あけましておめでとうございます。ヒット習慣メーカーズの馬場です。2020年最初のコラムを担当させていただきます。
年始にコラムのネタを考えているときに、お正月というものも、広く見ると年初の習慣であり、長く続く習慣は文化として世代を超えて受け継がれていくものになるということに思いをはせていました。国民食といわれるほど、日本人が習慣的に食べている商品があることを考えると、ヒット習慣メーカーズの取り組みの究極の目標は、文化を作ることであるともいえるのかもしれません。とはいえ、まずは引き続き習慣予報を積みかさね、習慣を作る下準備を進めていきたいと思います。
さて、前回のテーマは子どもの学びについて取り上げました。今回は、子どもではなく大人の学びの習慣をご紹介します。今回のテーマは「大人の簡短ラーニング」です。最近、マンガや動画形式で自分の知りたい知識だけを超短時間で学ぶ大人が増えています。とっつきやすい形式かつ短時間であることを「簡単」ではなく「簡短」と呼んでいます。
単に短時間で学ぶだけであれば、これまでにもあったスキマ学習ですが、これまでと異なる点が2点ほどあります。
1つ目は、先ほどもお伝えした通り、マンガや動画などの形式で学ぶ点です。ポイントは、とにかく視覚的にわかりやすくしているところです。できるだけ文字情報に頼らず、見るだけでも学べるように工夫された教材を使うことで、取り組みやすくしています。マンガや動画の派生形として、パワーポイントのスライドを教材とするスライド学習も人気を集めています。どのようなテーマでも対応でき、最近私が驚いた例では、シニア層向けに「終活」を学ぶためのマンガが発売されていました。
2つ目は、自分の学びたいトピックだけを学ぶ点です。参考書を一冊買うと、一つのテーマについて体系的にまとめられている分、途中途中で抜き出して学ぶことが難しいかと思います。とはいえ、多くのビジネスマンは、テーマ全体の理解を深めたいケース以外にも、目の前の課題を解決するために、ある特定のトピックについて理解したいというケースも多くあります。そのような単発かつ緊急性の高いニーズにもこたえられるように、多くの教材がトピック単位で分割され、どこから見ても理解できるように作ることで、これまで以上に短時間での学びを実現しています。具体的には、動画であれマンガであれ、トピックごとに5分から長くても15分程度で読了/視聴できるように作られています。文字媒体にはなりますが、ビジネス書で〇〇大全などの、見開き1ページで1トピックを取り上げる書籍も人気を集めています。
実際に、習慣が広がっているかを確認するために「学習まんが」の検索傾向をGoogleトレンドで見てみました。2019年8月に大きな山ができているタイミングで、情報番組で最近の学習まんがについて、子どもだけでなく大人にも役に立つものが多いという内容の特集が組まれています。その後、9月に一度落ち込んだものの、年末にかけて徐々に上昇トレンドに入っていることがわかります。今後もこの傾向が続くようであれば、まずます「大人の簡短ラーニング」習慣も広がっていくのではないかと考えられます。
なぜ「大人の簡短ラーニング」が広がっているのでしょうか。
スキマ時間の学習ニーズも増してきていると思いますが、それ以上に各世代における価値観の変化が大きいと思います。Vol.100の「グランフルエンサー」も、デジタル=若者向けという固定観念が崩れてきたことで生まれた習慣だと思いますが、「大人の簡短ラーニング」も、マンガや動画視聴サービスに慣れ親しんできた層が大人になる中で、マンガ=子ども向けなどの固定観念なく、より簡単な学びを求めているからこそ生まれてきた習慣だと思います。本稿を執筆する中で、当然の話ではありますが、世代の移り変わりは当たり前だと思われている習慣をこわし、新たな習慣がリビルドされる一つの要因であると実感しました。
最後に、「大人の簡短ラーニング」のビジネスチャンスについて考えてみました。
私自身、ビジネスナレッジ学習や趣味のテニスのスキルアップのために動画を中心に簡短ラーニングを積極的に実施していますが、2020年もさらに効率よくいろいろと学んでいこうと思います。
2016年 博報堂に入社。
入社以来、データ/デジタルマーケティングに従事。業務で培った知見を活かし、新たな習慣を生み出すべくヒット習慣メーカーズに参画。
マンガは、最も効率のよい学習ツールだとかたく信じている。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。