こんにちは。ヒット習慣メーカーズの濱谷です。
早くも上期が終わり、下期スタートです。半年が過ぎるのって早いですね。上期を振り返ってみると、(いつもそうですが・・・)色んな人に助けられたなと感じます。
そんな今週のテーマは、「街中お助けマッチング」です。ご存知の通り、恋愛マッチングアプリや、仕事のクラウドソーシングやスキルシェアなど、マッチング系のサービスが拡がっており、検索数もここ3年で大幅に増えています。その中で、今回は「困った人を助けたい/困りごとを助けてほしい」という気持ちをマッチングするサービスについて取り上げたいと思います。
「マッチング」の検索数の変化
まずは、街中で困っている人と近くにいる助けたい人をマッチングするアプリがこの夏にリリースされて、話題を集めています。道が分からない、買い物のサポートをしてほしい、など困っていることを発信し、近くにいる助けたい人とマッチすると、やり取りができるようになり、相手と合流して困りごとを解決してもらう仕組みになっています。まだ利用できる範囲は限られていますが、SNS上でも“日本中に広めてほしい”や“名前も知らない誰かが困っていて、そこに偶然居合わせてサポートできたらCoolですよね”など好意的な声が多く見られました。
同じような取り組みが、駅や空港でも実証実験的に行われています。こちらも同様に、行き先が分からない、荷物を持ってほしい、などの困りごとを送り、近くにいる手助けしたい人とマッチして、助けてもらう仕組みになっています。実証実験では、有名なメッセージアプリが活用されており、誰でも始めやすい工夫もされています。確かに、駅や空港って、はじめて行く場合など慣れない場合は、困りごとって多くなりそうなので、このようなサービスは便利だな、と思いました。
海外に目を向けると、イギリスでは、使用用途を絞って、妊婦さんと、席を譲りたい人をマッチングさせるアプリも登場しています。妊婦さんが電車に乗ってきたけど、声かけるのが恥ずかしくて、なんとなく席を譲りづらかったという経験をした人も多いのではないでしょうか。日本でも、見知らぬ方に声をかけることが恥ずかしくて二の足を踏んでしまっている人が少なくないと思うので、このようなサービスが登場すれば活用されるのではないでしょうか。
さらに、街中で、訪日外国人とその母国語が話せる人をマッチさせるサービスも出ています。
「困っている訪日外国人の方を守りたい」というビジョンがアプリ名にも反映されており、日本にいる人は、自分が話せる外国語を登録するだけで、近くの訪日外国人の方が困っていたときに、色んなことを助けることができます。
これらのサービスに特徴的なのが、対価目的ではないということです。はじめの「街中お助けマッチング」の例は、助けた数に応じてアプリ内の称号が変わる、などはありますが、金銭面のためにというより、純粋に周りの人を助けたいという気持ちで登録している人が多そうです。
では、なぜこのような「街中お助けマッチング」が増えているのでしょうか。
1つは、誰かの役に立ちたい/社会に貢献したい、という意識の高まりだと考えます。若者を中心に競争から協調へのシフトが進んだり、NPOに就職/転職する人も出てきて、勤務先の選択理由も社会に貢献できるか?を重視していたりなど、誰かの役に立ちながら暮らしたい人が増えている気がします。
2つ目は、デジタルサービスへの許容度の高まりです。スマホが全世代に広く普及し、様々なデジタルサービスが登場する中で、ネットやアプリを介して人とマッチすることへの不安感や、怪しいという気持ちが減っていることも影響していると考えます。
3つ目が、恥ずかしくて、直接声をかけづらいという日本人の特性に合致しているということです。デジタルでマッチしてから助けられる仕組みであることが、声をかけづらい人にとっても取り組みやすいサービスになっていると思います。
このように、助けたいという気持ちと、デジタルでのマッチングサービスの普及、日本人の特性が重なって、「街中お助けマッチング」のサービスが増えていると考えます。
さて、今までのヒット習慣予報と同様に、「街中お助けマッチング」にも色々なビジネスチャンスがあると考えます。
デジタルの力を借りて、助けたい気持ちが実現されていくって、素晴らしい仕掛けですよね。このような、人を幸せにするためのデータ/デジタル活用がもっと拡がればいいなと思いました。
2010年 シンクタンクに入社し、2014年 博報堂に中途入社。
ヒット商品やヒット習慣を作りたいと願いつつ、日々マーケティング/コミュニケーション立案に取り組む。2000年代のドラマ好きで、おすすめは「僕の生きる道」と「華麗なる一族」。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。