こんにちは。ヒット習慣メーカーズの植月です。
新年度が始まってから1週間が経ちましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は今年度から2年目になるのですが、「新入り」の肩書を失ったことに一抹の不安を覚えながら毎日頑張っています。ヒット習慣メーカーズのメンバーとしては本日からの「新入り」となりますので、温かい目でお楽しみいただけると幸いです。よろしくお願い致します。
さて、今回のテーマは「時短エンタメ」です。
昨今、日課としていつもやっていることを効率よく行う「時短家事」や「時短メイク」が浸透してきています。そんな時短志向が、余暇を楽しむためのエンタテインメントにも適用され、「サクッと楽しむ」潮流ができつつあるというお話です。
「時短エンタメ」の具体的なものとしては、「時短飲み会」があります。
最近、若者世代にも「立ち飲み屋」が人気となっています。席のある飲み屋と比べて平均滞在時間が短く、店によっては30分程度で退店する方がほとんどだそうです。実際に愛用者に話を聞いてみると、“本当に一杯だけでも嫌な顔をされない”ことから、気軽に入店しやすいと言います。
「時短飲み会」以外にも、時短エンタメが普段の生活のあちこちに潜んでいました。
例えば、「時短ドラマ鑑賞」。
録画しておいたドラマを倍速再生で見ることで、より短い時間で楽しめるというものです。私自身も、仕事で帰りが遅くなったときには、サクッとドラマを楽しみつつ睡眠時間をしっかり確保するために倍速再生で見ることがあります。ドラマ内の絶妙な間の面白さが分からなくなるというデメリットはあるものの、大まかな内容は理解できます。こうしたライフスタイルに合わせた効率的な視聴を望む声が多くあったのか、流行りの動画配信サービスにおいても倍速コントロール機能を付けているものも出てきました。映像コンテンツは、“いつでも、どこでも、好きなものを楽しめる”だけではなく、“効率性”も求められるようになってきているのかもしれません。
他には、「時短カラオケ」。
最近は、歌の一番を歌い終わったら終了ボタンを押し、次の人にパスを回す(一人カラオケであれば自分で次の曲を入れる)傾向があるようです。一曲すべて歌うと5分くらいかかり、間奏で間延びしてしまったり飽きてしまったりするために、一番の大サビを歌い終わったタイミングで終了するのがちょうどいいそうです。特に若者世代では、その傾向が顕著に現れており、間奏部分で静まりかえって盛り上がりが途切れないよう、一番の大サビで終えることが一般化しているようです。また、最近では一番で歌を終える機能のついたカラオケも出てきており、ブツッと切れることなくスムーズに次の人にパスを回せるようになっています。
では、なぜ今、「時短エンタメ」が求められているのでしょうか。
理由の一つに、現代人の忙しいライフスタイルがあると考えます。忙しいけど、楽しむ時間をなくしたくない。そんな生活者にとってサクッと楽しめる「時短エンタメ」はもってこいなのかもしれません。特に若者世代は、小さい頃からインターネットに慣れ親しんでおり、疑問に思ったことはすぐに答えが分かって当たり前の環境下で育ってきました。そのため、情報収集以外においても“なんでも早く解決したい”“おいしいところだけ欲しい”という思いが強いと考えられます。
また、エンタテインメントコンテンツそのものが豊富になったことも影響しているのではないでしょうか。豊富なコンテンツをなるべく多く楽しみたいと思えば、一つのコンテンツにかける時間を減らさざるを得ません。特にドラマのように周囲の人との話のネタになるものは、できるだけ多く押さえておきたいところでしょう。つまり、エンタテインメントにおいて、「質より量」が大事になってきているのです。
他にも、先述した「立ち飲み屋」に関連するものとして「はしご酒」の検索件数を調べたところ、「立ち飲み屋」と同じような伸びをみせていました。
「立ち飲み屋」が人気になっている背景には、「ちょい飲み」欲求はもちろんのこと、ちょっとずつたくさんの店を楽しみたいという欲求も結びついているのかもしれません。情報もコンテンツも溢れている今の時代を、120%楽しむための一工夫とも言えますね。
こうした「時短エンタメ」には、エンタテインメントの幅が広いだけに、多くのビジネスチャンスが潜んでいるのではないでしょうか。
今の時代ならではの豊富なコンテンツを網羅的に楽しむための「時短エンタメ」。私は、どんな場所でもいい店をサッと提示できるかっこいい大人になりたいと思っていたところなので、早速はしご酒で居酒屋レパートリーを増やしていきたいと思います。みなさんも、たくさんのコンテンツを楽しみたい際には、こうした「時短エンタメ」を実践してみてはいかがでしょうか。
2017年 博報堂に入社。
新人マーケターとして、社会の荒波に揉まれながら、社会に新たな潮流をつくることを夢見て奮闘中。韓流が好きで、隙あらば韓国に行けないかと目論んでいる。イチオシは東方神起。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。