博報堂九州支社を母体とする活動体「九州しあわせ共創ラボ」は、九州大学大学院芸術工学研究院SDGsデザインユニット、九州大学未来デザイン学センター、西日本新聞社と共催で、「SDGsデザインフォーラムin九州」を10月15日(月)に福岡エルガーラホールにて開催しました。
九州大学大学院芸術工学研究院長の谷正和教授の開会挨拶に続き、国連広報センター所長 根本かおるさんが基調講演「誰も置き去りにしない! SDGsを自分ゴトにして世界を変革するアクターに」を行い、SDGs採択の背景や意義について以下のように語りました。
「SDGsが生まれた背景は、このままでは地球は続かない、続かない地球から続く地球に変えていかなければならない、という強い危機感からです。「地球は子どもたちからの借り物」という言葉があります。借りたものは、借りた時と同じ状況かそれよりも良くして返さなければなりません。将来の子どもたちにとって、SDGsが「人類のポジティブな遺産」となるように、SDGs実践の輪に多くの方々に加わっていただきたい。SDGsは全世界共通の言語として、皆さまの日頃の努力や取り組みを更にスケールアップするための座標軸になると思います。」
続いて、九州大学大学院芸術工学研究院SDGsデザインユニット長 井上滋樹教授は「デザインで社会を変えよう。」をテーマに講演し、実際にデザインで世の中の課題を解決した世界の事例を紹介しながら、次のように語りました。
「デザイン領域でSDGsの目標達成に向けて貢献していくことを目的としてSDGsデザインユニットを2018年4月に設立しました。貧困や飢餓の問題、あるいは地球環境といった世の中の問題をデザインやクリエイティブで解決しようという動きは世界中で加速しています。アイデアを出して実際にデザインし、具現化して社会実装していくためには、企業・団体・科学者・サプライヤー・政府機関等が共に連携して世界中に普及させていこうとする動きがとても重要です。」
第一部パネルディスカッションでは、5名の九州大学大学院芸術工学研究院の教員が、「持続可能な住宅地デザイン・計画」「アートを通じた、被災地の子どもたちの心のケア」「日本の伝統文化を活かした、陸の豊かさの保全」「デジタルコンテンツのデザインを活用した高齢化社会への対応」など、それぞれの専門分野における「SDGsデザイン活動事例」を報告しました。
第二部パネルディスカッションでは、「SDGsデザインが切り開く未来」をテーマに、それぞれの登壇者がユニークな事例発表を行いました。
「デザインやクリエイティブには、社会課題と日頃のアクションを結びつけ、社会課題を解決していく力があります。持続可能で強靭な社会をつくるために、国・自治体・地域・企業・大学・メディア・市民社会などが連携し、SDGsの社会実装を実現するための取り組みの輪を広げていきましょう。」と井上教授は締めくくりました。
そして、博報堂九州支社で「九州しあわせ共創ラボ」の所長を務める松本裕介が登壇し、「九州しあわせ共創ラボ」のこれまでの活動を報告すると共に、協業・共創活動を通じてSDGsを達成していくための会員組織「九州SDGsデザインネットワーク」の立ち上げを発表しました。最後に九州大学総長 久保千春氏より閉会のご挨拶をいただき、本フォーラムを終えました。