日本からも、年間約150万人の人が訪れているほど、観光地として人気のハワイ。そこに暮らしているなんて、なんて羨ましいご家族!という事で、さっそくハワイのこそだて生活をのぞかせていただきたいと思います。まず最初に教えてくださったのは、ハワイならではの独特のスピリットについて。「ハワイの方々の特徴として、"オハナ(家族)"や”アロハスピリット”などがあります。ハワイの人たちは、慣習として、人と人の繋がりをとても大事にします。親戚だけでなく、友人、知人、ハワイを訪れた人など、お互いを助け合ったり、尊敬しあう間柄を築こうとしています」と、あずささん。以前通っていたフラ教室では、フラを習っている子の中に、複雑な家庭環境にある子ども達がいましたが、同じフラ教室の大人が食事や礼儀作法など、まるで自分の子どものように、面倒をみていたそうです。普段から、街でベビーカーを押していると、大人・子ども、男・女にかかわらず、どんな人でも気遣ってくれ、ドアやエレベーターを空けてくれたり、泣いている子がいたらあやしてくれたりは当たり前だとか。まるで、昭和初期の日本のような、「地域、コミュニティの大人が一緒に子どもを育てるのが当たり前」という空気が、ハワイにはあるようです。
日本でも、ハーフバースデーや1/2成人式など、子どもを中心にしたイベントが盛り上がっていますが、ハワイで特に盛大に行われるのが、子どもの1歳の誕生日「1stバースデイ」だそうです。中には、結婚披露宴よりお金をかけて行う事もあるそうで、100人以上招待する事もざらだとか。レストランを貸し切って「バルーンパフォーマー」を呼んだり、「フェイスペイント」や「わたあめ」などのブースを作ってコンテンツ満載にする事もあれば、ビーチにバウンサーを設置し、朝から日が落ちるまで1日中パーティーをしている等、やり方は様々。「赤ちゃんが1歳を迎えられた“幸せ”を、みんなにおすそわけする」と言う意味合いが込められているお祝いの場に、親戚だけでなく、友人・知人や職場の仲間まで、多くの人が集まるのが、ハワイらしいですね。
ハワイのパパ達は育児に対してとても積極的だそうです。共働き世帯が多いため、子どもに関わる事も半々でシェアするのが当たり前!という事で、必然的にパパ達も子どもの学校行事のために仕事の休みを取り、授業参観や、親子面談に参加しています。日本で言うPTAのようなボランティアの場にも多くのパパが参加している様で、パパ達が学校や教育に対してかなり興味を持っている様子。「ハワイ州の公立学校の教育レベルはあまり高くないため、親が積極的に教育に参加しなければならない」と、ヒデさんは語ります。そのような背景があるとは言え、共働きでも育児や子どもの教育の事はママにおまかせになりがちな日本と比較して、パパ達が前向きに、子どもの教育にも関心を持ってくれるハワイのこそだて家族が、うらやましいような気もします。教育だけでなく、庭掃除とバーベキューはパパの仕事だったり、子どもをビーチに連れていくのもパパの役目と、家事や遊びの面でもパパの出番があるようです。ビーチでは、荷物運びやテント設営などはもちろん、子どもと遊ぶのもパパメイン。子どもが小さいうちは波打ち際で遊んだり、砂遊びしたり、小学生くらいになるとブギーボードやスキムボードで遊んだり、親がサーフィンをしている場合は、サーフィンを教えたりしながら、父子の絆を育んでいるようです。これぞハワイ!というような素敵なイクメンライフが目に浮かびますね。
話を聞いているだけでため息が出てしまうようなハワイのこそだて生活ですが、もちろん大変な事もあります。それは、リゾート地特有の悩みでもある「生活費が高い」という事。「とにかくハワイは、全米の中でもとても生活費が高く、生活するのが大変な場所です。物価は他州に比べて1.5倍、家賃は3倍、日本とくらべたら、感覚的に2倍くらいでしょうか」とヒデさん。しかも、ここ数年物価の上昇が続いており、物価上昇に収入が追いつかない家庭も増えているようです。ハワイでの生活を維持するにはお金がかかる!という事で、そのお金を稼ぐべく、ハワイのママ達も、時間に追われているようです。多くの人が生活のために副業をしていて、2ジョブは当たり前、中には3ジョブという人もいるとか。ママのあずささんも、普段は自分でビジネスをしながらケーキ屋でも働いていて、ホリデーシーズンにはワイキキのアパレルショップでパートタイムをしているそうです。2つ3つの仕事を掛け持ちし、その上子どもの事も…となると、24時間フル回転。ゆったり時間が流れるリゾート地ハワイですが、生活するとなると、別の側面が見えてきます。
物価高騰や子どもの教育環境など、気になる面はあるものの、それでもやっぱりハワイでの子育ては最高!と、ヒデさん、あずささん夫妻は口を揃えます。何よりの魅力は、他の地域では中々味わうことのできない「大自然」。一面に広がるエメラルドグリーンの海や、目眩がするほどの大樹。雨上がりのダブルレインボーに、ふってきそうな満天の星などなど・・・1つの島の中に、様々な自然の魅力が濃縮されているのがハワイ。長年暮らしていて、ハワイの景色に慣れているヒデさんやあずささんでも、「年に数回、思わず息を飲むほどの風景に出会える」そうです。「この自然を、子どもと一緒に味わえることが何より幸せ」とヒデさん。子ども達もハワイの自然を存分に楽しんでおり、「他の土地に適応できなくなるのが心配」とあずささん。アメリカ本土に進学した学生が、「ハワイじゃなきゃダメ」と戻ってくるケースをよく聞くそうです。
いかがでしたか?ハワイの人が、仕事かけもちで時間に追われながらも、暖かいアロハ・スピリットを保ち続けられるのはなぜなのでしょうか?地域コミュニティの関係性が薄れ、働く女性が増えたことで、ママたちも心の余裕が無くなりがちな日本ですが、その原因を決して「時間」のせいだけにはできないようです。なんだか考えさせられる、ハワイのご家族取材となりました。