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【博報堂キャリジョ研×SHE対談】
働く女性が“熱狂して生きる”世界とは(前編)

2019.01.10
#キャリジョ研
「働く女性が“生きやすい”社会をつくる」ことをビジョンとして活動する博報堂キャリジョ研が、人々の多様な生き方や働き方を支えている方々とお話をさせていただく対談企画です。今回は、キャリアスクールやコワーキングスペースなど、女性に向けたキャリア支援サービスで注目を浴びるSHE株式会社の中山紗彩さん(CEO)と福田恵里さん(CCO)と対談しました。

ふたりの原体験から生まれた、“熱狂して生きる”というビジョン

長谷川:キャリジョ研の中で、私たちと同じように働く女性を応援する活動をされている方の代表格として、いつもお名前が挙がるのがSHEで、ぜひ一度お二人とお話してみたいと思っておりました。本日はよろしくお願いいたします。まずは、おふたりの自己紹介と、会社を設立した経緯などを教えていただけますか?

中山:はい、中山紗彩と申します。1991年生まれで現在、27歳です。早稲田大学にいたときから、女性向けのマーケティングやコンサルティング事業をやっていまして、具体的には「パジャコレ」というパジャマのファッションショーを主宰しそこをメディアとしつつ、企業のマーケティングや商品開発コンサルをする事業を行っていました。ずっとその事業を続けていくかどうか迷ったとき、もう少し自分の人生を賭けて成し遂げたいテーマや、一緒にやりたいと思える仲間を探そうと思い、リクルートに入社しました。入社1カ月後に社内の新規事業提案コンテストを通過して、それから2年間ぐらいリクルートにおりました。その後1社、教育系のスタートアップの取締役を経て、2017年の4月に福田とこのSHEという会社をつくりました。

福田:私は1990年生まれで現在28歳です。大学在学中にサンフランシスコに留学する機会があり、シリコンバレーで現地の起業家や、日本から留学してきた起業家の方にたくさん出会ったんです。今から5~6年前でまだSNSの黎明期だったのですが、同世代の起業家が「今インスタグラムの動画バージョンをつくっているんだ」なんて言いながら黒いコンソール画面にプログラミングをしている姿を横目で見ていて、衝撃を受けました。自分のアイデアを自分でカタチにできる人って、これからとても重宝されると思ったんです。私もその手段として、デザインやプログラミングを学びたいと思い、帰国後はずっと独学で勉強していました。しかし、学べば学ぶほど、20代の女性がプログラミングを学ぶ機会ってすごく限られているというか、ハードルが高いという壁にぶつかったんです。もっと女性が簡単にデザインやプログラミングを学べたらという想いから、大学在学中に「初心者の女性のためのスクール」を立ち上げました。これが今のSHEの原型です。この事業を基軸に将来起業したいなと考えながら、まずは武者修行的にリクルートに入社し、そこで出会ったのが中山です。

左から、SHE株式会社の中山紗彩さん(CEO)と福田恵里さん(CCO)

中山:私たちの会社がはじめに定めたのは、事業内容や事業領域ではなく、「ビジョン」でした。それは、「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中をつくる」というものです。わたしは小中高一貫の女子校に通っていて、専業主婦になって男性を支えるのが女性の幸せ、というような価値観が大きい学校だったんです。そのような価値感に抵抗感を感じて生きていたのですが、もっと自分の魂を爆発させたい、先例や常識にとらわれず、自分がいいと思ったものをいいと言ったり、それを行動に移したい!という想いをずっと持っていました。その原体験から、ひとりひとりが自分にしかできないことを生かして熱狂して生きる世の中ができたら、その人も周りの人も世の中も幸せになるのではないか、と考えていました。目指す方向が合致した福田と共に、私らしい働き方をかなえる場所として「SHElikes」というクリエイティブスクール事業と、その卒業生たちに対して仕事の機会を提供するような事業「SHEcreators」をやっています。

高田:最初はたしか、ミレニアル世代向けのコミュニティのような形からはじまっていますよね?SHEのリリースを見たとき、ミレニアル世代にフォーカスしたコミュニティ自体が珍しく、「何か新しいものがはじまるぞ」とずっと気になっていて、ひそかに応援していました(笑)。

好きを仕事にすることは、決して“ゆるふわ”なことではない

松井:私が気になっていたのは「熱狂して生きる」というあのフレーズ。すごく強いし、ユニークだなと思って。他の言葉ではなく、どうしてそれを選んだのですか?

