2017年9月27~29日、シンガポールにて「スパイクス・アジア2017」が開催されました。初日の27日に、博報堂グループのTBWA\HAKUHODOの近山知史が登壇したセミナーのサマリーをご紹介します。
日時:2017年9月27日 10:00-10:45
テーマ:「Do Data Different: Brainstorming with a Downpour of Data(差をつけるデータの活用法:膨大なデータと上手に付き合うためのブレインストーミング)」
スピーカー:
Baker Lambert(TBWA\Worldwide グローバルデータディレクター)
近山知史(TBWA\HAKUHODO シニアクリエイティブディレクター)
セミナーのタイトルは「Do Data Different: Brainstorming with a Downpour of Data(差をつけるデータの活用法:膨大なデータと上手に付き合うためのブレインストーミング)」。TBWA\Worldwideのグローバルデータディレクターを務めるBaker Lambert氏と近山が、データとクリエイティブをテーマに、世界の事例を紹介しながら講義を行いました。
まず、TBWAでデータ活用におけるグローバル責任者であるLambert氏が、今日の広告業界におけるデータの位置づけとして、費用対効果などデータ活用の一面だけ、しかも面白いとは言えない活用ばかりに注目が集まって不本意であると発言しました。また、多くのエージェンシーで、データ担当者はクリエイティブ部門から離れた位置付けにいて、うまく協業できていないと指摘しました。そして、もしデータをうまく活用することができれば、クリエイティブな作品をたくさん生み出すことができるだけではなく、クライアントや社内の議論を、説得力を持って効率的に進めることができると述べました。
Lambert氏は、データには次の3つの活用法があると強調しました。
そして、1) 2)についてそれぞれを代表する世界の事例を紹介しました。
続けて、3)については日本でクリエイティブディレクターとして活躍する近山から事例を紹介すると伝え、近山にマイクを渡しました。
近山は、超高齢化社会である日本において社会貢献度も非常に高い事例として、博報堂が手がけたPanasonic Misheard Font (聞き間違えない国語辞典)を紹介しました。(2017年ライオンズヘルス、ヘルスアンドウェルネス部門銅賞受賞作品)
(65歳以上の日本人の約半数は、老化により「しぶや」と「ひびや」など聞き間違える傾向があることに注目。パナソニックは、三省堂の「スーパー大辞林3.0」約25万語から、独自開発の人工知能でそうした聞き間違えやすい言葉の組み合わせ約150万組を抽出して、独自のフォントと辞書を開発しました。)
http://player.canneslions.com/index.html#/works?awards=Bronze&category=health-and-wellness&entry=834028&festival=LH
(注)動画URLは、カンヌ公式サイトで一定期間閲覧可能。
続いて、TBWA\HAKUHODOの取り組みのひとつとして、AIG社内に設置したリスクボード(日本の各地で起きている事故などのリスクをタイムリーにスクリーン表示するシステム)を例に挙げました。
また、日々起こるリスクについて、世界中の知見とテクノロジーを駆使してお客さまを守る、AIGの事業戦略コンセプト「ACTIVE CARE」をビジュアルでわかりやすく表現したスペシャルムービー、#TackleTheRiskを紹介しました。(2017年スパイクス・アジア、フィルムクラフト部門銀賞受賞作品)
https://www.spikes.asia/winners/2017/craft_film/entry.cfm?entryid=2696&award=99&order=1&direction=1
(注)動画URLは、スパイクス公式サイトで一定期間閲覧可能。
そして、「もしこんな変化が起こせたら人々の暮らしは大きく変わるだろう」という鮮明なイメージを想像することでデータの使途が見えてくると述べました。ロジックからスタートするのではなく右脳を使って直感に基づいて考えることが大切で、そうすればロジックとデータが後からあなたの発想を固めて証明してくれると、ディスカッションを締めくくりました。
Ad Age の「10 Digital Marketing Innovators to Know」の一人に選ばれ、adidas、Airbnb、Gatoradeなどのグローバルブランドのキャンペーンを成功させてきた。前職のJetblue航空、Welss Fargo、E Tradeやヘッジファンドでは、モバイル株取引アプリからグローバルな金融モデルなどを手掛ける。プライベートでは、熱烈なスキューバーダイバーで監視員の資格保持者。またeスポーツをメインストリームにするため尽力している他、最近ではSpaceXの世界初軌道ロケットブースター着陸成功にも寄与した。
2003年博報堂入社。TBWAネットワークの社内留学制度により、2010年にロサンゼルスのTBWA\CHIAT\DAYでコピーライターとして1年間の経験を経て帰国後、TBWA\HAKUHODOに勤務。最近ではオーストラリア観光局「GIGA Selfie」、リリカルスクール「RUN and RUN」などを手掛け、同社が、カンヌライオンズ金賞や Spikes Asia グランプリ、釜山国際広告賞(AD STARS)グランプリ、Campaign Asia-Pacificの 「Creative Agency of the Year」を受賞することに大きく寄与した。他にも、AKB48のMVおよびPR活動や、ベンチャー企業と協働で車椅子のブランディングを行うなど、広告業界の枠を超えて多方面で活躍。業界内でのセミナー、講演も多く手掛けている。日本広告業協会(JAAA)のクリエイター・オブ・ザ・イヤー2015メダリストに選ばれた他、Campaign Asia-Pacificの「Creative of the Year 2016」も受賞。
★スパイクス2017アーカイブ★
【スパイクス・アジア2017】―博報堂のスペシャリストたちが感じた!「カンヌとスパイクスからみえた広告業界のトレンド」
【スパイクス・アジア2017】―博報堂DYグループ審査員インタビュー(③メディア部門 嶋田三四郎)
【スパイクス・アジア2017】―博報堂DYグループ審査員インタビュー(②アウトドア & ラジオ部門 三浦竜郎)
【スパイクス・アジア2017】―博報堂DYグループ審査員インタビュー(①ミュージック部門 佐藤カズー)
博報堂グループ、および博報堂DYメディアパートナーズは スパイクス・アジア2017にてグランプリなど29の賞を受賞。― ヤング・スパイクスでも優勝 ―
【スパイクス・アジア2017】TBWA\HAKUHODOチーフクリエイティブオフィサーの佐藤カズーが、Music部門の審査委員長に。その他、博報堂DYグループから2名が審査員に決定。