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ヒット習慣予報 vol.38 『自分らしいエンディング』

2018.08.28
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの武藤です。
初めてコラムを書かせて頂きます。これからよろしくお願いします。
みなさん、今年のお盆はいかがお過ごしでしたでしょうか?
私は、母の実家の送り盆、お墓参りに行ってきました。毎年、お正月と盆の2回、お墓参りするのが小さいころからの習慣です。本家に親戚一同集まってお墓参りするのですが、普段なかなか会えないのでこういう機会はとても大切だな、と感じました。

さて、そんなお盆明けの今回のテーマは「自分らしいエンディング」です。
以前は、話題になりづらかった「死」「お葬式・葬儀」等が、少し明るくオープンな雰囲気に変化し、「自分らしいエンディング」を自分でプロデュースするようになりつつあります。

先日、私の友人家族が今あるお墓とは別に新たに家族の室内墓を建てたとのこと。
室内墓とはビル型施設内に墓石を置いた新しいタイプのお墓で、現在かなりの話題になっているようです。室内墓を選んだ理由を聞くと、「近くで、天候の心配や掃除をする必要もなく、気兼ねなく行きたいときに行けるお墓がよかった」とのこと。確かにお墓が遠方にあると毎回墓参りが大変ですし、お墓を建てるスペースなどのコストを考えると今のニーズに合っているといえます。

また、「ドライブスルー葬儀場」という車から降りずに参列、焼香が行える葬儀場も話題になっていました。これは、長蛇の列や長い時間を要する葬儀に高齢者が参加するのは困難だという考えから生まれたもので、アメリカにも同様のサービスがあるそうです。

このように、最近のお墓、葬儀事情は今までの固定概念が変化して、かなり柔軟になってきているようです。

固定観念の変化という意味でいうと、今までのような喪服を着てしめやかに故人を偲ぶというような画一的なお葬式ではなく、より故人の趣味や意思を尊重したお葬式も増えています。
宇宙空間へと打ち上げる宇宙葬。海洋散骨を行う海洋葬。樹木を墓標とする樹木葬。
アルプス山脈モンブラン上空から遺骨をまくモンブラン葬などがあり、「自然に帰りたい。自然の一部になりたい」という故人の遺志や、「海に行くのが好きだった」「宇宙が好きだった」等個人の趣味や好きだった場所にゆかりのあるものにちなんでプロデュースされたお葬式も話題になっています。

また、大手建設機械メーカーの元社長が、「元気なうちにお世話になった方々に自ら感謝の気持ちを伝えたい」という気持ちから、自らが「感謝の会」と称して明るい雰囲気で生前葬を開いた事例もネットで大きな話題となりました。エンディングという活動が、亡くなった後ではなく、自分が最後にやりたかったこと、やり残したことをやり切るという「生前の活動」にまで広がっているように思えます。
「終活」というワードを検索してみるとやはり増加傾向にあります。

※Googleトレンドより

このように、今までとは少し違う、多様な「自分らしいエンディング」が受け入れられはじめているのはなぜでしょうか?大きく2つの理由があると考えています。

1つ目は、冠婚葬祭のセルフプロデュース化があげられます。すでにウェディング分野では自らがアレンジ、プロデュースできるよう自由化されていて、定着しており、その流れがエンディング分野でも起きてきているからではないかと思われます。

2つ目は、エンディングの選択肢の多様化があげられます。ある葬儀社は、「葬儀は十人十色」という考えで、VR葬式体験を作って、自分ならではのエンディングイメージをふくらませられるようなアイデアを提供しています。

そんな「自分らしいエンディング」には、こんなビジネスチャンスがあるのではないかと考えます。

◎「自分らしいエンディング」のビジネスチャンスの例
■その人らしい、希望にそったエンディングをオーダーメイド、プロデュースするセレブラントの斡旋。
■亡くなった後にSNSの写真をキュレーションしてくれるサービス。
■故人といつでも会話できるようなIoT+VRシステムの開発。
など

先日同僚と、「ディズニーが大好きなおばあちゃんがいて、ディズニーリゾートで生前葬をやれたらすごくいいよね」と話題になりました。
あなただったらどんなエンディングを迎えたいですか?

武藤こずえ(むとう・こずえ)
統合プラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

音楽業界から広告業界へ。
旅、映画、音楽が大好き。
最近は、月1回温泉に入ることを目標にしています。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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