こんにちは、博報堂キャリジョ研です。私たちは、働く女性(キャリアを持つ女性)=「キャリジョ」たちの意識や行動を研究しています。
人生100年時代と言われる中、キャリジョたちが志向する「ムリせず持続可能であることを選択する生き方・暮らし方」=「サステナブルライフ」という切り口に注目したこちらのコラム、第1回は「#恋愛・結婚編」でしたが、第2回は、キャリジョにとって毎日欠かせないものとなっている「SNS」の使い方について。SNSの利用時間が長いキャリジョにとって、SNSの使い方はプライベートな時間の過ごし方にも直結するもの。実際にキャリジョたちがどのようにSNSを利用しているのか、サステナブルなSNS利用とはどんなものなのか、インタビューや調査を通じて考えてみました。
電車のなかで、20-30代の女性の手元を見ていると、早い早い。Instagramのストーリーズを見るときは、1秒で動画を見たいものかどうか判断して、見たいものだけ指で止めてじっくり見たり、スクショしたり。同じInstagramで言えばフィード投稿のチェックも次々にスクロールしていき、瞬時に良いと思うものだけ判断して高速タップで「いいね」を付ける。
こんな使い方で本当に見ているというの?と思われる方も多いかもしれませんが、ミレニアル世代にとって重要なのは、「見た」という足跡をつけること。情報過多な時代だからこそ、情報のプライオリティを瞬時に判断して高速処理しているのです。
高速なのはコンテンツの見方も同じで、YouTubeで見る動画コンテンツも、1.5倍速や2倍速など、早送りで飛ばし見する人が多くいました。
一方で、モーニングルーティンやVlog(VideoBlogの略称で、日常を動画で撮るコンテンツ)など、時間をかけてゆっくり見る「ゆるだら見コンテンツ」も増えています。集中してみるというより、リラックスしてその雰囲気だったり空気感を楽しむものとして、クイックの傍ら、スローな時間も大事にしているのです。
限られた時間をどう使うかも自分でデザインできるこの時代、SNSの使い方も、瞬時にプライオリティを判断する「クイック」とじっくり楽しむ「スロー」の緩急をつけてサステナブルに楽しんでいます。
アカウントの整理やSNS上の人脈整理でも、サステナビリティが見られます。
「インスタの沼」と表現する子もいたほど、アルゴリズムで自分の興味関心・好みにデザインされたSNSは面白いものばかり見始めると止まらないもの。TwitterやInstagramで「関連する人」としておすすめされるアカウントに飛んでまた次のおすすめされたアカウントに飛んで…というように、深~い階層に入ってしまうので、一度入るとなかなか抜け出せないのです。
そんな沼から抜け出すために、定期的にSNSアプリを消したり、アカウントを使い分けて整理したりする人も多くみられました。
繋がりたくない人は徹底的にブロックしたりミュート設定にしたり。繋がりたい人は「親しい友達」として囲い込んだり。サステナブルに生きるため、人間関係まで、デザインするのがこの世代。SNSで世界中の誰とでも何人でも「繋がれる」時代になってからこそ、フォロワーが増えすぎたら別アカウントを作ったりする。定期的に、SNS上での身辺整理をして気持ちのリセットをして自分がサステナブルに気持ちよくいられる状態を意識的に作り出しているのです。
キャリジョ研が2019年度に行った定量調査によると、30代以下と40代以上でSNS広告のレコメンデーション機能に対する認知に大きな溝がありました。
広告表示に前向きな世代と、そうじゃない世代。もっというと、広告のアルゴリズムを理解して、アルゴリズムとうまく付き合う世代。
好きなジャンルや人、公式アカウントには、「いいね」をしたり、閲覧時間を長くする。それによってターゲティングでコンテンツや広告が表示されるため、不快感はなく、むしろ「知りたかった情報」であり「興味のある情報」となる。
一時期は「広告ブロックアプリ」などが話題になり、広告に対する嫌悪感が取りざたされていましたが、これからは広告もコントロールして「心地よく、長く」サステナブルにSNSと付き合っていく世代が中心となっていきます。SNS広告の使い方次第で、コンテンツのひとつとして面白がってもらえるため、広告活用の大きなチャンスかもしれません。
博報堂DYメディアパートナーズ 雑誌局
2018年博報堂DYメディアパートナーズ入社。
雑誌局で飲料やコスメなどを担当し、雑誌やウェブ連動の企画プロデュースを担当。
好きな食べ物はもんじゃとジンギスカン。最近ハマっているのは藁焼きカツオ。