「座右の銘のない人間は、信用できない」
新年のスピーチを書くために、とある企業の
社長さんから聞いた言葉です。
社長さんの座右の銘は「一期一会」
お正月の書き初めのとき、毎年この言葉を
書いているとか。
「同じ字を書くんだが、毎年違う。
5年前の字をみると、別人の書いた字に
見える。自分の環境や心境の変化を
客観的に考えるのに、これほどいい材料は
ない」
社長は、座右の銘をしばらく眺めた
あとで、今年の抱負を考える。
こちらは毎年更新される言葉で、
その時々の乗り越えるべき問題などを
意識して書くそうです。
「随分、時間がかかるのではないですか?」
「1日かかりますね。まぁ、お正月だからね。
時間はいくらでもある」
と言って、にっこりされました。
これだけ言葉にこだわる人ですから、
「座右の銘」のない人は信じられないのです。
「座右の銘を聞けば、その人の人柄や教養、
どれくらい前向きに生きているかがわかる」
と断言。社長の「一期一会」は座右の銘としては
ポピュラーなものですが、長く茶人である社長の
心意気は確かに伝わります。
私のインタビューにも、一所懸命に取りくまれる。
密度の濃い話には、頭が下がります。
私もこの社長に倣い「座右の銘」を決めています。
「みんなが笑って暮らせる国へ」
「美しい日本」「幸福な国」「豊かな社会」といっても
ひとつも頭に絵が浮かんできません。
私にとっての「幸福」は、目の前にいる人が
笑顔でいてくれること。
誰もが目の前にいる人を「笑顔」にすることを
心がければ、この国は変わると思う。
それをめざす生活をしたいし、志す人間でいたい
のです。
先日、私の友人のデザイナーが、
「うちの子、書道やってるから、ひきたさんの
座右の銘を書いてあげるわよ」
と言ってくれました。
お願いすると、こんな素敵な書があがって
きました。
私はこれを毎日眺めながら寝起きしています。
すると、
「まずは私から笑顔にならないと」
という気が芽生え、口角があります。
座右の銘には、このように自分を律し、
原点に立ち返らせる力がある。
これを繰り返すことによって、
人に尊厳が生まれてくるのでしょう。
新しい年を迎えるにあたり、
「座右の銘」をつくることをお勧めします。
そんなの堅苦しいという人は、自分を
励ますための「アファメーション」でも
いいでしょう。
その言葉を手帳やノートの表紙に書く。
人に公言する。SNSで発信する。
新年のフレッシュな気分がなくなった
後でも様々な機会をとらえて
座右の銘を眺め、語ることで、
言葉も人も磨かれていくのです。
座右のコトダマを胸に刻む。
その言葉が嘘にならないよう一年を
過ごしたいものです。
今年もコトダマといっしょに
実り多き一年をお過ごしください。
<経営のコトダマ>
第1回 あなたの会社が終わるとき
第2回 徹底的に戦いを省け
第3回 サービスとホスピタリティ
第4回 文学は、実学。
第5回 未来を五感で味わいつくせ
第6回 体調のコトダマ