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ヒット習慣予報 vol.88 『ママの好き活』

2019.09.17
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの吉住です。
蒸し暑い夏も終わりに差し掛かり、秋が近づいて来ましたね。
夏休みはどのように過ごしましたか?私は1週間程夏休みをいただき、実家がある北海道に帰省していました。久しぶりの帰省だったため、母親が張り切って毎日料理を作ってくれました。普段は全く自炊をせず外食ばかりしているので、バランスの取れた美味しい食事をしたのは久しぶりでした。やっぱり実家っていいですね。

さて今回のテーマは、そんなママ達の新たな活動「ママの好き活」です。
ママ生活を送る中で見つけた好きな事や身についた能力を、社会に開いて行う事でQOL(※Quality of life。生活の質)を高める活動が流行の兆しを見せています。

具体的な事例を3つほどご紹介します。
1つ目はレンタルスペースを借りて、家庭料理教室を外国人観光客に向けて開催するママ。最近は訪日外国人旅行者の趣向も多様化してきており、単に日本の有名観光地を巡るだけでなく、日本の家庭料理などの文化を教わりたい人が増えているようです。毎日子どもや夫のために料理を作ってきたママは、その需要にこれ以上無いほど適任と言えます。

2つ目は自分以外の子どもの世話を請け負うママ。共働きの家庭が増え、三世帯家族が減り、待機児童が増加している中で、勤務中に幼い子どもの面倒をみてほしい親は急増しています。そんな需要に対し、ママがインターネットのマッチングサービスを利用して、他の家庭の子どものお世話をしているようです。
豊富な育児経験がある子育てを終えたママが多く、再度、子どもの世話ができる事で、ママ自身の幸福度を上げることもできるようです。

3つ目は裁縫やアクセサリー作りなど、自分で作った小物をインターネットやSNSを通して販売するママ。昔から裁縫やアクセサリー作りが趣味のママは存在したかと思いますが、
SNSの普及で自分の制作物が簡単にアピールできるようになり、フリマアプリの普及で簡単に人にモノを売ることができる環境が整ったため、ハンドメイドで作ったものを売って収入にするママが増えているようです。

一部には上記のような活動を通して企業と提携することで、多くの収入を得ているママも存在しています。

ではなぜ「ママの好き活」が新しい習慣として起こりつつあるのでしょうか。
大きく2つの理由を考えてみました。

1つ目の理由としては、女性の社会進出が浸透してきている事が挙げられます。
高度経済成長期に当然とされてきた「女性は家に入るのが当たり前」という概念は、近年薄れつつあります。それに伴い、(欧米と比較するとまだまだ遅れをとっているものの、)日本でも女性が働くための環境が整備されつつあるため、ママ達も自分の好きな事で働く事が可能になってきているのではないでしょうか。
また、専業ママは、自宅にいる時間が比較的多くなり、社会との接点が減りがちです。そんな中、自分の好きなことを仕事にして、世の中と接点を持つ事は、幸福度の向上に繋がるため、このような活動が増加しているのではないでしょうか。

2つ目の理由としては、スキルシェアサービスの普及が挙げられます。
スキルシェアサービスとは、自分のスキルを提供したい人とスキルを必要とする人をオンライン上でマッチングさせるサービスです。オンラインで知り合った人と現実世界で知り合う事のハードルが年々下がってきているため、このようなマッチングサービスが普及し始めていると思われます。実際にGoogleトレンドを見てみると、過去1年でスキルシェアの検索数が伸びており、注目が集まっている事がわかります。

最後にビジネスチャンスについて考えてみました。

◎「ママの好き活」によるビジネスチャンスの例
■調味料メーカーと地方自治体が連携して、地域のママを集めて外国人観光客向けの大規模料理教室を開催。観光コンテンツとして打ち出したうえで、日本の調味料販売にも繋げる。
■企業がママと提携し、アクセサリーや裁縫を新たなブランドとして立ち上げる。
■子育てを終えたママが、子育て中のママにアドバイスをする座談会を開く。
など。

私の母は裁縫が趣味なのですが、作ったものを僕に売りつけてくる(笑)ので、
裁縫教室を開いたり、作ったモノをインターネットを通して外部の人に紹介・販売してみることを勧めてみようと思います。

吉住 尚次郎
CMP推進局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2017年博報堂に入社。
現在、CMP推進局にてマーケティング職に従事。
最近アジと鯛が捌けるようになりました。
今年は糠漬けと梅酒とレモネードを作ることに挑戦したいです。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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