こんにちは。ヒット習慣メーカーズの栗田です。
私ごとですが、最近引越しをしまして、家具や雑貨、日用品を色々とリニューアルしました。引越しをした直後って、オシャレな部屋づくりをしたいから、日用品などの低関与商材でも、いつも以上にちょっとこだわって選びたくなったりしますよね。そんなきっかけで、私はこの頃、部屋のインテリアに馴染む、シンプルなデザインの日用品を多く買うようにしています。
ということで、今回は、そんなシンプルなデザインの日用品をテーマにした「ノーアピール良品」です。ノーアピール良品とは、「機能訴求よりもデザインを優先したパッケージの日用品」のことです。最近、高機能、多機能な商品にも関わらず、パッケージでの機能訴求はほとんど行わず、シンプルなパッケージデザインを保った商品が人気を集めているようです。そんなノーアピール良品の事例や、ノーアピール良品が増えている理由を少し考えてみたので、ご紹介させていただきます。
はじめに、博報堂生活総合研究所による定点調査「ものを買う時、デザインよりも機能を重視する」の結果をご紹介させていただきます。見ての通り、近年、ものを買う時に、デザインよりも機能を重視する生活者が減少傾向にあることが伺えます。
続いて、ノーアピール良品の事例をいくつかご紹介させていただきます。
一つ目は、ゴキブリ用殺虫剤の事例です。
「ゴキブリのイラストを見るのも嫌」という生活者の声に応えて、パッケージからゴキブリのイラストを無くした殺虫剤がヒットしているようです。こちらは、店頭では、殺虫剤ということがひと目でわかるよう従来のデザインを維持しつつも、パッケージを剥がすとシンプルなデザインになり、部屋においても違和感がないという点が人気の理由のようです。
二つ目は、ボタニカルシャンプーの事例です。
こちらは、ボタニカルであることや、髪のパサつきやダメージを抑えられること、長時間続くフレグランスといったような、訴求できる機能をいくつも持っているシャンプーでありながらも、パッケージで機能は訴求せず、シンプルなデザインとなっています。
三つ目は、ライフスタイル系通販サイトの事例です。
この通販サイトでは、日用品メーカーとコラボレーションして、シンプルなパッケージデザインに変更したオリジナル商品を販売しており、生活者の日常になじむデザインとして人気を集めているようです。また、洗剤や水、トイレットペーパーなど、シンプルなパッケージデザインの商品を多数取り扱っている点も人気の理由となっているようです。
ではなぜ今、「ノーアピール良品」が普及したのでしょうか?
もっとも分かりやすい理由として、「部屋においても違和感がない」という視点は、あるかと思います。ただ、詳しく調べてみると、それ以外にも、「売り場づくり」や「販売チャネルの変化」という視点からも、ノーアピール良品が普及した理由が伺えました。
まず、「売り場づくり」についてですが、シンプルなパッケージデザインのノーアピール良品は、売り場で逆に目立つようです。シャンプーを例に挙げると、派手なパッケージデザインのシャンプーばかりが並んでいる中で、逆にシンプルなパッケージデザインのシャンプーはひと際目立ちます。また、シンプルなパッケージデザインは、自然派なブランドイメージを形成するのに一役買う効果もあるようです。
次に「販売チャネルの変化」についてですが、日用品をECで購入する生活者が増えた(=店舗で日用品を購入する生活者が減った)ということが、ノーアピール良品の普及につながっているようです。というのも、ECの場合、店頭のようにパッケージで機能を訴求する必要がなく、商品ページの機能欄や備考欄などで機能を説明することができるため、無理にパッケージに機能説明を入れ込む必要がないのです。
近年、小売業の店舗アプリや、ARなど、スマホを使って、商品情報を検索できるサービスが登場してきています。このようなサービスがより増えると、パッケージで機能を訴求する必要性が減ってくるため、ノーアピール良品は、より普及するかもしれないですね。
ということで、「ノーアピール良品」はこれからヒット習慣になる可能性があると思い、いろいろなカテゴリーでのビジネスチャンスを考えてみました。
私は、今まで機能性を優先して日用品を買っていたのですが、最近は、パッケージデザインという視点を加えて、商品を選ぶようになりました。ノーアピール良品を部屋に置くと、ちょっと気分が上がりますし、実際にその商品を使ってみるのが少し楽しくなったりします。みなさんもぜひ、ノーアピール良品を手に取ってみてはいかがでしょうか。
インタラクティブプランナーとして、データやテクノロジーを活用したデジタルアクティベーション企画を考える仕事をしています。髪は長め。おなか弱め。谷中生姜とジャニーズが好き。ほぼ毎日キングダムを読んでいます。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。