今年で10周年となる「アスリートイメージ評価調査」は2008年からスタートし、それまでになかったアスリートのイメージを分析することで、アスリートキャスティングの可能性がもっと広がると思い企画しました。アスリートが持つ人間性は、競技で結果を残すことに至る陰の努力や苦悩から表れていると思っています。それが人に感動を与えたり、イメージに繋がっているのではないでしょうか。アスリートイメージ評価調査は、そんなアスリートたちのイメージを評価しているものです。
では、今回は総合ランキングを筆頭に数ある項目のなかでも「勢いを感じる」に注目し、アスリートイメージ評価調査の10年を振り返ります。2008年北島康介(水泳)、2009年石川遼(ゴルフ)、2010年本田圭佑(サッカー)、2011年宮市亮(サッカー)、2012年髙梨沙羅(スキージャンプ)、2013年田中将大(野球)、2014年錦織圭(テニス)、2015年錦織圭、2016年ケンブリッジ飛鳥(陸上)、2017年大谷翔平(野球)と、2年連続で1位だったのは2014年、2015年の錦織圭のみ。変化が捉えられるイメージ項目だと思います。
現在華々しく活躍しているといえる髙梨沙羅(スキージャンプ)、羽生結弦(フィギュアスケート)、白井健三(体操)、大谷翔平(野球)、伊藤美誠(卓球)、清宮幸太郎(野球)などは、総合ランキングでは上位にランクインしない年でも、この「勢いを感じる」の項目では、ベスト5位以内の上位にランキングされていました。アスリートにとっては、総合ランキングに入るような活躍を占う指標として「勢いを感じる」は重要な意味を持つのかもしれません。
その「勢いを感じる」で2014年と2015年に連続で1位となった錦織圭は、2014年はバルセロナ・オープンで優勝、マドリード・オープンそして全米オープンで日本人初の決勝進出を果たしています。2015年は全豪・全仏でベスト8、メキシコ・オープン準優勝で世界ランキングを4位まで上げ、バルセロナ・オープンは2連覇、ロジャーズ杯で過去7戦全敗のナダルに快勝とファンを盛り上げました。
2008年に勢いを感じる1位の北島康介は、北京オリンピック男子100m平泳ぎで58秒91の世界新記録で金メダルを獲得しました。石川遼(2009年・1位)は、高校生でプロゴルフ転向後の2009年に年4勝を挙げ、史上最年少の賞金王となりました。本田圭佑(2010年・1位)は、FIFA ワールドカップ 南アフリカ大会で4試合にフル出場し、大会直前にそれまで経験のないセンターフォワードのポジションに抜擢され、グループリーグ初戦のカメルーン戦で決勝点をあげる活躍をみせました。
宮市亮(2011年・1位)はオランダリーグのフェイエノールトでプレーし、欧州主要リーグの日本人最年少デビュー記録(18歳1カ月23日)をつくりました。髙梨沙羅(2012年・1位)は2012年3月のW杯ジャンプ女子蔵王大会で優勝(W杯最年少記録)、11月には2012/13シーズンW杯開幕戦優勝と結果を残しています。田中将大(2013年・1位)はWBC出場、オールスター第1戦で先発し、レギュラー・ポストシーズン合わせて30連勝と東北楽天ゴールデンイーグルスの日本一に貢献し胴上げ投手となりました。ケンブリッジ飛鳥(2016年・1位)は、リオデジャネイロオリンピックの4×100mリレー銀メダリストとなっています。その年のアスリートたちが残した結果が、ランキングに大きく影響しています。10年を振り返ってみると、今となっては著名なアスリートたちばかりが上位となっています。
続いて、アスリートイメージ評価調査の2017年12月データから「知っている」と「勢いを感じる」の2軸によるアスリートの可視化を試みました。生活者が名前などを知っていて、また、勢いを感じるグループは右上の象限に位置しています。そこには、「大谷翔平(野球)」「白井健三(体操)」「清宮幸太郎(野球)」「宇野昌磨(フィギュアスケート)」「張本智和(卓球)」「平野美宇(卓球)」「ケンブリッジ飛鳥(陸上)」などが位置しており、これからの活躍でさらに「知っている」が増えていくであろう、未来の注目株のアスリートたちです。本当に楽しみです。
このように、アスリートイメージ評価調査の結果データを分析していくと、アスリートの活躍を裏付けるデータや、未来の活躍までも見えてくるかもしれません。
1995年博報堂入社。初任配属は事業本部。2004年メディアマーケティング局兼ラジオ局複属。 現在はナレッジデザイン局情報マネジメントグループ。
主にメディアやコンテンツの調査分析及びデータ開発に従事。最近のマイブームは「家族の時間」。
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「アスリートイメージ評価調査」