、2017年2月に実施した「キャリジョ」大規模調査のデータを元に、彼女たちの生活意識・行動意識等をご紹介していくコーナーです。

あらためまして!キャリジョ研です

みなさま、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?気づけば、もう本格的な夏も目の前。早いですね。
さてさて、前回のコラムでは「OLという言葉はもう古い!今どきの女子は、将来のため、自分のために、逆算して戦略的に働いているぞ~!」という内容でしたが、今回は打って変わって、「必ずしも、働く女子みんながそうじゃない!」というお話です。んん!?一見矛盾していることを言っていますが、どういうことなのでしょう。

4つのキャリジョ世代

キャリジョ研では、20~30代の働く女性に対して調査を行い、世代別に人生観や仕事観、生活観などの違いを比較してみました。すると、世代によって、まあ~こんなにも違うものかと。育ってきた社会背景が違うから当たり前かもしれませんが、前回のコラム結果を牽引している存在があきらかになりました。
それでは、各キャリジョの世代別特徴をご説明していきましょう!

① 未来を逆算して生きる 20代前半 「ドローン世代」

想定される未来に対して、いま何をすべきかを考えて行動する。バリキャリ志向もないけど、専業主婦になりたいわけでもない。仕事もプライベートも「生活の中の一部」で同等に大事だから、できるだけ楽しく過ごせるように、戦略的に「いいとこ取り」しようとしているのが、この世代。キャリジョ研では俯瞰して自身の行動を決めるという意味で「ドローン世代」とも呼んでいます。働く理由では「子育てに必要なお金がほしいから」(63%)や、「若いうちに子供産んで仕事に戻るほうがよい」(70%)が高く、目指す未来予想図に向かって、人生の先輩たちを見ながら、今から逆算的に準備をしている姿がうかがえます。

では、彼女たちの戦略性は一体どこから来ているのでしょうか?ずばり、その背景にあるのがSNS。彼女たちは物心ついた時から、SNSを通して日常的に社会や人とコミュニケーションをとることが当たり前でした。SNSは自己ブランディングツールであり、自分の嗜好性に合わせて、効率よく情報収集もできるメディアでもあるのです。SNSを使いこなしているからこそ、自分たちの未来予想図がクリアになって、情報の荒波に飲みこまれずに戦略的に進んでいけるのでしょう。

② 安全な場所で冒険気分を味わいたい 20代後半 「波止場世代」

海は綺麗だって知っているけれど、見ているだけで十分。好奇心はあるけど、安全圏からは出たくない。自分の好きに使えるお金は欲しいから働いたり、他の世代と比較して刹那的に物事を楽しもうとする傾向があるのが20代後半。キャリジョ研ではまだ見ぬ沖には出ずに、出入する船から知識を仕入れるという意味で「波止場世代」とも呼んでいます。

データをみると、不景気の影響を受けた世代でもあり、「この先、世の中はよくなると思う」と答えた人は全体より約10pt低く、将来に対する期待値はやや低め。また、「安定した企業で将来の夫をみつけたい」(72%)「つまらない仕事でいいので、仕事量や業務量は最低限にとどめたい」(53%)など・・・データから伝わる「食いっぱぐれたくない」感。生活における安定性を重視していることがうかがえます。

一方で、SNSの使用についてはわりと積極的。SNSでスポット・ハッシュタグ検索も行っている人も多いのが特徴模様。特に興味深いのは、「SNSを通して海外トレンドをチェックしている」(32%)が全体と約10pt差をつけ、他のどの世代よりも高かったことです。冒険はせずに、身の回りの安心できる場所で、キョロキョロ楽しそうなことを探しているのが20代後半なのです!