中山:この言葉の方向性として、“ゆるふわ”な姿勢というよりは、自分の熱い意思を込めたかったんです。“好き”に正直に生きていくことって、きれいごとでも、そんなに簡単に実現できることでもなく、強い覚悟が必要だと思っていて。好きなことをして生きていく以上、しっかりと責任感や覚悟を持ってやっていくべきだと思いますし、そのような方々をサポートしたい!という、コミット感の伝わる要素や魂の震えみたいな要素を込めたいという気持ちがありました。

松井:それ、すごくわかります。好きを仕事にするって、できればみんながやりたいことだけど、趣味の延長線上で何となくやる、ではなくて、どうやって生きていくかも含めて覚悟が必要ということですよね。実際、キャリアスクールに通われる方はどんな方が多いのでしょうか?

福田:年代としては、30代ちょっと手前くらいの方が一番多いです。新卒から5~6年ぐらい仕事をしてきて、ある程度のことはできるようになってきた。でも、このままのキャリアでいいのだろうかと、転職や独立など様々な選択肢を考えるタイミングなのだと思います。「私には何が向いているのでしょうか」といったアドバイスを求められるケースがとても多いです。

長谷川:講座の中に「自分探し」というコースもありますよね。

福田:そうなんです。初めは無かったのですが、開講して話を聞いてみると、まだまだ自身のキャリアの方向性に迷われている方が多かったので、まずは自己理解や自分の幸せを見つめ直すところからはじめるのが一番納得感のあるキャリアを歩む近道なのではないかという話になり、「自分探し」というコースをつくりました。

宇平:みなさんそんなに自分探しをしたくなるということは、キャリアに不満を持ちはじめるのがそのくらいということなのでしょうか?

福田:そうなんだと思います。SHEにいらっしゃる方特有かもしれないですが、9割ぐらいの方が「現状の仕事に満足してない」という状況ですね。

松井:キャリジョ研の調査では、「自分の好きなことを仕事にしたい」が20~30代の働く女性の59.8%。一方で、「今の仕事に満足してない」が45.7%。「仕事に対して具体的な目標や夢などはない」というのも52.9%で、好きを仕事にしたいと思いつつ、どうしていいかわからない現状は見えてくる感じがします。

博報堂キャリジョ研 松井 博代

夢を語り合える仲間との出会いが、自分らしく生きることへの第一歩

福田:そうですね。でもちゃんと対話をして思考を整理してあげれば、自分の答えが明確になってくる方もたくさんいらっしゃいます。SHEでは、キャリアワークショップも重点的にやっているのですけど、SHEにいる間だけは、恥ずかしさとか身の程を知らないみたいな思いを全部捨てて、自分の気持ちに素直に「夢を語り合いましょう」という導入の仕方をしていて。女性で集まると、キャリアの話とか自分の将来の夢の話ってなかなかしづらいじゃないですか。でも、ここにいる人たちは同じように未来に前向きな人たちだから安心して自分の悩みや夢をシェアしましょう、という場にしています。

中山:あとは、「自分のありたい姿を花に例えてイラストを描く」というワークショップもあって、これはみんなすごく笑顔になるんです。

長谷川:たしかに花ではタンポポみたいな可憐な花から、すごく華美な花まで様々なので、多様性が表れそうですね!

中山:そう、すごく個性豊かなんです。地に足をつけて、小さな花でもいいから、自分らしい花を咲かせたいとか、ちゃんと自分の思想を持った花を描かれるので、そこで潜在意識にリーチするようにしています。

福田:SHEにはじめていらした方に話を聞くと、「悩んでいたのは私だけじゃないと気付いた」という意見が一番多いんです。このままじゃいけないけど、どうしたらいいかわからない…と自分を追い詰めてしまっている人ってすごく多い。でもリアルの場で同じように悩んでいる人に出会って、自分らしく生きることを前向きにとらえている人に囲まれると、それが普通の価値観になってきて、リスクを取るのも怖くないというようなことを皆さんおっしゃいます。悩んでいるのは自分だけじゃないというのを知るだけでも、一歩を踏み出しやすくなるんじゃないでしょうか。

SHE株式会社の福田恵里さん(CCO)

パラレルキャリアや週末起業家は女性の方が向いている!?後半では、女性の新しい働き方について詳しくうかがいます。

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