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ヒット習慣予報 vol.62 『非・非常食』

2019.03.05
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの馬場です。
3月に入り、いよいよ年度末が近づいてきました。ヒット習慣メーカーズとしては、年度末は、年度の切り替えに合わせて新しい習慣を始めるチャンスでもあるので注目の季節です。かく言う私も、新年度に引っ越しを予定していることもあり、これまでの生活を見直して、新習慣を取り入れようかと考えています。

さて、今回のテーマは、まさに私が新しく取り込もうかとも検討している「非・非常食」です。非を2回繰り返しているのは、誤字ではありません。日々の食事を常に非常時に備えたものにすることで、結果的に非常時の食事ではなくなっている、そんな習慣になります。

具体的にはどんな習慣なのか、具体例をご紹介します。

1つ目は、日々の料理に非常時にも役立つレシピを取り入れている例です。普通のレシピとの違いは、使用する水の量や、火を使う時間をできるだけ少なくするという、一見ごく普通のことなのですが、驚くべきはその徹底っぷりです。例えば、ご飯を炊く際に使うのは、なんとポリ袋。お米をポリ袋に入れたまま炊くことで、お皿を用意する必要がなく、そのまま捨てられるため、洗い物にかかる水が不要になるそうです。ほかにも、事前に水につけておくことで、総調理時間をわずか数分にまで短縮できるパスタレシピなどもあるようです。こういったレシピを学べる料理教室も開講されており、日々の習慣に取り込む人が増えているようです。

2つ目は、商品として販売されている非常食を日々の食事に取り入れる例です。これは、「ローリングストック法」と呼ばれる、普段から非常食を食事に出し、食べた分だけを買い足すことで、非常食の鮮度を保つ食料備蓄の考え方に則った習慣なのですが、面白いのは、この方法に合わせた様々な商品が販売されはじめていることです。例えば、食事に取り入れやすいようにおかずの組み合わせを考えられた複数の非常食のセットや、家の中に置いておきやすいように見た目にこだわった缶詰など、非常時以外の使いやすさにこだわった商品などが人気を集めています。商品ラインナップが整うことで、より一層習慣が広がりやすくなっているのではないかと考えられます。

出典:Google Trend

なぜ、非・非常食の習慣を実践している人が増えているのかについても考えてみました。まず、前提として、生活者の防災意識が高まっていることは上げられると思います。Google Trendで「防災」について検索数の年推移を見てみると、昨年は地震や台風が多かったこともあり、例年に比べて多くの検索がされていたことが分かります。そんな中で、普段の生活の中に具体的な防災アクションを取り入れようとする人が増えているのだと思います。

また、「非・非常食」には、防災という役割に加えて、日々の食事を楽に、楽しくしている要素があることも重要なのではないでしょうか。Twitterでローリングストックを実践している人の投稿を見てみると、定期的に食べるものが決まっているので、料理しなくてもよくて楽だし、缶詰などの種類も多様で自分の好みのものを探すのも意外と楽しいという声が見られます。レシピにしても、時短料理でもあるので、料理を楽にする側面もあるので、防災レシピが広がるにつれ自然と取り入れる人が増えるのではないかと思います。

最後に、「非・非常食」のビジネスチャンスについて考えてみました。

◎「非・非常食」のビジネスチャンスの例
■大手食品メーカーが、主力商品について、非常時にわずかな水だけでも調理できるようなバリエーションを販売する。
■マンションなどの備蓄倉庫を定期的に開放し、賞味期限が近づいた商品は安く購入できるようにすることで、建物全体で効率よくローリングストックを行う。
■食品通販が、非・非常食定期便として、普段使いもしやすく、災害時に調理しやすい食品をセットにした定期便を販売する。
など。

私自身、本稿を執筆していて、毎日無理なく、何かがあったときに備えることの重要性をしみじみと感じました。皆さんも、生活の中で自然と実践できる防災習慣を検討してみてはいかがでしょうか。

馬場郁実(ばば・いくみ)
データドリブンマーケティング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2016年 博報堂に入社。
入社以来、データマーケティングに従事。業務で培った知見を活かし、新たな習慣を生み出すべくヒット習慣メーカーズに参画。
引っ越しに備えて、今までの自分の生活を見直そうと画策中。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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