③ あれこれ“技”を身につけたい 30代前半 「ヨット世代」

世の中、いつ何が起こるか分からない。だから、その時々の環境に合わせて生きる道を選択したいのが30代前半。なぜなら、彼女たちの幼少期は、バブル崩壊、サリン事件、阪神淡路大震災、児童殺害事件・・・と盛沢山に日本の一大事件が起こり、何かと不安定でした。また、詰め込み教育の影響が残りながらも、その批判から「個性」が重視された教育をされた世代でもありました。キャリジョ研では、周りに吹く風を読み、自身の動力に変えるという意味で「ヨット世代」とも呼んでいます。

30代は、全体、世代間と比較してみても、もっとも仕事に対してモチベーションが高いのが特徴的。さらに、「身近なところに起業している友達がいる」(47%)や「海外に関する仕事やグローバルで活躍できるような仕事がしたい」(42%)など、自分なりの特技や能力を生かして仕事をしている人が多いのも、この世代ならではです。

ちなみに、一生懸命頑張って働いて、いったい稼いだお金はどこに使うのだろうか~?と金銭まわりの数値を見てみると、「趣味にお金をかけたい」(66%)はやや低めな一方で、「ビジネスシーンでは、高品質・高価値のものを身につけたい」(51%)、「ジュエリーや時計など宝飾品にお金をかけたい」(41%)と、宝飾品まわりのスコアが高めという結果でした。年齢の影響もゼロではないとは思いますが、不安定な時代を生きてきたからこそ、「目に見える確かなもの」を身に着けたいのかもしれません。働き女子の世代間の違いが、消費の違いにもつながっているのは、大変興味深いですね。

④ 厳しさを知るからこそ、がんばり屋の30代後半 「モーターボート世代」

目標に向かって、まっすぐ、脇目も振らずにひたすら走る。自分の目指すものに向かって、真面目に、一生懸命に、最善を尽くそうと思うのが30代後半。なぜなら、彼女たちは、頑張れば頑張った分だけ評価をされた、詰め込み教育の世代だから。キャリジョ研では、自己成長というエンジンを積んで、目的地までまっすぐ進んで行くという意味で30代後半を「モーターボート世代」とも呼んでいます。

データをみると、9割以上が「経済的に自立した女性になりたい」と思っており、また、働く理由も「再就職が大変だから」(24%)などと、就職氷河期が重なった影響や年齢的に管理職も増えてきている中で、キャリアも仕事も一人前にがんばりたい意欲があることがうかがえます。

また、別の観点では、仕事においても人との繋がりを持つことが働く動機になっていたり、「ファッション雑誌よりもSNSを参考にすることが多い」(28%)や「SNSによって生活が変化した」(20%)が全体よりも約10pt低く出ていることからも、SNSの影響はあまり受けず、リアルなものを重視している傾向が。ポケベルやピッチが始まったモバイルネイティブ世代ではありますが、デジタル以外の情報も参考にしていそうですね。

以上、各世代の働き女子の傾向をお分かりいただけましたでしょうか。

「働き女子」も世代によって、ここまで差がでるんです!「働き女子」=「OL」とか「バリキャリ」という言葉で、みんなひとくくりにできる時代は終わった、ということでしょうか。いったい今の小・中学生が働き始める頃には、どんな「働き女子」がうまれているのでしょうかね。

さて、次回は座談会でよりリアルな世代実態を深掘していきますので、引き続きお楽しみに~!!

戸澤和(とざわ・いずみ)
第1マーケティング局 ストラテジックプラニングリサーチャー
キャリジョ研 研究員

2016年博報堂入社。昨年からキャリジョ研のメンバーとして活動。現在は、化粧品などの女性用消費財を中心に、リサーチ・プラニング業務を行っている。得意料理はフォー。最近ハマっているスイーツはかぼちゃプリン。

【調査概要】
●2017年 働く女性意識調査
実施時期:2017年2月
調査方法:インターネットリサーチ
対象者:23~38歳の有職女性 397人
※総合・専門・一般や派遣などは問わず。パート・アルバイト、自営業・フリーランスは除く
※未既婚は問わないが、子どもがいない方を抽出
※個人年収が300万円以上
対象エリア:東京・大阪・名古屋・札幌・仙台・神戸・広島・福岡

★バックナンバー★
働く女子のホンネ vol.1 / OLの終焉?!

FACEBOOK
でシェア

X
でシェア