THE CENTRAL DOT

博報堂はクリエイティビティで未来をつくる(代表取締役社長 水島正幸)

2019.07.01
#クリエイティビティ#生活者インターフェース市場

変化する社会において、これからの博報堂はどのような価値を提供していくのか。
代表取締役社長・水島正幸がご説明いたします。

博報堂のVI(ビジュアルアイデンティティ)が刷新されました。

水島
社会が大きく変化する時代に、博報堂も大きく変わろうという決意の表明です。テクノロジーが劇的に進化し、社会のデジタル化、IoT化が加速しています。この先に見えているものは、生活そのもののデジタル化です。家電も車も住宅も、あらゆるタッチポイントが生活者と双方向でつながり、サービスのインターフェースに変わっていきます。そして全てのインターフェース同士がつながって、無限の広がりが生まれていく。産業や業界の垣根がなくなり、新たな社会の仕組みが生まれようとしているのです。これを我々は「生活者インターフェース市場」と名付け、洞察を始めています。
この新しい市場、社会において、博報堂はどうお役に立てるのか。どのような価値を提供していくべきか。その答えは「クリエイティビティ」以外にないと考えています。
クリエイティビティこそが我々の最大の強みであり、今後最も求められる価値だと私は信じて疑いません。これからの博報堂は広告を超えて、クリエイティビティで生活や社会、事業構造の変革に寄与するような新しい価値を提供する会社になっていく。自らの提供価値を変えることの決断と覚悟を社内外に伝えるためにVIを刷新しました。
新しいVIのシンボルは「センタードット」。これからの博報堂の役割を示したものです。ドットは起点であり結節点。社員ひとりひとりが起点となって自ら動き仕掛けていく姿勢と、博報堂がさまざまな社会的イシューや未来のテーマとつながり、あらゆるプレイヤーをつなぐハブとなって社会に新しい価値を生み出していくことを表現しています。

博報堂のクリエイティビティとは。

水島
博報堂は今年10月で創業125年になります。長い歴史の中で、ずっと大切にされてきた「粒ぞろいより粒ちがい」という考え方があります。同じような考えの人間が集まるのではなく、できる限り自分と違う視点を持つ人を尊重する。この「粒ちがい」を採用でも人材育成でもひとつの方針としてきました。社員それぞれが人とは違う個性を発揮できる環境を整えてきたのです。現代的に言い換えればダイバーシティと言えるでしょう。
博報堂には言葉、ビジュアル、映像、プロモーション、ビジネスプロデュース、データアナリティクス、建築、メディアアート、プロダクト、サービスデザイン、映画、アニメ、イベント…など実に多様なジャンルのクリエイティビティが揃っています。こうした組織は世界でもあまり類をみません。
もうひとつ、大切なのはチームの力です。博報堂はひとりひとりの個性を磨くだけでなく、それらをチームでぶつけ合い、高め合うカルチャーを大切にしてきました。こうした人的・文化的な資産はすぐに真似できるものではありません。
粒ちがいが集まり、ぶつかりあうことで、常識を打ち破る「別解」を提示していく。それが博報堂のクリエイティビティだと私は考えています。

「別解」とは。

水島
正解へのアンチテーゼ、と捉えて下さい。劇的な変化の時代においては、論理的、常識的に考えてたどり着く正解だけでは突破できない局面が増えてきています。
クライアントからも、今までになかった新たな問いが投げかけられています。それは例えば「わが社の新技術を使って、どんな未来のサービスをつくれますか?」といった問いです。過去を分析して論理的に考えるだけでは、どこも似たような答えにしかなりません。だからこそ博報堂はクライアントの想像を超え、驚きをもたらす、前例のない解を次々と提示して行きたい。それを「別解」と呼んでいるのです。ロジックだけで突き詰める正解はひとつでも、クリエイティビティで追求する別解には無限の可能性があります。

とはいえ今は、広告会社としてのイメージが根強い。どうやって会社をアップデートしていくのか。

水島
実態としては近年かなり事業領域を広げていますが、まだ広告会社のイメージで捉えられていることは認識しています。広告以外に博報堂ができることをもっと幅広くお伝えして、声をかけていただける存在にならなくてはなりません。
社内変革の大事なテーマのひとつが「発想から実装まで」というものです。面白いアイデアを考えるだけでなく、その社会実装までを一気通貫で担うことが博報堂の役割だという考えです。プロデューサーやテクノロジストなどの人材も増やしていますし、博報堂で働く全ての社員に対して、自分の仕事を限定せずに新しい市場をどうつくるか?という起業家マインドを持つよう繰り返し話をしています。
具体的な挑戦として、博報堂が自ら主体となって新しい事業そのものを生み出すことにも取り組みます。クライアントのイノベーションをサポートしてきた経験を拡張させ、業界や業態を超えたさまざまな企業を結びつけながら、事業創造を目指す。その中核となる組織も動き出し、すでにいくつかの別解の芽が生まれつつあります。

未来に向けた意気込みは。

水島
博報堂は本気で変わろうとしています。新しいVIを見るたびに、その決意に立ち返りたいと思います。日本国内だけでなく、世界のあらゆる場所で、社会に別解を提供していくことに挑戦していきます。
ただ、我々自身がいかに変わろうとも、常に我々はパートナーとともにあることは今後も変わりません。フィロソフィーである「パートナー主義」は、これからもずっと変わらない我々のビジネスの原点。長年お付き合いのあるクライアントにとっても、新たに出会うパートナーにとっても、これまで以上に信頼、信用される会社にならねばと緊張感を持っています。
社員ひとりひとりがクリエイティビティを通じて社会のさまざまなテーマとつながり、絶えずアクションを起こしながら、生活者や社会にとっての新しい価値を生み出し、未来をつくる存在になっていく。これからの博報堂はそういう集団でありたいと思います。私自身も、社長として先頭を走っていくつもりです。

プロフィール

水島正幸(みずしままさゆき)
株式会社博報堂 代表取締役社長

1982年博報堂入社。第六営業局長、取締役常務執行役員などを経て2017年4月より代表取締役社長。2019年6月より博報堂DYホールディングスの代表取締役社長も兼任。

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